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【書評】30秒で子どもの未来は変わる!勝手に才能が伸びる風間式育成メソッド(風間八宏・北健一郎)

はじめに

はじめまして、ponte_yukke(@football_kyuuri)です。
フットボリスタ・ラボに参加しているところでこの本の存在を知りまして、正直風間八宏さんについては、あまりいいイメージがない監督ではありましたが、「親がやる気にならない」というワードがとても気になり、読んでみて、風間八宏という人の印象が、(概ね)いい方向で違うぞ?と思ったため、書評を書きたいと思います。

【書評】

内容がかなり簡潔にまとめられているので、とても読みやすく、わかりやすいです。さっと読めるのはよいポイントですが、その分、情報量として若干もの足りなさがあります。また、十分な前提知識(メンタル関係の知識やその関係の本を読んだことがある、など)がないとあまりいい解釈に繋がらないかもしれないかなと思うところがありました。単体の本ですべての情報を得たい、と思う人には物足りないかもしれません。

これは問題点ではないのですが、ここに書いてあるやり方にはすでに言語化されて説明がつくものが多く、完全オリジナルとは言い難いところがあります。風間流という本のコンセプトを否定するところはありますが、逆説的に風間流を否定することは一般的な教育方法を否定することでもあると感じました。
ただ、風間さんは15年くらい前から言ってることが全然かわらないということを聴き、この内容を15年前からブレずにいい続けているのであれば結構すごいです。ようやく時代が追いついた感があります。

そう思ったポイントをいくつか。

少しながら僕も基礎心理学などをかじっていますが、原因帰属理論というものがあります。

簡単にいうと、他人のやることは自分でコントロールできないので、自分でコントロールできる「努力」を原因にするのがメンタル面にいい作用がある、という感じの話になります。
ここでも、「こどもの学習意欲につながるのは、「2)努力が原因」と考えるスタイル」とされています。風間監督はきっと、本能的にここにたどり着いたんじゃないかと考えてましたが、筑波大の在学中に心理学を勉強してる可能性は高いかなと。

また、指導者は孤立しないほうがいい、という話が掲載されている点も意外だと感じたところはあります。最近はソーシャルキャピタルという言葉がビジネスの現場でも言われているので、ご存知の方も多いかと思いますが。

簡単(というか雑)に言うと、他人との交流やつながりも財産だよね、繋がりを作っていくことは大事だよね、ということなんですが、ストロングスタイルな人が周りとのつながりを持ってた方がいい、なんていうタイプだと思ってなかったです。

これはビジネス用語っていうわけではないので、私生活でも同じ話が言えますので、ぜひ良い人間関係の構築は意識してほしいなと思いますが、悪いパターンの例としては、「海岸や湖の一部が陸側にえぐるように入り込んでできた地形」の方や、闇金ウシジマくんの「ギャル汚くん」みたいな関係の作りかたをして自己満足してしまう人が少なくないんですが、実際にはソーシャルキャピタルが構築されてない典型例なので、こうはならないように、というのをサクッと理解するのには良いかと思います。(4巻~5巻で掲載されてます)


育児関係にカテゴライズされそうな本なんですが、親に限らず、サッカーという題材を通じて、大人が自己理解を深めるための本として、かなりいい本だと思います。

親が関与しようとしすぎて、自分で考え、行動することが出来なくなり、周りに迷惑をかけたくない、という考えで就職が出来なくなっている人たちもみてきました。
自分で考え、自分の判断で動けるようにするためには、というところで、一度ぜひ手に取り、考える時間をもってみるためのきっかけとしてもらいたいです。もしかしたら、読んだ人本人にとっても意味があるかもしれません。

冒頭で一冊で完結しない本だと書いていますが、きっかけとなる本を読み、より深く興味を感じた内容をさらに調べていくのは勉強の基本になりますので、風間八宏さんがあまり好きではなくても、食わず嫌いをせずぜひ一度手に取ってみてください

【購入時の注意点】

実は、購入時のハードルが若干高いのがこの本。
最近のサッカーの用語的に、位置的優位性を確保できていない感じなので、育児の棚にあって、スポーツやサッカー棚を探していると見つかりません。僕の買おうとした本屋では、参考書群のエリアの奥に育児棚があり、育児棚にあることを聴いても見つけるまでに時間がかかりました。
僕自身は本屋を回って探す行為が好きなんですが、Amazon直購入のほうがいいかもしれません。

書評を書いたのが初めてなんですが、リンクと交えたのが読みやすいのかどうなのか…

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