旅をする赤ちゃんの移動探索
赤ちゃんの歩行等の移動探索は、人や場所、何かの目的地へ向かっている?ように思いますよね??
実は、そうでもないかもしれません…。赤ちゃんはある空間においてどのように移動探索しているのか?そんなことを調べています。
It’s the Journey, Not the Destination: Locomotor Exploration in Infants
Justine E. Hoch, Sinclaire M. O’Grady, and Karen E. Adolph : Dev Sci. 2019 Mar; 22(2): e12740.Published online 2018 Oct 8. doi: 10.1111/desc.12740
15ヶ月の幼児40名を対象に、広いプレイルーム(4m×8m)で自由に遊んでもらいました。プレイルームはおもちゃのない空間と移動をサポートするようなベビーカーや投げて遊んだりできるボール等のおもちゃがある空間の2つが用意され、20名ずつ振り分けられました。
解析のパラメータは、
空間における移動量や移動面積、目的地に向かう移動やどの時点でどのように終了したか等がCodingされました。
結果は、
意外にも空間における移動量は2群間で有意差はありませんでした。
しかしながら、おもちゃのある空間で幼児は、より広範囲に移動探索していました。おもちゃがないと保護者の近くで過ごす時間が多く、空間を大きく利用していませんでした。少しずつ拡がっていくが、とてもゆっくりという感じです。
また両グループ共に目的地/特定の場所に向かうような移動等はほとんどありませんでした。しかし、おもちゃがないグループは、移動/遊び方のパターンが異なり、「くるくる回ったり、転がったり、うろうろしたり…」といった行動が確認されました。
要するに、移動するためにはある意味、「空間」さえあればOKということです。空間があれば幼児は環境にあるたくさんのアフォーダンスを探索し、自分なりに楽しく遊ぶことができます。移動探索を変化させるためには、おもちゃは一つのツールにはなると思います。これらの探索を変化せる循環は、部屋を広範囲に利用して、保護者から離れたりしながら、色々な環境と触れ合う経験を促進しているのだと思います。