あなたはわたし(10)【ナツキの記憶】
僕とメイは、お寿司屋さんの暖簾をくぐり、中に入りました。
中はガラ空きです。
テーブルに座りながら、にんまりです。
やっぱりここだったんだ。
メイと二人、差し向かいで、お寿司をつまみながら、話をしました。
僕はお寿司屋さんでは、お箸を使わない主義です。
手で寿司をつまむのが、喜びなのです。
お寿司の食感と触感を楽しみながら、お話は続きます。
メイは女性らしく、お箸でしずしずと食べています。
実はメイは緊張のあまり、ほとんど覚えていない・・・。
と、後で判明しましたが(^^;。
僕はお酒も傾けつつ、お寿司がなくなっても、話はつきません。
デザートも追加し、あがりが来ても、まだ話は続きます・・・。
その時でした。
湯のみを持つメイの手が、僕の目に飛び込んできました。
ええっ!?
僕の手?
僕は心臓を鷲掴みにされたかのように、ショックを受けました。
湯のみを持つメイの手。
それは、女性の手には思えない、やや、ごつごつした手。
それは、毎日見ている僕の、
僕の手にしか見えなかったのです・・・。
ツインレイ。
驚愕の中、世界は突然開かれたのです。