見出し画像

今日こそ二人で(6)【ナツキの視点】

地震で蒼白になったメイに、びっくりしながら、
僕は再び彼女をかき抱きました。

蒼白なメイの顔色は次第に戻りだします。

子供あやすように背中をさすりながら、無言で大丈夫を伝え続けてました。


そんな時間も瞬く間に過ぎ。
メイは、家族の元に返る時間が来ました。


シンデレラには、

馬車に乗らねばならない時刻があるのです・・・・。


優しく促し、服を纏い、僕たちは駐車場に向かいました。


結ばれた悦びと。
一緒にはまだいれない現実と。

二つの事実が並び立ってしまうのが、今のぼくらの位置。


大きな一歩の後に、明確な現実は見えています。

それでも、僕たちがあゆむこれからの道には、忘れ得ない1日だったと言えるでしょう。

間違いなく、二人の人生を大きく揺さぶる地震のような出来事。



改札を抜けたメイを見送るべく、僕は、線路際に走りました。

ホームにたたずむメイを見つけて、遠くから手を振る僕。

振り返すメイ。


やがて短い電車がのたのたやって来て、
乗り込んだメイは、車窓越しに笑顔で手をふりました。


運命のツインレイ、メイ。
愛しいメイ。

でも、今はお互いの現実があり、帰る場所は異なるのです。


うれしさと、寂しさの中、

電車は動き出し、

お互いを自分の世界に戻して行きました。


ただ、

僕たちは今日こそ恋人であり、

そして未来永劫、恋人であることを選んだのだということを。


走り去る電車を見送りながら、

味わう僕、ナツキがいました。


いいなと思ったら応援しよう!