はじまるふたり①【メイの記憶】
朝、起きると届いていた
ナツキからのメッセージがとても素敵で
私は静かに感動していました。
それは
私が書いたように
詩的な感じがしたのです。
それと
今までの友人としてのメールとは異なり
ナツキが私の為を思って書いてくれていること
それが本当に心からの喜びでした。
それから、ナツキはすごく頻繁にメッセージを返信してくれました。
メッセージでちゃんと会話が出来るようになったこと(笑)
それもちょっと感動していました。
でも、実は
本当にそれが正しかったのか
ふと揺らぐ瞬間を感じていました。
私は見えない確信の中、ナツキにわかってもらうように
突っ走ってきました。
それは確認できれば、お互い認識できれば
とりあえず一安心、という目標がありました。
しかし、それだけで終わるわけではありません。
私たちは始まってしまったのです。
安易な想像では
ナツキが気づいてくれたとしても
マメにメールをくれないかもしれない、態度は変わらないかもしれないと
どこかで
期待しないでおこうと思っている私がいました。
しかし、ナツキは違いました。
ナツキが完全に私の方に向いてくれていることが
メッセージから伝わってきました。
私は自分が
何か大変なことをやらかしてしまったのではないかと
内心、動揺しました。
ナツキが望んだかどうかわかりません。
でも、気づかせたのは私が原因であることには
違いありません。
それがナツキにとって、本当によかったのかどうか
それが分からず
私は迷っていました。
そして
受け入れてくれたナツキに
すぐにでも飛び込んでいきたい自分がいるのに
自分が、そうはいかない状況であることも
ナツキに申し訳なく思っていました。
ナツキに逢った次の日の夜
ナツキから一遍の詩が届きました。
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風とともに君は現れた。
風は見えなかった。はかなすぎて。
風は感じなかった。優しいすぎて。
風に気づかなかった。爽やかすぎて。
君が現れた時。追い抜いていく風が、僕の身体包んだ時。
風は僕になった。
包まれたのではなく。
追い抜いたのではなく。
風が見えた。
風を感じた
そして何よりも、風である事を思い出した。
風とともに、空を渡ろう。
探していた事も、忘れてしまったほど探し続けていたものに出会うために。
風とともに、海を渡ろう。
求めていた事も、忘れてしまったほど求めていたものと出会うために。
風とともに、大地を駆けよう。
行きたかった事も、忘れてしまったほど行きたかった場所に帰るために。
風とともに
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私は感動で言葉が出ませんでした。
そしてその詩を読んで
この人は本当にわたし自身だと
確信したのでした。