あなたはわたし(7)【ナツキの記憶】
メイはすこし残念そうに、小さな山を見上げていました。
フェンスに囲まれています。
でも・・・。
鍵はかかっていませんでした。
立ち入り禁止という札があったかは、よく覚えていません・・。
ただ中には、
立ち入り禁止を予想させるゼブラ模様の工事用バリケードはあります。
僕は、ある記事を思い出していました。
街で駐車場を探していた富豪が言ったという言葉です。
「あ、あそこは3万円で駐車できるところだ」
そこは、「駐車禁止。罰金3万円」と書いてあったそうです。
入っていけないのなら、きっと僕らは誰かに止められるだろう。
何よりも、入りたいという気持ちを大切にすることを試してみたいよね。
僕は、自然に留め金を外して、中に入りました。
そして道を塞いでいるバリケードをどかして、上って行きます。
そして、小さなボロボロの祠?の前まで歩いて行きました。
メイは唖然として僕を見ていました。
僕はさっさと、その小さな祠の前にしゃがみこみ、さっとお祈りをしました。
そして、すっと身を翻して、メイのもとに戻りました。
もし駄目だったら誰からの邪魔が入るんじゃないかな?
よかったら行ってみたら?
僕がここで見守ってあげるから。
バリケードを持ち上げながら、僕はメイに話しかけました。