勇退の日
2021年3月20-21日
[Alexandros] 10th ANNIVERSARY LIVE
"Where's My Yoyogi?"
in 幕張メッセ
めでたく大学の卒業式を終えた次の日、2日間に渡ってライブに行って来た。SNSが袴やスーツ姿であふれている中、私だけライブ後の無茶苦茶な感情を露呈していて何とも私らしいなと思ったり。まあ、卒業式の話題はそれとして、[Alexandros]のライブは配信ライブを除くとCDJ1920以来だった。約1年ぶりで楽しみが止まらないのに、今回のライブはいつものワンマンと違って、勇退を発表したドラムの庄村聡泰、サトヤスのお別れ会的な、何て言ったらいいのだろう、記念ライブだったのだ。ライブのタイトルにもあるように[Alexandros]のメジャー10周年記念でもあるのだが、私個人としてはやっぱり勇退するサトヤスのためという方が意味合い強く感じる。延期したこともあり、国立代々木競技場から幕張メッセへと会場を移したものの、「Where's My Yoyogi?」のタイトルのままなのがちょっと面白いが、とにかくこのライブの感想と、大好きな[Alexandros]について!長くなるぞ〜!
ライブレポの前に。
アーティストによって好きの度合いとかランクとかがあると思うんだけど、私の中で[Alexandros]は1番と言って良いくらい。FCに入会して、円盤は全部購入して、神奈川県在住の私が沖縄公演まで平気で追いかけてしまうくらい本当に大好きなバンド。全曲知ってて、ライブバージョンのアレンジも知ってて、特定のギターに持ち替えた瞬間や曲間を繋ぐアレンジメロディで次の演奏曲が何かを予想することが出来る。「自分、凄いでしょ!?」みたいな自慢をしたいのではなくて、「好き」を説明するのにわかることを書くとこうなってしまう、、。本当に[Alexandros]が大好きなんです、、。
このお知らせを見たときに涙は出なかった。その代わりに理解が追い付かなくて、というかこの現実を受け入れたくなくて、今読み返すのも辛いかもしれないくらい、本当にショックだった。実はこの発表の少し前にサトヤスの姿を偶然見かけたことがあった。2019年10月8日、この日はAiliph Doepaのライブに初参戦したときだったのだが、その会場にいた。正確にはフロア内で見かけたのではなく、終演後、階段状に物販列を並んでいると、特に変装するわけでも無く、雑誌等で拝見する姿そのままのサトヤスがすぐ隣を上がって行ったのだ。当時のツイート、見返したら懐かしくなったので貼る。
勿論、話しかける勇気もなく、ひたすらに驚くばかりで地上に上がっていく姿を目で追いかけることしかできなかった。心臓がばくばくと落ち着かない中で、同年の夏、ツアー(Sleepless in Japan Tour)のファイナル公演を終え、再び療養期間に入っていたことが頭をよぎった。私的には、単独でライブに行くくらいだし、またライブでドラムを叩く姿が観れるだろうと、この件があったからこそ全く心配していなかった。だが、上記の通り、予想外の事態になった。お知らせを見た当時はまだ就活中でESを書くことに追われていたが、何も手につかずベットでぼーーーっとしていた記憶がある。[Alexandros]の関連物に触れるのが怖くて、しばらく曲を聴いたり写真を見たりするのができなかった気がする。「日常生活に支障はないけど、ドラム活動は困難」というのが何とも言えない辛さがあった。その後は例の自粛生活で、有人ライブはできず、ワンマンのライブ配信があった。就活のストレスなどがあり、途中涙が出てしまうくらい心に沁みたライブだった。だけどやっぱりあの事実が頭をよぎると悲しい気持ちになってしまう。本当に大好きだからこそ、「欠けた」現実が私にとって心に穴が空いたような空虚感があった。いちファンの私でさえこうなのに、当のメンバーたちだってショックは大きいものだったと思う。だけど、落ち込むだけの姿を表に見せることはせず、前向きに新しいステージへ送り出そうとするコメントや動画等で私も徐々に受け止める準備ができていったように感じる。流石、色々な困難を乗り超えてきた[Alexandros]というか、その懐の広さというか。気持ちの変化を文章にするとこんな感じになると思う。少し長くなったが、本編へ!
埋もれてしまうのが嫌だから自分用に一連のお知らせを順に貼っておく。
初日。
この日は1人で参戦だったこともあり、開場時間ギリギリに幕張メッセに着いた。CDJ1920以来の幕張で、会場に着いただけでもワクワクした。チケットがA番台だったので期待しながら中に入ると、思った通りかなり前の方で花道にも近く、何よりも上手側だったのが嬉しかった。今まで[Alexandros]の指定席ワンマンでは下手側しか当たったことがなく、ギタリストの白井が最推しであった私は「徳を積んできたおかげかな、、。」(キモ)と席に着いた。写真だとわかりづらいけど、今回の花道は今ままでのワンマンステージより長い気がする。
会場が暗転し、いよいよ開演。
前方のスクリーンに映し出されたのは[Alexandros]それぞれのメンバーに扮した子役の姿。川上役が「スッゲー曲できたんだよ!」と言いながらイントロを流し始める。ヒロさん役の「のりにくいリズムだなー」という会話が進む中で、ステージにいつの間にか人影が見えた。徐々に映像の中の「スッゲー曲」と会場内の音が合わさり大きくなっていく。途端にスクリーンはステージ映像に切り替わり1曲目、「For Freedom」が始まった。もう大興奮の演出。今まで何度も聴いてきた曲だけど、やっぱり生のライブでしか味わえない音質の破壊力に大きく息を吸い込んで目がカッ開いた。「今、[Alexandros]のライブに来ている」という実感が湧いて最高のスタートだった。タイトルのように自由に音を楽しみ尽くして今日を過ごしたいと思った。
続けて2曲目「She's Very」。
もう大好きなバンドのライブに久しぶりに来れただけで、何をやっても「ヤッター!」という気分。この曲の「まずは友達から始めましょう」のフレーズを「まずは身体から始めましょう」というアレンジはライブではお馴染みのものとなっているが、やっぱり嬉しい。ギターソロ前の艶っぽいメロディからハイポジションのギターソロ。ギターソロが大好きな私にとって最高にロックで、音に貫かれたようだった。
再びスクリーンに子役の映像が映し出された。この時点で今回のライブは回想的な映像と共に[Alexandros]の歴史を振り返りながら進行していくものだと理解した。ベスト盤のライブでもあるのに気付いたのは遅かった気もするが。笑 映像には居酒屋のカウンターらしきところでフロントの3人が「どうすんだよ〜」と会話している様子が映される。前ドラムの石川さんが脱退してしまった中、新しいドラムの候補として川上役から「あいつは!?俺らの学校にいたやつ!」と、とある人物が浮かび上がる。その人物こそハットから流れるドレッドヘアが特徴的な子役の登場、もとい、サトヤスだった。そして3曲目の「City」に突入する。ノスタルジックなイントロを聴き、そういえばサトヤスが加入してから発売した曲がCityだったと思った。MVのおまけでは「めでたいな」と踊るサトヤスが陽気で面白い。ライブでは「ここはどこですか、私は誰ですか」というフレーズでシンガロングが起こるのだが、今回はそれができない。新様式のライブだけど、心の中で同じくそのフレーズを歌ったお客さんはたくさんいると思う。
次の曲、これがまたとんでもない。4曲目「Cat2」。
[Alexandros]の曲でどの曲が一番好きかは選べないけど、ライブで演奏する曲で一番好きなのは?と聞かれたらこのCat2を即答する。ライブ前、やってくれたらいいな〜と淡い期待をしていたけどまさかやってくれるとは!イントロからCat2だと気付いた時には周りのお客さんそっちのけで1人だけ飛び跳ねまくっていた。この曲の見どころ、聴きどころは何と言ってもメタルサウンドの要素を取り入れたギターソロではないだろうか。あと、普段激しい煽りをやらない白井がこの曲で高々とメロイックサインを掲げる姿が見られるのも個人的に超魅力ポイントだと思う。もうこの辺り興奮しすぎて白井がどんな煽りをしていたのか思い出せない。オタクよ、落ち着きたまえ。煽り直後のギターソロも、ある程度定型があるにしてもライブごとにアレンジがきいていてとても楽しい。頭を振りたいくらいだった。Cat2のギターリフはかつてメタリカとあだ名が付けられた白井が生み出したものなのかな?多分そうだろう。私の中の「Cat2記念日」に新しく今日が刻まれた。
5曲目「You're So Sweet & I Love You」。
スクリーンには[ ]で囲まれた大きなハートが映し出される。この曲もCityと同様、本来のライブならば大合唱が起きる曲だけど、今は心の中で。お客さんの声が聞こえない代わりにコーラスがしっかり聞こえるのは今となってはある意味貴重なことかもしれない。
ここで一旦回想シーンへ移る。とある曲のレコーディング中、「武道館が決まった!」と言う発表に驚きもしない川上役が映される。「通過点でしかない。」と言い放ちレコーディング風景が続いていく中で、「ある曲」である6曲目「Waitress, Waitress!」が始まる。これは完全に偏見なのだが、今の日本のロックバンドでこの曲くらい強烈なドラムイントロから始まる外国風漂うアコギ&ギターサウンドがあるだろうか。私はついギターサウンドに注目してしまうが、ピアノやベースの美しさも感じられるこの曲が本当に大好きだ。サビ前、特にラストのサビ前は一旦落として爆発させる盛り上げが最高の気分にさせてくれる。余談だけど、いつかのスクールオブロックで[Alexandros]のコピバンをやるならこの曲がオススメだと、メンバー本人たちが言っていた。
7曲目「Stimulator」を終え、8曲目「Starrrrrrr」。
この曲はまだ[Champagne]で活動していたとき、とあるフェスでトリを飾っていたサカナクションのステージを見て、その時に感じた悔しさを曲にしたというエピソードがある。そんな時代を経て今では自分たちも大型フェスのトリを務めるビッグバンドになったのだから、この曲に励まされないわけがない。間奏ではヒロさんが「幕張ー!」と叫び観客を煽る。そしてラスサビ前の「彷徨って途方に暮れたって また明日には 新しい方角へ」の箇所ではこれもいつものように川上がマイクを客席の方に向ける。勿論声は出せないのだが、心の中で想うだけでも会場が一体となっているような感覚だった。ライブに行けない日々が続いた中でも変わらずに[Alexandros]のパフォーマンスが見れたことが嬉しかった。
再び回想シーンへ。ここではバンド名の改名を言い渡される場面だった。[Alexandros]を語る上で改名を余儀無くされたことは欠かせないことだと思う。候補には「チンパンジー」と「レザーボーイズ」が挙げられ、ヒロさん役がとにかく「レザーボーイズだけは絶対ない。」と猛反対している様子が微笑ましかった。4人がバンド名に悩む中、「まーくんはどう思う?」と川上役に意見を求められ「俺たちは世界を目指してるから、」みたいなことを言いかけた時に川上役が閃いた様子から9曲目の「Droshky!」が始まる。高校生のとき、この曲をかけて学校に向かわないとやる気が出ない一種の症状かのように、この曲にものすごく入れ込んだ思い出がある。改名時の吐き捨てるような想いが詰まった曲として、「ワンテンポ遅れたmonster ain't dead」もこの曲とセットで本当に大好きだった。大好きと言うのは表現がおかしいかもしれないけど、気持ちがグチャグチャに詰まった曲の信頼感半端ないというか、流行りの恋愛ソングよりも私はこっちのが好き。ともかく、この曲が聴けたのが嬉しかった。
10曲目「Dracula La」。そして11曲目「Adventure」。
この曲もライブではお馴染みの大合唱が巻き起こるが、Cityと同様に心の中でシンガロング。さっきも書いたけど、声が出ていないのに会場の一体感がすごい。それはきっと、この曲が過去に作り上げてきたグルーヴ感の賜物なんだろうなと思ったり。そして、「アリトアラユル問題も タビカサナルそんな困難も いつだって僕達は 頭の中身を歌ってんだ」という歌詞が、勇退に対しても変わらずに歌い続けていくこと、そして、パワーアップして次の舞台へ力強く歩いていく[Alexandros]を予感させるような力強さを感じた。
ここでMCを挟んだ。今日のライブが開催できる感謝を述べながらヒロさん、川上と喋っていく中で、「せっかくだから白井さんも」と白井にパスされる。なんかここでめっちゃいいこと言っていた気がするんだけど全然覚えてない、、。本当後悔。唯一覚えていたのは、「二日目もあるのにさっきの(Cat2)で喉を潰してしまった。」と言っていたことだった。笑 川上のリクエストもあり、喉を犠牲にするつもりで「行くぞ幕張ー!」という力強い叫びと共に12曲目「ワタリドリ」のイントロギターに入る。この曲こそテレビやフェスの鉄板曲で何十回も聴いているはずなのに、やっぱり川上の伸びやかなハイトーンボイスが聴いていて気持ちが良い。晴れやかでありながらも[Alexandros]を見せつける力強さもあって、まさに名刺代わりの曲と言えるだろう。
そのまま続いて13曲目「NEW WALL」。
この辺りでじわじわと「勇退」の実感が湧いてきた。(私がライブ前半、興奮しすぎていたのでやっと頭を整理することができてきた。)新しい壁をむしろ歓迎して、それすらも乗り越えて進んで行くといった決意を感じさせてくれるこの曲は、まさに今の現実と重なって仕方がない。「HELLO NEW WALL」と高らかに歌い上げるこの曲を聴いていると、未来は希望で満ちていくに違いないと思うことができる。もしかしたらサトヤスに向けて歌っているのかもしれないし、お客さんに向けてかもしれない。沈んでいた心を、前向きな方奥へ向かわせてくれるようなパフォーマンスだった。
そして少し雰囲気が変わり、14曲目「Feel Like」。続く15曲目は「LAST MINUTE」。前ツアーでトップバッターでの披露が多かったこともあり、ライブ中盤というこのタイミングで聴くのは初めてだったかもしれない。ここまでくると歌詞のほぼ全てが勇退を迎えるサトヤスのことのように感じるし、音に体を揺らしながら胸のあたりがじんわりとしてくるようだった。
ゆったりとした曲が続く中で、突如ロックなサウンドに化けたのは16曲目「Mosquito Bite」だった。「のし上がってやる」という気持ち十分なこの曲は川上のお気に入りというのも頷ける。いつかのコメントで自分たちの音楽制作に対する周囲の反応に対し「去る者追わず」といったようなことを言っていた。周りの目なんて関係無く、常に上を見続け、自分たちのカッコ良いを表現し続ける音楽の姿勢は純粋に憧れてしまう。
17曲目「PARTY IS OVER」。
この時、スクリーンには過去の歴史を振り返るような写真がスライド状に流れており、序盤には見たこともないような過去の写真が連発されていたので、曲も聴きながら目に焼き付けようとスクリーンを必死に見ていた。笑 というか見るのに必死すぎたのかもしれない。またもや、オタクよ落ち着きたまえ状態。そんなこんなで曲が終わり、メンバーが楽器をおろしてはけて行く中、スクリーンには「PARTY IS OVER」の文字が映し出される。まさかこのまま終わるはずない、とアンコールを期待して手を叩いて待っていた。(ライブ後、これがアンコール前だということがわかった。)すると、文字が「PARTY IS "NOT" OVER」と足され気付くと花道にキーボードのロゼさん、それからアコギを持った川上がいた。
※公式アップの画像です。
18曲目「rooftop」の前に聴き覚えのある歌が流れる。それは川上が演者として初出演したドラマの主題歌「空と青」だった。家入レオが歌い、川上が作曲を行なったものだが、川上のボーカルを通して聴く空と青も円盤化して欲しいくらい聴き心地がよかった。そしてrooftopへと続いていく。この曲の穏やかなメロディにゆったりしていると、ギターの音入りでとっさに白井の存在を思い出し、花道後方に人々の視線が向かう中真逆のメインステージサイドのお立ち台に目を向けたくなった。正直なところ色々目移りしてしまった。愚かなオタクだった。
フロントの3人がそれぞれ中央ステージへ戻り、披露されたのが19曲目「Beast」だ。イントロの盛り上がりのところでステージに爆発演出が起こり会場は一気に熱狂する。投げかけるような歌詞とロックサウンドが最高にマッチしているこの曲も最高に格好良い。というかこの曲、結構自分にハマり曲かもしれない。これから徐々にライブで聴ける機会が増えることを期待したい。
20曲目「風になって」。
タイトルのように爽やかな風を感じさせてくれるこの曲は春にぴったりだと思う。春という季節は、出会いと別れが訪れるものだと思っている。もう言わなくとも分かると思うけど、そういうことだよね。川上の伸びやかでクリーンな歌声を聴いていると、未来が明るく照らされていくような気がする。「あと少しで自分に戻れそうなんだ」という歌詞が自分の色んなシーンと重なるように思う。自分を見失いそうな時にこの曲を口ずさむと新しい風が吹いて前を向けるような気持ちになる。MVでは4人がドライブをする描写があるが、その雰囲気があまりにも自然体で、表ではもう4人の[Alexandros]を見ることは叶わないかもしれないけど、きっと仲間としての関係はこれからも続いていくんだろうなということを感じさせてくれて、何だか暖かい気持ちになった。また、おまけ映像ではサトヤスが「めでたいな♪ めでたいな♪」と言いながら腹踊りを披露しているのだが、これはCityのMVのおまけでも同様のことをしていて、面白おかしくも時間の流れや懐かしさを感じて涙が出そうになった。CityのMVをもう一度見返えすと、同じことを考えていた人たちで新着コメントが埋まっていた。私は普段コメントを書くことはないのだけれど、この時ばかりは書き込んでしまった。世間では車のCMのタイアップ曲かもしれないが、私はこのライブのことを思い出すし、MVにサトヤスが参加した最後の曲なのだと少し寂しさを感じつつ、暖かい気持ちにもなる特別な曲になったと思う。
演奏を追えるとフロントの3人が(主に川上とヒロさんかな。)「あっ」と花道に注目する。花道の先、サブステージではシンバルが高々と掲げられた懐かしいドラムセットとサトヤスがいた。サトヤスが少しニコニコしながら両手を左右に広げて3人の到着を待っていた。「そう構えられると逆に行きたくなくなるな。笑」とぼやきながらも4人がサブステージに揃った。席の位置的に4人の背中を見る形となったが、この光景を見れただけで何だか感無量だった。21曲目、落ち着いたギターから始まるその曲は「Untitled」だった。「I'm gonna be a star Yeah I know I'm gonna be the one」と始まるこの曲だが、誰がどう見てもロックスターに上り詰めた[Alexandros]が「あの頃」と変わらず夢を追い続け、さらなる高みを目指していくような姿に本当に感動した。光り輝いていた。自分たちの信じるロックをやり続けてきた[Alexandros]、そして今日のMCで川上がお客さんを「皆さんは楽しむプロです。」と何度も口にしていたが、この曲が流れるこの空間だけは4人のための音楽で溢れていた。背後に回ったスクリーンに映る川上の横顔は、ギターを鳴らし歌っているだけではない感情に溢れていた。演奏を終えると、サトヤスが数回「ありがとう、」と繰り返していた。それから「今のありがとうは心の底から気持ちを込めて言っています。」というようなことを言っていた。「今まで自分を立たせてくれたステージにお礼をします。」と礼をする瞬間もあった。4人は並び歩いてメインステージへ戻り、サトヤスは袖にはけていった。
定位置に着いたヒロさんが「あれだけ才能に溢れてる人なんで。これからもきっと面白いことをやってくれると思いますよ、彼は。」と語っていた。MCが川上へと渡り、「サトヤスはいなくなってしまうけど、[Alexandros]はこれからも続いて行きます。」と、新曲「閃光」を披露した。そしてこの曲がライブの最後の曲だった。様々な障壁を乗り越えてきた[Alexandros]は、大切な仲間が勇退する現在でも、その足を止めることなく前へ向かっていくことを新曲で表していた。新曲でワンマンライブを終えることは中々無いと思う。なんて強い意志を持ったバンドなのだろうと思った。新曲でありながらも圧巻のパフォーマンスで締めくくり、初日のライブが終了した。
終演後、「Burger Queen」と共にエンドロールが流れた。そして、恒例となりつつある告知映像には、先ほど終えたばかりの「閃光」のリリース決定の内容が表示された。
「かえりみち」のBGMと共に規制退場で徐々に駅へと向かう。電車に揺られながら路線情報だけを確認し、何も見ず音楽も聴かずただただ今日のライブの記憶を頭に巡らせながら帰宅した。
二日目。
今日はありがたいことに友達と一緒だった。事前物販で「めでたいなTシャツ」は購入していたものの、昨日のライブがあったからかタオルが欲しくなって早めに会場に行ったが、売り切れてしまっていた。可能なら再販してほしいです、、泣。サイゼで時間を潰すも、セトリや演出のネタバレは厳禁だと思ったので口をまごまごしながら過ごしていた。
頃合いを見て再び会場へ向かい、連番では無いため一旦友達とはお別れをして席に着く。実は二日目のチケットはトレードで運良く当たったものだったのだが、番号がF番台とかなり悪かった。笑 昨日はあまりにも近かったこともあり、余計に差を感じてしまっただけかもしれないが、後ろから数えた方が早いくらいだった。まあ、ライブに来れただけでも良しとするし、後ろだって関係なく楽しむつもりで来ていた。
昨日と同様、子役による歴史を振り返るようなムービーが流れてライブがスタートした。2日間参戦したのでわかるのだが、セトリは両日ともほぼ同じだった。変化があったのは4曲目「Cat2」が「Rocknrolla!」に、7曲目「Stimulator」が「Kick&Spin」になっていたところだった。友達はCat2を聴きたがっていたので内心ドンマイと思っていたが、今日は今日で懐かしいRocknrolla!が聴けて嬉しかった。それに、ワタリドリと同等にライブでは定番曲となっているKick&Spinを昨日やらなかったことに「どういう心変わり!?」とまでビックリしていたのだが、こちらも2日目に聴けて大変ニッコリだった。ただ、キクスピのリフを花道で豪快に弾く白井の姿を見ることはできなかったので、ちょっぴり悲しかった。いつもなら頭が沸騰状態になって「イエーーーーア!」とバカみたいに騒いでいる瞬間だったので。
2日目のレポに関しては各種音楽情報配信サイトも詳細に書いているので省きたいと思う。
やはり書きたいのはサトヤスを加えた4人でのサブステージだ。昨日と同様に演奏曲は「Untitled」。ここにきて、今日のこの席が良いものだったと思えた。メンバーが近く、ほぼ正面から見ることができたからだ。ドラムの背中を見ながらライブを見ると言うのも相当貴重な光景だと思うが、周囲を無数のお客さんで囲み、フロントマンの川上を筆頭として堂々とパフォーマンスする姿を見るのはやはり一番良いものだと思う。「I'm gonna be a star」、スターになるのさ、と歌い始める歌詞は、幕張という大きな会場で響き渡るからこそ更にぐっと来るものがある。そしてドラムの音が昨日よりもよく聴き取れてくる気がした。ツイッターで「サトヤスの繊細なドラムが好き」と行ったような投稿を見かけたことがある。私は打音によって叩いている人の音の特徴がわかるほど達者な音楽耳は持っていない。でも今、この会場で一音一音重く鳴り響いているのは確かにサトヤスのドラムであり、目前に立っているのは私が待ち望んでいた[Alexandros]なんだと思うと、涙が溢れ出た。高校3年生の頃、強豪校だったバスケ部を引退し初めて行った[Alexandros]のライブは、新木場スタジオコーストで見たブロッサムズとの対バンだった。当時のMCでそのような言葉が出たのか、[Champagne]の由来で記憶していたのかは覚えていないが、「音に酔う」がわかったライブだった。モッシュが激しく、気を抜けば埋もれていってしまうような視界の中で、[Alexandros]が自分達の存在を知らしめるかのように豪快に音を響かせていて、その姿はキラキラと輝いていた。4、5年前の初めて見た[Alexandros]が今蘇ったように感じて、最高の光景だった。そんな想いに気持ちを馳せながらも、本当に今、この曲で終わり、[Alexandros]の歴史に一つの区切りができるという事実に悲しいという言葉では言い表せられないような気持ちで胸がいっぱいになっていった。学生時代、先輩と後輩の関係だった白井はドラムに詰め寄ってギターをかき鳴らし、同じリズム隊として高め合ってきたヒロさんはコーラスの時以外サトヤスの方を向きベースを奏でる。そして「俺はサトヤスに背中を預けた、だから後ろは振り返らなかった。」と後に語っていた川上は前を向いたまま歌声を会場中に響かせていく。終わる、終わってしまう、と思いながらも演奏は華々しく終わりを迎えた。気がつくと、うつむき気味のサトヤスは泣いていた。こんな姿を今までファンの前で見せたことはなかった。鳴り止まない拍手の中、4人は肩を組みながらゆっくりと花道を歩いていった。その姿、光景は惚れ惚れしてしまうくらい格好良かった。メインステージにたどり着くと、4人はステージに深々とお辞儀をして、サトヤスは去って行った。
その後新曲の「閃光」を披露し、ツアー発表の告知を終え、今回のライブは幕を閉じた。
冒頭でも言ったけど、私にはどうしても「欠けてしまった」という悲壮感でいっぱいで、勇退のことを考えると胸が締め付けられるような想いだった。でも今回の2日間のライブを終えて、悲しい気持ちは少し持ちながらも、思い出した先に今回のライブがあって明るい気持ちになれたように思う。これからの[Alexandros]が生み出す音楽も楽しみだし、サトヤスの未来にも応援していきたい。本人たちも言っていたことだけど、こんなに明るく一つの区切りができたのは仲の良さがあってのことでとても素敵なことだと思う。世間のイメージでビジュアルの良さばかりに言及されることが多い[Alexandros]だけど、色々な経験を経て意外と我が強い歌詞に溢れていたり、どんな問題も乗り越えてきた[Alexandros]だからこそ、音楽で人を勇気付けることができると思っている。それは川上1人だけじゃなくて、メンバー全員で作り上げてきたものであって、今までの[Alexandros]はサトヤスいたからこそといっても良いと思う。上裸やパンイチでステージに立っていた過去があったり、MVのおまけ映像で腹踊りしたり、玉ねぎが嫌いなことから曲が生まれたり、、。ニューヨークで道ゆく人に褒められたエピソードがあるほど特徴的なドレッドヘアで、「シンバルの位置が高い」といえばサトヤスのことだとわかるほどドラムセットも特徴的で、こんなドラマーは他には絶対にいないと思う。本人がライブ後の配信でも言っていた通り、サトヤスがいた証は[Alexandros]の楽曲やライブ映像、そして私たちの記憶にずっと残り続ける。サトヤス、今まで本当にありがとう。これで終わりなんて全く思っていなくて、これからの活躍に陰ながら応援していきたいと思っています。最強のドラムスサトヤスと、[Alexandros]のこれからが最高にロックでカッコ良く輝き続けますように。
セトリ
1・For Freedom
2・She's Very
3・city
4・Cat2(2日目・Rocknrolla!)
5・You're So Sweet & I Love You
6・Waitress, Waitress!
7・Stimulator(2日目・Kick&Spin)
8・Starrrrrrr
9・Droshky!
10・Dracula La
11・Adventure
12・ワタリドリ
13・NEW WALL
14・Feel Like
15・LAST MINUTE
16・Mosquite Bite
17・PARTY IS OVER
en
18・rooftop
19・Beast
20・.風になって
21・Untitled
22・閃光 (新曲)