“情報を届ける”という難しさ
こんにちは。北海道の地方公務員・渡邉です。
インプットばかりしていて、すっかり執筆ペースが落ちてしまいましたが、少しずつnoteでの発信(アウトプット)を再開していこうと思います。
さて、今回は、“情報を届ける”ということの難しさについて、社会教育行政の業務を通じて考えていることを書いていきたいと思います。
私がnoteを始めたきっかけについては、こちらの記事をご覧ください。
このnoteは、“社会教育行政”という分野で働く公務員の私が、勤務時間外のプライベートな時間約128時間/週を使って、いろいろな角度から町を盛り上げたいと思い、普段の業務を通じて考えていることやアイデアなどを書きためるものです。あくまでも一個人の考え方であり、私が所属する組織の総意ではありません。
きっかけは“チラシの作成”
私の担当する業務のひとつに“高齢者大学”があります。社会教育では、成人教育、特に高齢者教育として、「高齢者大学」(自治体によって名称は様々)を開講し、教養の習得や健康づくり、生きがいづくりを行っています。
人生の大先輩である方々に、「若輩者の私が…」と恐縮しつつも、毎年手を変え品を変え、“やってみたい・学びたい”に応えようと悪戦苦闘しています。
そして、毎年この時期(3月)の恒例業務が、その高齢者大学の新年度の“参加者募集チラシの作成”です。
これがまぁ難しい。
今の時代、募集・周知はSNS、申し込みはスマホからQRコードでGoogleフォームなどにアクセスして、というようにかなり手軽になりました。
しかし、私の町の2020年の高齢化率(町民の全人口に占める65歳以上の人口)は約40%ですし(ちなみに、高齢者大学の参加者の平均年齢は79歳)、総務省が令和3年6月に出した「令和2年通信利用動向調査」を見ると、全国のスマホの世帯保有率は、70代で約71%、80代以上では約11%に激減します。
こんな状況なので、先に書いたようなデジタルでの募集・申し込み方法を、現状ではメインにはできません。
もちろん、スマホやSNSを頻繁に使用している世代をターゲットにした事業であれば、様々なメリットがあるので積極的に使っていくのがよいと思いますし、実際私が担当する他の事業では多く使っています。
では、町民、特にスマホを使っていない世代に向けて広く周知する方法はというと、月1回発行される町の広報誌へのチラシの折り込みです。
特に決まりがあるわけでもなく、あくまで“自分の中での原則”なのですが、事業の参加者募集チラシは、A4サイズ(できる限り片面)にしています。余計な情報は極力そぎ落とし、必要な情報だけを掲載しようとすると、そのサイズがちょうどいいような気がしているからです。
「じゃあ、高齢者が見ても必要な情報をすぐに得られるチラシのデザインとは?」というのが、毎回の大きな悩みとなっています。
奥が深い“チラシの作成”
以前、ファシリテーショングラフィック(会議のファシリテーターが参加者から出た意見を図化すること)の研修で、講師から「マジックの色にも注意を払う必要がある」という話を聞きました。
これは、色の判別が難しい方への配慮という観点なのですが、知識としては知っていても、身近にそうした方がいないと見落としてしまいがちな観点だなと思っています。
近年、ユニバーサル・デザインという言葉が浸透し、そうしたデザインのものも目にするようになってきました。
さらに、「より多くの人にとってわかりやすい“情報のデザイン”を」という観点から生まれた“UCD(ユニバーサルコミュニケーションデザイン)“や、高齢者のインターネット利用が増加したことにともなって、Webサイトのデザインを高齢者にも見やすく、かつ分かりやすいものにしようとするSFO(シニア・フレンドリー最適化)というものがあるんだとか。
ですが、当然まだまだすべてがそうしたデザインになっているとは限らず、残念ながら私の町の役場の発行物・掲示物でも、「見づらいだろうな」と思うものも見かけます。
私は常々、情報が氾濫している今の時代、求めている人に求めている情報を届ける、たどり着かせる(リーチさせる)のは非常に難しいと思っています。
高齢者はなおさらで、媒体が限定されることで難しさが格段に上がります。
高齢者や障がいを持った方と接する機会の多い保健福祉部局だけでなく、町全体として、UCDの観点に立った情報発信が必要だなぁ
・・・ということを考えてしまうがために、チラシ作りは毎回かなりの時間がかかってしまいます。
さて、来年度の高齢者大学のチラシのデザインどうしよう。UCDやSFOに詳しい方、ぜひお力を貸してください。
今回もお読みいただきありがとうございました。では、また次回の記事で。
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