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血や書類を介さない家族――『メタルギアソリッド』シリーズから受けた傷――

更新頻度の高さについては、実は本職(?)の方が9月までシーンとしていまして、依頼が時々入るくらいの緩さになった為です。かと言ってゲームばかりしているわけではなく、新しいメガネを買うまではロックマンをやります。ロックマンは神ゲーですが記事を書く予定は一切ありません。ぴー。

▼そういえばヴィレッジの記事を更新しようとしてとあるアンケートをTwitterにて執り行いました。投票数少ないですが、結果はこのような形になりました。

▼「プレイ予定」「プレイ中」の合計が10%台だったら更新しようと思ったのですが意外と多くて驚きです。というわけで再度お蔵入りに。それにしてもたった44票とは言え、クリア済が31.8%ってすごくないですか。いやそりゃゲーマー(兼バファローズ狂)アカウントですしバイオハザード好きそうな方を比較的多めにフォローしていますけれども嬉しくなります。カプコンさん! 僕にもTシャツください!

▼カプコンって叫んだあとですが、今日は『メタルギアソリッド』シリーズのお話をします。おそらくゲーム人生で最も長くプレイしているのがこのシリーズです。僕個人の好みで簡単に各シリーズを分けると、MGS>バイオハザード>ファークライ>>>(不能壁超)>>>アサシンクリード>ダークソウル>アーマード・コア>>>・・・・・・こんな感じになりますかね。MGS、バイオ、ファークライはまあ比べられないくらい好きなのですが、ゴミみたいな脳みそに一発晴天をぶちこんだという意味でメタルギアソリッドシリーズが一番です。

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▼1点だけ、多くの方に嫌われると思いますが、僕は小島秀夫もコナミも同等に愛しており、加えて、ナンバリングも好きですしゴーストバベルもアシッドも好きですしサヴァイヴなんて今でもプレイしています。そしてどんな形であれコナミがシリーズ新作やリメイク・リマスターを出せばいいと思っております。小島監督についてはむしろそのクリエイティブさを、シリーズにとらわれない形で、新しいIPで、どんどん発揮することを強く望んでいます。そういう派閥です。たぶん世界で僕だけの。狂信者の方々、申し訳ない。

▼『メタルギアソリッド』シリーズについて、全体的にテーマが様々であり、また各タイトルでも細やかかつ丁寧に設定されているために、プレイヤーそれぞれで思うこと/考えることが異なり、僕の力ではその総てを伝えることが難しく、というか、いや、ゲームをプレイする――観るだけでは十分ではありません――ことでしか伝わらないと思います。したがって、魅力を伝えるというより僕の思考の変化を書くという形になります。

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繋がらない親と兄弟

▼ネタバレを避けて記すのが非常に難しいので、ネタバレはあります。ただこのゲームの場合、すべてを知った上でプレイしても確実に楽しめます。許して下さい。また、ここで話す内容は、MGSのナンバリング及びPWに限り、所謂本編に従ったものになります(MGやスピンオフ、アナザーストーリー除く)。あー、おそらく皆さんが避けまくっている『メタルギアサヴァイヴ』についてはいずれ書きましょうかね。神ゲーなんすよあれ。

▼MGSシリーズには様々な「スネーク」が登場しますが、最も有名なソリッド・スネーク(青いバンダナに眼帯、1・2、4主人公)の生まれは非常に特異なものです。ビッグ・ボスとよばれるスネーク(3・PW主人公、ネイキッド・スネーク)のクローンで、「子」といえば子なのですが、遺伝子操作を複数受けており、我々のようなヒトの出自とは明らかに異なります。

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▼同じクローンとしてリキッド・スネーク(作品によっては「兄」、金髪ロン毛)がおり、ビッグ・ボスの劣性遺伝子を受け継いだ――とされていましたが、実際は優性であり、リキッドはそれを知ることなく、兄弟のソリッド、父のビッグ・ボスを恨んだまま死亡します。否、ソリッドはあらゆる面で嫉みの対象であり、父ビッグ・ボスは「自分は生まれる必要がなかったのに生み出された」という強烈なコンプレックスを生み出した張本人であることから、「恨む」という言葉では到底足りない思いがリキッドにはあったことが作品の全体を通して感じ取れます。

▼むろん、ソリッドの方も簡単に言ってしまえば〝兵器〟として生み出されたヒトであることに変わりなく、立場や環境は違えど境遇としてはリキッドと全く同じです。ソリッドはイコールプレイヤーですから、〝兵器〟として活動しなくては意味がないですからね。しかしただただ兵士として行動をするより、主人公のこのような境遇を背負ってプレイすると、つねに悲しさが伴うことも事実です。

繋がらない師と弟子

▼また、『メタルギアソリッド3』では、師匠と弟子という関係が描かれます。こちらのタイトルはビッグ・ボスの現役時代(ネイキッド・スネーク)なのですが、その師匠ザ・ボスとの関係性や、PWやVへ連なるビッグ・ボスの心境の移り変わりなどが丁寧に描写されます。

▼ザ・ボスは女性で、敵国に寝返った悪として登場し、ネイキッド(プレイヤー)をいじめに(?)やってきます。師として、あるいはそれ以上の思いをもってネイキッドは彼女を慕っているのですが、ザ・ボスを始末する任務を遂げる瞬間は、あらゆる言葉や行動では決して表せない程の感情を抱きます。

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▼3では、ゼロ少佐(3、4、V)という重要人物が登場します。彼はネイキッドの上司であり、任務中の指示や雑談(コーヒーは泥水)でネイキッドやプレイヤーと強い連携を持つ、明るく神経質なおじさんです。しかし、のち、死亡したザ・ボスの意志を、ネイキッドとは違う意味で受けとめ、ソリッドやリキッドを生み出すトリガーを引いたたためにネイキッドとは対立することに。4で登場する際はすでに植物状態、最期はビッグ・ボスとソリッドに見守られその命は絶たれます。

▼そのほか、EVA(3、4、PW。ビッグ・ママ)というえ◯ちなスパイも登場。4ではリキッドとソリッドの代理母であることが明かされます。3でネイキッドと出会って以来――そのときはスパイでしたが――彼に対する執着が遺り、最期はネイキッド(ビッグ・ボス)の為に生きることになります。それが彼の為になったかどうかはともかく、彼女なりの信念を貫いた、そのことにスパイとしての嘘などはありません。

繋がらない蛇と猫

▼続けて3の話になりますが、リボルバー・オセロットという人物も避けては通れません。彼はなんと、1~Vの、PW以外のすべてのタイトルに登場している超絶重要人物です。ソリッドよりも出演回数が多いんですよ。3ではじめてネイキッド・スネークと宿敵として出会い、そのカリスマ性に惹かれることになります。彼の行動や思考としてはEVAと似ています。

▼とくに4では憧憬の対象としてのビッグ・ボスの息子であるソリッドとの対決が見所です。4で、リキッド・オセロットと称して登場し、すでに死亡したリキッド・スネークに乗っ取られた半身としてソリッドをいじめる(?)のですが、実際はオセロットそのものであり、故リキッドに精神が乗っ取られたわけでは決してなく、むしろビッグ・ボスおよびソリッドの為に大がかりな茶番や劇を拡げていた、といえます。

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▼かなり雑な概観を終えたところで、こうまとめると、ビッグ・ボスを慕う/嫌うあまり狂った人の多いこと多いこと。周辺キャラクターの変化を見せることで特定の人物(ここではビッグ・ボス)を神格化あるいは悪魔化させる脚本は本当に敬服します。また、常に裏の視点を用意していることも驚きです。どの視点から見てもどれも正義に見えない、というところも大変な技術だと感じます。コジマイズゴッドという言葉は軽すぎますが、本当に、数ある表現方法・芸術から、あえてゲーム業界を選んだ小島秀夫に感謝の念が尽きません。本当に。

不要な血

▼突然ですが、僕の出自について触れておくと、片✕であり、かつ一時期孤✕✕に居たこともあって、このゲームをプレイするときは自身に様々な面を重ねてコントローラーを握っておりました。とはいえ、僕の場合はとにかく明るい片✕孤✕✕民(これ公で使っちゃだめな言葉ですが)で、字面で見ると同情を誘いそうなのですが、当の本人は「親という存在が余りに厳しい」という同級生の言葉をよく聞いておりましたので、正直いうとラッキーくらいに思うような心境でした。

▼ところがこのシリーズをプレイしていると、やはり血や家、家族について考えざるを得ません。また同時に、かの作品がその問いと答えを同時に与えてくれたように思います。
リキッド・ソリッドと父ビッグ・ボスの関係を見ていると、この血が、お互いに流れる血が、あまりに脆く意味をなさないことに気が付きます。

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▼幼い僕にとって父を父、まだ見ぬ母を母としか捉えることができませんでしたが、これは彼等の血が僕に通っており、書類上でも同じ枠に収まっているだけのこと。それ以上の意味がどこにあるのかといえばない。リキッドについては、幼い頃(V:TPP)から父という存在に囚われた状態で、あまりに自分勝手で悲哀に包まれた最期でありました。僕は、そうじゃない。

▼それに加えて、他の登場人物も照射しましょう。EVA、オセロットについては、一ミリも血が繋がっていないビッグ・ボスの幻影を求めて奔走しています。また、ネイキッド、ゼロも、亡きザ・ボスが遺したものを自分に課している〝つもりで〟生きてゆきます。そして彼等の関係には一つも血のつながりがありません。血は繋がっていないのになぜ?

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▼彼等は非常に身勝手な、相手を思った愛とは決して言えない、恋と呼ぶに相応しい未熟な心を持ち、あらゆる事件や行動を起こし、プレイヤーを苦しめます。全員スパイだからよけいわかりにくい、伝わりにくい、うんち。ザ・ボスに、ビッグ・ボスに、精神的にとらわれた人々の行動や思考は、つねに犠牲を伴い、傷を付け、自身の手も汚れます。

▼しかしなぜこれほど汚く醜く美しいのでしょうか。血としても、書類上としても、世間一般でも、認められることが一切ない繋がりの為に彼等は生きて散った。精神的な支えや絆というものは脆く儚いものですが、同時に、血も書類も不要な、ヒトだけに許された繋がり方であると言えます。換言すれば、家族、恋人、兄弟、とかいう、あまりに軽薄な概念に縛られない繋がりを結ぶ為に、血や書類は不要だった。

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▼こんなのゲームを介さずとも、一般の方々にとってみれば当然のように理解できるのでしょうが、僕は理解して飲み込んで思考を変えるまでかなり時間を要しました。MGSシリーズ全体を通してこのような思考になり、結果的に妙な家族を構成したり元の家族(とはいえない団体)から完全に離れたり、といった行動に移ります。たいへん身勝手なもので、傷なしでは乗り切れなかったのですが、いまでも身勝手ですから、おそらく今後も身勝手に、後悔も反省もしないどころか思い出しもしないでしょう。

▼以上、あまりに分かりにくい上に牽強付会な面も多く、さらに全然笑えないものになってしまいましたが、MGSVのスクショが今見ても見劣りしないグラフィックだということが伝われば僕は満足です。しかもこれ初期型PS4ですよ。どうなってんのフォックスエンジン。フォックスダーイ! じゃなーい!

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▼7月最後の大スベリをかましたところで(悪いのはオセロット)、次のメタルギアネタは今日ほっとんど触れなかったV:TPP、あるいはサヴァイヴにしましょうかね。どっちも僕の中でかなり高評価ですし、MGO3とサヴァイヴに至ってはプレイ時間がどっちも3000時間オーバーなのでまーた思いが強くなりすぎるかもしれないなあ。

▼近い将来、また新たなMGSの物語が始まることを願って!

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