【日刊辛愛媛】出でよトランプ的首長
◎トランプ再選が現実となった。民主主義とは何ぞや?世界が苦悶する4年間が始まった。
トランプ氏が大統領に再選した一因として、これまで民主党支持だった非白人や若者からも一定の支持を得て、強いアメリカに期待する民心がトランプ氏に集まったようだ。前回大統領選の敗北時、民主主義の殿堂である連邦議会を襲撃し死者まで出た事件を誰も知らないわけでもなく、それでも過半数の有権者が彼に託した。
国民が将来に行き詰まりを感じている場合、強い指導者が支持されるのは米国ばかりではない。ロシアしかり中国しかり。そして日本も同様だったが、独裁的手法と金権政治を招くなか不幸にして故人となった。
田中角栄元総理を懐古し再評価する空気
強い指導者と言えば、昭和の高度経済成長の末期、日本列島改造論で全国にブルドーザーをかけた田中角栄元総理に再び光が当たっている。汚職事件をきっかけに晩年は政治からフェードアウトしたが、彼の政策実現の決断力とスピードは、閉塞感漂う令和の今、功罪の功が評価されている。
低成長経済や少子高齢化等、時代が異なる現代にあって彼の手法や国土開発がそのまま使えはしない。だが、石破総理が目指す地方創生は、田中元総理を手本にしているはずだ。しかし、石破氏のリーダシップや実行力に早くも党内からも疑問の声が上がっている。
よそ者が期待するスピード感ある愛媛の首長
リーダシップと実行力という点で、総理以上に心配な都道府県とその県庁所在地が愛媛と松山であり、それぞれの首長である。
とはいえ最近、明るい話題として新JR松山駅舎が開業し、知事と市長の両氏はここを新しい陸の玄関口にと意気込んでいた。
それにしても、一つのプロジェクトにかかる時間が長すぎる。住民との合意形成は最も大事だが、それは愛媛・松山に限った話ではなく、どの地方でも同様だ。
早くから地元の衰退に危機感を抱き、スピード感もって街づくりをやってきた地方は令和の今、繁栄を享受している。国内外から人が集まり賑わいをみせる隣県他市はその好例だ。当然そこにはお金が落ちて経済が回り、雇用が生まれる。
駅舎一つ新しくしたことで、恐らく両首長の任期中に次の街づくりプロジェクト達成は叶わないとみるのが、よそ者である筆者の観測だ。次の首長には例えば福岡市長のようにスピード感と結果にこだわる人材の登場に期待している(次回の松山市長選が無投票のムラ選挙になりませんように)。
対して最近、スピード感ある実行力に驚いたのが、伊予鉄道(以下、伊予鉄)の清水社長だ。エリート官僚から天下ったため、無難に可もなく不可もなく地方鉄道を細々と維持していくのかと思っていたら、次々と改革の手を打った。車両の塗色に始まり、運賃値上げには批判の声が多いものの、次々と車両の更新を行い、特に最近ニュースで話題となった省電力新型郊外電車の導入が、こんなに早く実現したのかと驚いた。
更に同鉄道の本丸、松山市駅前の整備も急ピッチで進んでいて、駅前東半分のバスターミナル移設は完了し、残った市内電車のりばを郊外電車と連続性を持たせる移設工事が粛々と進められている。
地方鉄道としては稀有な鉄道と軌道の両方を有する伊予鉄が今後、どのように進化していくか興味深い。これは筆者が既報した願望に近い話だが、四国の中で国際線便数は完敗ながら、利用者数では辛うじて優位性を保っている松山空港と
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