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短歌 寛解

 一限に起きれない僕 騒がしい子どもの声が部屋に響いて

太陽がもったいないよ僕らには心を透かすような光が

志望校受かってしまうと現実だ元夢なのに僕を手に掛ける

かすれつつインクの残るボールペン青いまま死ぬヒトみたいだな

生も死も隠す社会じゃ僕たちは空なら飛べると思ってしまう

死にたいと思って歩くコンビニで減塩タイプを選んでる夜

ゼクシィは300円で売ってても買える訳なく素通りしとく

レジ前のごみ箱にあるレシートら受け取る人のやさしさ溜まり

言葉だけ反芻される真夜中は傷つきやすい者の居残り

 願わくば夜空の星に尋ねたい僕は地上の星になれるか

好きになっちゃだめなもの。解散したバンド、貴方、わかってるけど

火照った目なぞって過ぎる北風はほんのちょっぴりやわらかだった

カラカラの砂漠みたいなこころには水では足りず愛をください

光から目覚めた春はまだ記憶 厚いコートへ朝日が刺さる

夢のない時代に生まれた僕は今、地を踏みしめ息を吸うのだ

“実は”の対義語ってなんだろうから始まった好きの考察

春という季節がずっと続いたら待ち遠しくもなくなるのかな

ジャケットに昨日の匂いが染みていて思い出されて照れ隠すだけ

壊れたら戻らないから慎重に貴方の右手触れないでいる

冷凍保存して元気がない時食べたい言葉受け取りました

ざらざらな声が心をなでるからもっと近くで聴かせてほしい

夏という言葉は刹那、青、まどろみを内包している

この世界わかったような顔の赤ちゃんには敬語使いたくなる

安物のビニール傘でいいんだよ君の横顔覗きたいから

そろそろ若者のすべてを聴きたいかなと君が言った夏の夕暮れ

近すぎてわからなくなる君のこと首の香りはここにあるけど

僕らの町から見える尾根よりも君の脊髄はぬるくてやさしい

僕にない関西弁のうつるほど君の話を聞くよ可惜夜

月曜に缶を捨てに行くときこれにて週末の終わり宣言

 木漏れ日を浴びてるだけでいいんだと、生きていけると、確信をした。

 
 


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