
高1が法律の国家試験に挑戦した話
はじめに謝っておきます。
法律の国家試験というのは本当ですが、司法試験などというような超難関試験ではありません。
それを承知の上で読んでくれる方は下へスクロールお願いします。
はじめに
高校生が取る資格といえば、何が思いつくでしょうか。まず思いつくのは英検などの英語能力に関する資格。次に思いつくのは漢検や数検。あとは簿記くらいでしょうか。
私が挑戦した資格はそのどれでもない、
「知的財産管理技能検定」
という、マイナーな(悪く言えば知名度のない)資格なのです。
知的財産管理技能検定とは
公式HPによると、
知的財産管理技能検定は、技能検定 (働くうえで身につける、または必要とされる技能の習得レベルを評価する国家検定制度)の中の「知的財産管理」という職種に関する国家試験です。
と紹介されています。
知的財産というのは、著作物や特許、商標、意匠などの知的に生み出された財産のことを言います。
つまり、知的財産管理技能検定とは著作物などの知的な財産に関する仕事に必要な能力を評価する国家試験といえるのです。
3級、2級、1級があり、3級は誰でも受けることができます。2級は、3級の合格者または知的財産に関わる仕事の実務経験が一定期間ある人などが受けられます。1級はさらに長い実務経験などがあれば受けられます。
3級、2級では学科試験と実技試験があり、学科試験は単純な知識問題で、実技試験は事例をもとにした問題となっています。ほとんど全てが4択のマークシート式です。
さて、ここまで知的財産管理技能検定について話してきましたが、ここで疑問が1つ。
なんで高校生で取ろうと思ったの?
と、お思いになるところでしょう。一体なぜなのでしょうか。
なぜ受けようと思ったのか
端的に言えば、
法律の勉強というものを体験してみたかったから。
というのが一番の理由です。
もうなんとなく想像はつくでしょうが、私は法律家というものに興味があって、将来は弁護士や裁判官や弁理士など、法律関連の仕事をしたいと考えています。
そう思ったのが中3の夏。
しかし、そこから1年経った高1の夏に私は思いました。
法律家に憧れてはいるけど法律の勉強ってしたことないな。
と。いざ法律を勉強してみると興味がわかなかったり、自分に合わなかったりするかもしれない。
そこで私は法律を試しに勉強してみようと思い立ったのです。
せっかく勉強するなら実生活に役立つ法律が良いと思いつつ、いろいろ調べていた中で出会ったのが知的財産管理技能検定(知財検定とこれから略します)なのです。
知的財産法のうちの著作権法なら実生活にも役立つ。しかも国家資格だし、一度取ってしまえば一生使える。大学入試の推薦にも使えるのでは…?
と、このような感じに考え受検を決意しました。
打算的と言われても否定はできません...。
3級受検に向けて勉強
受検を決めたのが夏でした。知財検定は毎年7月,11月,3月にやっているので、11月に受検することにしました。
2級以上は受けられないのでとりあえずは3級合格を目標に、将来的には2級の取得をゴールとしました。
勉強するには参考書が必要です。なにしろただの高校1年生。法律の知識なんて皆無ですから。
そこで買ったのはこれ。
(最新のものを表示しているので私が実際買ったものとは少し違います。)
知財検定を運営している公式が出している公式参考書です。公式なら間違いなし。しかもこれとは別に公式の問題集(過去問集)もあります。
それも買いました。
この2つの本で受検まで勉強しました。
(こっから下にいろいろ書いてますが飛ばしてもらって構いません。)
具体的にどうやって勉強するのかというと、高校で習う教科の勉強とあまり変わらず、まず参考書を読む。覚える。そして問題を解く。復習する。そんな感じです。
法律というと暗記onlyのように思われがちですが、半分正解半分間違いです。
あくまで私が勉強した限りでの感覚ですが、法律の勉強では「本当に覚えないといけないこと」と「覚えるというより理解するべきこと」があります。
前者は、たとえば数字。著作権は原則著作者の死後70年で無くなるとか、特許出願をして出願日から1年6ヶ月経つと自動的に出願公開されるとか。こういったものはとにかく覚えないといけません。
後者は、たとえば
「著作権は原則著作者の死後70年で無くなる」
というものがありますが、これが
「著作権者の死後70年」
ではなく
「著作者の死後70年」
となっているのはなぜでしょうか。そんなこと考えずに覚えるというならそれまでですが、ちゃんとした理由があります。
前提として、著作権は譲渡(人にあげること)ができるので、もし「著作権者の死後70年」だと著作権者が死ぬ前に他の人にその著作権を譲渡すれば、理論的には著作権は永遠に存在できてしまいます。
著作権が無くならないと将来の文化の発展が妨げられかねないので好ましくありません。
以上の理由から、「著作者の死後70年」となっているのです。
このように、論理的に考えれば、丸暗記する必要もありません。むしろ、このように論理的に考え頭の中で法律を構築していくのが法律の勉強の醍醐味と言えます。
以上のように、覚えるものは覚える。でも頭を回転させて「なぜそういう制度になっているのか」論理的に考え理解していく。そんな勉強法でやっていました。法律の勉強というのは案外数学の勉強と近いのかもしれません。
いざ3級を受検
そんなこんなで11月、3級の試験日となりました。
受験会場はまさかの東大。初めて行ったので楽しかったです。
試験自体は、事前にかなり入念に勉強していたこともあり余裕がありました。
結果としては、
学科試験 27/30 (21)
実技試験 28/30 (21)
でした。括弧内が合格点なので、かなり余裕でした。
そうして3級は案外あっさり受かりました。
3級の合格確率自体70%ほどはあったと思うので、特段難しいというわけでもないですがね。
2級の勉強
3級に合格してすぐに次の試験の3月で2級を受けることを決めました。
早速参考書と問題集(先ほど紹介したものの2級バージョン)を購入し、勉強しました。
3級と2級の違いは、なんといっても量。2級の方が3級の2倍近く参考書のページ数があります。
そして問題の複雑さが増します。単純に問題文が長くなったり、ひっかけ要素のようなものが入っていたり。
3級のときのようにはいかず、かなりの時間勉強しました。幸い3月の試験までは4ヶ月あったので、コツコツ参考書の内容を頭に入れていきました。
2級の受検
苦戦しながらも2級の試験日となり、受検会場へ。
学科試験のあと実技試験をやるのですが、はじめの学科試験が思いの外簡単で、満点も狙えるのではないかというくらいでした。
というところで少しアクシデント。学科試験の試験終了10分前くらいから腹痛が襲ってきました。もう問題は解き終えていた(知財検定はかなり時間が余る)ので良かったんですが、地獄の10分間を過ごしました。
学科試験の終了後トイレに駆け込み、落ち着いて実技試験へ備えました。
この実技試験なのですが、私が受けた回がめちゃくちゃ難しかったです。普通に不合格を考えずにはいられないほど。
知財検定2級は学科試験実技試験各40問で、それぞれ8割以上、つまり32点以上取らないといけないのでいくら学科試験の点数が良くても実技試験が31点以下なら不合格です。
内心かなり焦りながら、実技試験を終え、家に帰り解答速報が出て丸付けをするまで、私はずっと不安でした。
気になる試験結果ですが、
学科試験 39/40
実技試験 34/40
で無事合格でした。実技試験があと3問間違えていたら不合格だったのでギリギリです。
こうして私の知財検定の受検はハッピーエンドとなりました。
さいごに
2級に合格したわけですが、なんと2級合格者のうち20歳未満は3%ほどしかいないんです。そこから大学生を除くと一体どれだけ残るのでしょうか...。
知名度が低いであろうこの知財検定、もっと知名度が上がって欲しいと思います。そうして20未満の方もばんばん受ける世の中へ...!
私は知財検定を受検したことを後悔していません。良い経験だったと思います。将来役立つとも思いますし。みなさんもぜひ興味があれば検討してみてください。
では、以上高1が知財検定という法律の国家試験を受けたお話でした。