高校生が書いた小説『ツバキの花は落ちたまま』⑤
第六話 覚悟
終業式前日となっても、私たちは授業を受けている。国語の授業だ。この授業が終われば帰れる。少し前の私とは異なり、もう私の頭の中は楽しいことしか考えていないお花畑状態ではない。
「えーであるからして、この本文で紹介されているユクスキュルの『環世界』という概念は、生物それぞ れにはそれぞれの知覚する、独自の環境があるということを言っているわけです。少し拡大解釈になるかもしれませんが、これを人間に当てはめてみてはどうでしょうか。人間は一人一人独自の環境を持っている。