【21】商標登録は、大きな企業だけに関係のある話?(誤解あるある②)
こんにちは、横浜市の商標弁理士Nです。
最近、ドラマ「ドラゴン桜」を毎週楽しみに見ています。
今回は、「誤解あるある」シリーズの第2回です。
さて、私のこれまでの商標弁理士としての経験の中で、
商標登録は、大きな企業だけに関係のある話だ。
だから、うちのような小さな会社には関係ないだろう。
このように考えている事業者の方を見てきました。
商標登録は事業者の義務ではないためか、意外とこのように理解している方も少なくないようです。
しかし、これは完全に誤解です!!
商標登録は、事業規模の大小にかかわらず、すべての事業者に関係のある話なのです。むしろ、小さな会社だからこそ、商標登録をすることによって、これが高い壁として立ちはだかる競合の大企業への対抗手段の一つとなり得る可能性だってあるとも言えます。
その理由は、すでにお話しした、「【3】商標登録のメリットとは何か?」、「【4】商標登録の真のメリットとは?」、「【5】なぜ、商標登録をしないと怖いのか?」の記事を読んでいただければ、よくわかると思います。
ちなみに、「特許行政年次報告書2020年版」によれば、2019年にされた商標登録の申請数は190,773件だそうですが、中小企業による申請数は94,532件だったそうです。
たしかに、大企業による商標登録の数は基本的に多いものですが、申請の約半数は中小企業によるものであるという事実には留意しておく必要があります。商標登録をしっかりと活用しようと考えているこれらの中小企業は、ライバルよりすでに一歩進んでいると言っても過言ではないでしょう。
なお、個人事業主にも商標登録は必要なのか?という疑問があるかもしれませんが、個人事業主も事業者でありますから、中小企業の場合と変わるところはありません。
むしろ、「自分自身の能力が売り」となるような職種の個人事業主の場合は、パーソナルブランディングの一環としても、商標登録は役に立つでしょう。たとえば、オリジナルの肩書きとか。
とはいえ、商標登録にはそれなりの費用がかかります。
事業規模が小さければ、そんなにお金がかけられないのもわかります。
ですが、何も商品やサービスに使っている商標のすべてを商標登録しろと言っているわけではありません(もちろん、全部を登録するのが安心・安全の面からは理想ですが。)。どの事業者にも、使用頻度や使用規模などから見た「優先度」や「重要度」が必ずあるはずです。その中には、「多少のお金をかけてでも、絶対に商標登録をしておいた方が良い」という商標もあるかもしれません。
オールオアナッシングの考え方なんてすることはないのです。優先度や重要度が高い商標だけを商標登録するというのも、全然アリですよ。
なので、最終的に登録申請をするしないにかかわらず、こういった点も含めて、たとえば専門家である弁理士に、一度相談をしてみる意義は大きいと思います。というか、こういう困った時や悩んだ時のために弁理士はおりますから、ぜひとも活用していただければ(笑)。
弁理士に相談すると、いきなりお金をとられそうで怖いからイヤだということであれば、日本弁理士会や知財総合支援窓口に、まずはご相談されても良いでしょう。
冒頭の
商標登録は、大きな企業だけに関係のある話だ。
だから、うちのような小さな会社には関係ないだろう。
という誤解ですが、
実際には、
商標登録は、大きな企業だけに関係のある話ではない。
貴社のような小さな会社にも、もちろん関係がある。
このように、ご理解いただくのが良いと思います。
私はよく言ってますが、商標登録をしないで事業を行なうのは、RPG(ゲーム)で武器や防具を装備せずにフィールドをウロウロしているようなものです。一度、敵モンスター(商標トラブル)にエンカウントすると、痛い目に遭う可能性が高まってしまいます。
商標登録を、甘く見てはいけないのです!
以上、今回は「誤解あるある」シリーズの第2回として、「商標登録は、大きな企業だけに関係のある話?」について、お話いたしました。ご参考になれば幸いです。
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【企業・経営者向け】
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