商標弁理士と振り返るファミコンソフトのタイトルネーミング ~その8 「ワールド・ランド」編~
こんにちは、横浜市の商標弁理士Nです。
さて、商標弁理士である私が、ファミコンソフトのタイトルを総チェックし、それらのネーミングについて、独自にカテゴリー分けをして言及した上で、商標実務の観点からもコメントしようという本企画。
今回で、早くも第8回目を迎えました。
そろそろネタ切れしそうですが、もう少しだけ続きます(笑)。
前回は、「繰り返し系」のタイトルについて考察しました。
今回は、引き続き「ワールド・ランド」関連のタイトルを見ていきましょう!
独自の世界観を表現する「ワールド・ランド」ネーミング
私たちが普段生活をする中で、「〇〇〇ワールド」とか「〇〇〇ランド」というネーミングを見聞きすることが、少なくないのではないでしょうか。
その中でも、テーマパークや遊園地に関連したネーミングが、比較的多い印象があります。たとえば、「〇〇〇ワールド」には、USJにある「スーパー・ニンテンドー・ワールド」がありますね。また、「〇〇〇ランド」には、かの有名な「ディズニーランド」や「よみうりランド」などがあります。
「ワールド(WORLD)」は「世界」、「ランド(LAND)」は「土地」を意味する語として、我が国でもよく知られていると言えますが、「〇〇〇ランド」の場合の「ランド」は、どちらかというと「国」のような意味合いで理解されるものかと思います。
よって、このような「〇〇〇ワールド」とか「〇〇〇ランド」のネーミングは、全体から「〇〇〇の世界」、「〇〇〇の国」といった意味合いを生じると言えるでしょう。いずれも、そこに独自の世界観があることを表現するのには、わかりやすく、最適なネーミング手法と言えるのではないでしょうか。
それでは、ファミコンソフトのタイトルのネーミングにおいてはどうでしょうか? ゲームの中の世界には、まさしく、それぞれに独自の世界観があると言っても過言ではありません。このような世界観をわかりやすく表現するために、「〇〇〇ワールド」とか「〇〇〇ランド」のネーミングが使われていても、何もおかしくありません。
そこで調べてみたところ、やはりそれなりの数が見付かりました。
ただ、「思っていたより、かなり少なかった」というのが、正直な感想です。
「ワールド・ランド」ネーミングのファミコンソフトタイトルの一例
では実際に、「ワールド・ランド」ネーミングのファミコンソフトのタイトルの一例を見てみましょう。
まずは、「〇〇〇ワールド」のネーミングのタイトルです。
私が好きな名作ゲーム「コナミワイワイワールド」などがありますね。
ちなみに、原作や元ネタのあるファミコンソフトの中にも、「SDガンダムワールド」、「ビックリマンワールド」、「ハローキティワールド」があります。
次に、「〇〇〇ランド」のネーミングのタイトルです。
当時の「ディズニーランド」人気の影響があったのでしょうか、「〇〇〇ワールド」よりも「〇〇〇ランド」のネーミングの方が多い印象です。
また、比較的ファミコン初期のタイトルが多い気がしますね。
ちなみに、「ドナルドランド」は、あのマクドナルドのキャラクター達が登場するアクションゲームで、私は小さい頃にかなりハマって熱中した思い出があります。
「キョロちゃんランド」は、皆様よくご存じの森永のお菓子「チョコボール」のパッケージキャラクターである「キョロちゃん」が主人公のアクションゲームです。現在は、中古市場でもかなりのプレミアが付いているとか。
商標実務的にはどうか?
上述のように、「〇〇〇ワールド」とか「〇〇〇ランド」のネーミングは、全体から「〇〇〇の世界」、「〇〇〇の国」といった意味合いを生じ、独自の世界観を表現しやすい語になると言えます。
ですから、こういったタイプのネーミングが、商品やサービスの商標として採用されても、何もおかしいことはありません。
ここで、特許庁のデータベース(J-PlatPat)で、「?ワールド」をキーワードとして「商標(検索用)」で検索すると768件、「?WORLD」をキーワードとして同様の検索をすると2187件がヒットしました。
また、「?ランド」をキーワードとして「商標(検索用)」で検索すると1840件、「?LAND」をキーワードとして同様の検索をすると2726件がヒットしました。
これらの検索結果がすべて「〇〇〇ワールド(WORLD)」や「〇〇〇ランド(LAND)」という構成からなる商標というわけではありませんが、それでもかなりの数が存在しているであろうことは予測できます。
なお、「商標が似ているかどうか」が判断される際には、これらの商標は全体としての観念が生じやすいこともあり、基本的には商標全体での比較によるということになるでしょう。ただし、たとえば、「〇〇〇 ワールド(WORLD)」のような商標の「〇〇〇」の部分が、商品やサービスとの関係で識別力がないような場合は、「ワールド(WORLD)」の部分が「要部」であるとして、他の商標と比較されるケースも考えられます。
このあたりは、「結合語編」で述べた点と、ほぼ同じです。
という感じで、今回はここまでとなります。
本企画も、そろそろ終盤に差し掛かってまいりました。
次回は、「ファミリー」を含むネーミングについて見ていきましょう!
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