りすさんちのおこまりごと
まだまだ梅雨空が続いています。
りすのお母さんは、どんよりした空を見上げて、ため息をつきました。
お母さんの手には、11匹の子どもたちの洗濯物が、かごいっぱいに入っています。
「この子たちの仕事は、遊ぶこと、食べること、笑うこと。それから、汚すことね!あーあ、今日もこのお天気じゃあ、乾きそうにないわ。困った、困った。」
お母さんが洗濯物を抱えて困っているのを見て、1匹のりすの子が言いました。
「そうだ、カナヘビ博士に相談しよう!」「それがいい!」
カナヘビ博士は、森の岩場に住んでいます。森の生き物たちが困っていると、いろいろな発明をして助けてくれるので、こんな時は、カナヘビ博士に相談するのです。
りすの子どもたちは、カナヘビ博士に、お母さんが困っていることを伝えました。
「ふんふん、なるほど、それは大変だね。」カナヘビ博士は、りすの子どもたちを見ながら、言いました。
手と足は、真っ黒。口の周りやおなかには、ジャムや蜂蜜に、何かの食べかすがついたのが、こびりついています。しっぽは毛玉だらけ。
「わかりました、では、明日の3時に、取りにいらっしゃい。」そういって、ドアを閉めると、さっそく何かを作り始めたようです。
次の日、りすの子どもたちは、お母さんりすをつれて、カナヘビ博士のところに行きました。
「おお、ちょうど、いま、完成したところです。」
カナヘビ博士は、ヘンテコな機械を出してきました。
「これは、せんたくロボット、かしら?」お母さんりすが聞きました。
大きなたらいに、長い腕のようなものが、5本もついています。
「まあまあ、見てらっしゃい。この中で、いちばんお兄ちゃんは誰かな?」
「はい!ぼくです!」1匹のりすが前に出ました。いちばん大きいかどうかはわかりませんが、11匹の中でも、いちばん汚れて、真っ黒でした。
「よろしい、さあ、ここへおすわり。」博士は、たらいの中に、りすの子を座らせると、スタートボタンを押しました。
すると、1本の腕から、勢いよくお湯が出てきました。もう1本の腕からは、せっけんの泡が、さらに、ブラシのついた腕が2本伸びてきて、りすの子をごしごしと洗い始めました。
りすの子は、くすぐったいし、気持ちがいいしで、ずっと笑っています。それを見て、他のりすの子も、「ぼくも!」「わたしも!」と、入りたがりました。
「もう少し、お待ちなさい。」カナヘビ博士も嬉しそうです。
シャワーで泡をきれいに流すと、最後に伸びてきた腕から、暖かい風が出て、りすの子のやわらかい毛を乾かしてくれました。もう一度、ブラシでなでると、完成です。
りすのお兄ちゃんは、ふわふわの、ピカピカの、どこに出しても恥ずかしくない、立派なりすの子になりました。
「まあ、服だけでなくて、子どもたちも一緒にきれいにしてくれるのね!」お母さんりすは大喜びです。
りすの子どもたちは、次から次へと『せんたくふろロボット』に入り、みんなピカピカになりました。
カナヘビ博士は満足そうに、空を見上げました。明日から7月、『せんたくふろロボット』この夏中、りすのお母さんを助けてくれることでしょう。
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