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放牧経産牛「すすき」について
こんにちは。
上の山放牧場の渡邊強です!
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さて、もうすでにSNSでも報告をしていますが、
今年の3月、2年ぶりとなる放牧経産牛の出荷が決まりました!!
放牧経産牛として4頭目となる今回の牛。
名前は「すすき」13歳。
実は僕が放牧経産牛を始めた時から、一番期待していた牛でもあります。
![](https://assets.st-note.com/img/1738465977-wxoRNlmA5uLFca8QKrtv30nj.jpg?width=1200)
今日はこの「すすき」がどういう牛なのか、少しでも皆さんに知ってほしいので紹介していきたいと思います。
放牧経産牛すすき
すすきは2011年7月25日生まれ。
2年前にお肉にした放牧経産牛「やまてる」と同い年の牛であり、
最初の放牧経産牛「わかはな」とは親戚で祖母が一緒の牛です。
生涯で13頭の子牛を産み育て、
人が介入しなくても楽々生んでしまうほど、お産が軽い牛でした。
母性もすごく強く、子牛が産まれたあとは人が近づけないぐらい攻撃的になる牛で、いつも産まれた子牛のケアに苦労した記憶があります。
![](https://assets.st-note.com/img/1738473223-nOAaPYyeZIr1JLlkWp0RcKbM.jpg?width=1200)
性格はちょっと気難しい牛。
隣で黙って立っていると、不機嫌そうに鼻息を荒らすけど、
首やお尻の痒そうなところをブラッシングすると
すぐに気持ちよさそうな顔をして大人しくなるような牛です。
今日も牛舎の柱を孫の手代わりに擦りつけて、お尻を搔いています笑
放牧経産牛すすきがお肉になるまで残り2ヶ月
— 上の山放牧場|渡邊強 (@tuyosiusi) January 20, 2025
今日は恒例の尻ダンス pic.twitter.com/22pynuDQIl
またすすきはその血統も素晴らしく、
父と祖父は、和牛の時代を築き上げてきた2頭の名牛、安福久(やすふくひさ)と勝忠平(かつただひら)という牛の血筋を引いています。
これは当時の時代で考えられる血統ではベストの1つに数えられる組み合わせ。
個人的なイメージとして馬で例えるなら、
キタサンブラックとディープインパクトが掛け合わさったような牛です。(競馬ファンのみなさん、にわかな事言ってたらごめんなさい)
黒毛和牛では血統が重要視されていて、
特に安福久の血を引いていないと、子牛市場での取引価格が数十万単位で変わる場合も少なくありません。
実際、すすきから産まれた牛の牛肉も成績が良く、僕が期待しているのも、血筋やすすき自身の能力の高さが1つの理由になっています。
(あくまで血統は肉質に関与する一因であって味の全てを決めるわけではありません)
![](https://assets.st-note.com/img/1738395341-6xn1GBudVSajt9IKOHQy2LRm.png)
市場上位で取引される牛には必ずと言っていいほど「安福久」や「勝忠平」が絡んでいます。
ちなみに以前、放牧経産牛として出荷した「やまてる」や「きくさと」は両方とも父牛が勝忠平。
すすきはその勝忠平に安福久を掛け合わせているので、1つ改良が進んだ牛でもあります。(ちょっとマニアックすぎますね笑)
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すすき自身、毎年子牛を産み、繁殖性も申し分がない。
我が家では主軸として活躍してくれました。
すすきの後継牛となる牛も我が家には2頭おり、
「かや」と「すすき1」という若い母牛がいます。
放牧での事
放牧でも群れのリーダーとして活躍し、それに相応しい威厳を感じるほど立派な体格と、長い角が特徴。
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ただその威厳とは裏腹に、可愛いところもあって、
本来すすきはリーダーとして、群れの先頭に立つ存在なのですが
歩くのが遅く、
先頭の座を副リーダーに奪われるどころか、若い牛達にも置いていかれ、
最後尾を歩く事が多く、群れについていくのがやっとという一面もあります笑
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![](https://assets.st-note.com/img/1738470160-fLRcj0hvB7ierldCzyS9G8a6.jpg?width=1200)
去年の10月がすすきにとって最後の放牧で、放牧場から牛舎まで連れて帰った日は忘れられない1日でした。なぜか群れから遠く離れた場所に1頭だけいた、すすき。そのすすきが突然歩き出し、どこに向かうんだろうかと1キロぐらいついていった先に、待っていたのは他の牛たちが草を食べている姿が。これには僕も驚き、なにを頼りに迷わず、すすきが群れに向かって歩いていたのか不思議に思いながら雨の中、これがこの牛にとって最後の放牧なんだと、1歩1歩踏みしめて牛舎まで連れて帰った日でした。詳しくはこちらの投稿から↓
そんなすすきは今年の3月、お肉になります。
正直、屠畜する事を決めて屠場に連れていくのは何度やっても慣れません。
それは作業として慣れないのではなく、
気持ちの面で慣れないという事。
やっぱり自分の牛となると落ち着かないです。
家畜車を運転していて、万が一事故を起こしてしまったらどうしようとか。
カーブを曲がる時に、積んでいる牛がビックリしないかと不安になってしまう。
だけどこれは、最後まで責任をもって牛をお肉として届けるからこそ感じる事なんじゃないかなとも思っています。
放牧経産牛は単に放牧をして育てた牛ではなく、
上の山放牧場の環境や景観を維持し、守っていく存在でもあります。
そして上の山放牧場の環境全てが、すすきを育て、牛肉に変わります。
放牧場で13年生き抜き、長く育つ事で凝縮された牛肉の濃い味。
健康に生きた事で内臓も別格です。
皆さんのもとに、美味しい牛肉として届けられるよう、
ここから3月中旬まですすきと向き合っていこうと思います。
ちなみに3月1日まですすきに会えるので、もし興味のある方は会いに来てみてください!
会いに来た人たち限定でホルモンを味わい、主観の持てる牛肉にしかない特別な美味しさを共有したいと思ってます。
以下予約フォーム↓
では!
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