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【閑人閑話】立場を弁えたお願い

 頼み事は、ダメで元々。ただしお願いの表現方法は磨く。
というのが大事だと思う。ダメ元でいると、頼み事を聞き入れてくれた時は素直に感謝できるからだ。

 この前の休日にとある雑貨屋さんで、心惹かれるポスターに出会った。
そのお店では、大中小サイズのポスターがレコードのように雑多に陳列されており、白か黒の額縁付きで販売されていた。
 1つ魅力的なポスターを見つけたが、白い額縁にしっくり来ない。

 (いいんだけど、額縁が白じゃねぇな。このポスターには黒だろ。)

みたいなことを思う。実は、心の中に浮かんだ生の感情はもっとぞんざいで、言葉にすることでほとんどが零れ落ちてしまっているのだが。
 自分の欲求を満たしたかったのだろうか。僕は無理を承知で頼みたいという顔をしつつも、気付いたら店主に話しかけていた。

  • 「すみません。このポスター凄く気に入りました!ただ額縁が黒かったら、今すぐ買うのですが…。」

  • 店主は、(それで何だい?)というような顔でこちらの様子をうかがっている。

  • 「・・・なので、もしできるなら、額縁を黒に入れ替えて売ってくれませんか?」

  • 店主は、少し間をおいて、「ちょっとお待ちください」と答え、棚を探し始めた。

  • 「え、よろしいんですか?」

  • 店主は、「入れ替えにお時間を頂いても?」と返す。

  • 「もちろんです!」

 その時は、(ラッキー!言ってみるもんだな。)程度にしか思ってなかった。少し時間が経った今、いい体験だったと思えたので、印象に残った考えを2つ記録に残す。
 1つめ。額縁の変更を聞きいれてくれたとき、素直にありがとうと思った。たぶんダメで元々と考えられていたからだ。素直な反応をだせるのは得だ。
 2つめ。言葉で表現するって高度だ。ぐっしゃぐしゃな思考のなだれから、1つのストーリーを即座に拾い上げて僕は喋っているのだろう。「ポスターの柄良いな。額縁が白は嫌だけど。黒なら買う。この雑貨屋雰囲気好きだな。店主さんと話してみてぇ。」から、「すみません。このポスター凄く気に入りました!ただ額縁が黒かったら、今すぐ買うのですが…。」を生み出していた。

 昔と比べて、ストーリーの拾い上げ方や表現の仕方が上手くなったかもしれない。1年前の自分は、ぐっしゃぐしゃな思考に振り回されており、なかなか言葉にできなかったから。また、表情や声の抑揚に気を配る余裕がなかったから。
 僕はこうやって表現を磨いて生きている。この話を聴いてあなたは何を思うだろうか?できるならあなたなりの考えを聴きたいところだ。


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