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【詩の森】567 信念
信念
僕らが学校で教わったことは
僕らを作るいわば仮の土台に過ぎない
なぜなら
そのときは未だ
教わった内容を批判するだけの力が
僕らには無かったからだ
しかし本当の土台を作らないまま
僕は60歳過ぎまで生きてしまった
仮の土台を仮とも知らず
信じて疑わなかったからだ
だから土台の中に嘘をみつけたとき
僕は呆然とした ―――
本当の土台は
僕らが自らの手で作るものだったのだ
仮の土台を修理し補強し
ときにはそっくり入れ替えることで
それは叶うだろう
それには問いを発することだ
君が問いを発し
納得のいく答えを君自身で探し出すのだ
それは君に新鮮な発見の喜びをもたらすだろう
それが学ぶことではないだろうか
教わるときとは真逆のベクトル―――
もう誰も君を止められない
三年五年十年
君が問い続けることができたら
やがて土台は堅牢になり
君に生き抜く力を与えてくれるだろう
もはや君は誰かの言い成りではない
どっちつかずで右往左往することもない
君は松本俊介の
『立てる像』を知っているだろうか
あの像のように
二本の足をコンパスのように開いて
君は大地に立っている
揺るぎない信念を手にいれたのだ―――
2023.11.16