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【詩の森】743 誰もが花ひらく世界

誰もが花ひらく世界
 
天才は世界に数人しかいないと
僕らは勝手に思い込んでいる
しかし天才が文字通り
天から授けられた
生まれつきの才能をいうのなら
僕らは誰もが何かしらの天才をもって
生まれてきたのではないだろうか
自分では当たり前と思っていることが
ひょっとしたら
天才かもしれないのだ
 
日本では明治五年に
軍隊を模して学校制度がつくられたという
しかし何故軍隊だったのだろう
それは当時のスローガン
富国強兵・殖産興業と深く関わっている
当時求められた人材とは
上官や上司の命令を忠実に遂行できる
優秀な下僕のような存在だった
国を動かす数パーセントのエリートたちとて
例外ではなかったのだ
 
このシステムは
敗戦を経てもなお連綿と受け継がれている
それは見事なほどの上意下達のヒエラルキーだ
それがこの国の支配層にとって
もっとも効率のよいやり方なのだ
しかしそれは一方で人々の考える力や
自立する力を削いでいるともいえるだろう
今この国に活力はあるのだろうか
山積みする問題に展望を持てずにいる
のではないだろうか
 
educateとは本来導き出すことだ
教え育てるより共に育つほうがずっといいだろう
「みんなちがってみんないい」と
金子みすゞさんはいった
人とは「違う・変わる・関わる」ものだと
教育者の太田尭さんはいった
ロボットやAIの登場により
これからは創造的な人材が求められていくだろう
個人の天才を花ひらかせる共育を
今こそ実践すべきではないだろうか
 
もし教育の現場が旧態依然として
子どもたちの天才を見つけ出せないのなら
他の誰かが見つけてあげるしかないだろう
誰だって自分のことは分からないものだから―――
君の天才を知る人は
君のことが好きでたまらない人たちだろう
エジソンはあのお母さんがいたからこそ
エジソンになれたのだ
そんな人が一人いるだけで僕らは生きていける
自分の天才を信じて―――
 
だからこそ失敗しても
何度でもやり直せる社会が必要なのだ
子どもたちの
それぞれの天才が花ひらくとき
この国にも世界にも
ほんとうの平和が訪れることだろう
トットちゃんこと黒柳徹子さんのモットーは
「他人と比較しないこと」だそうだ
競争原理に支配された資本主義を超えて
誰もが花ひらく世界を創りだそう!
 
2024.10.20

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