【詩の森】637 もし僕が悪い統治者なら
もし僕が悪い統治者なら
もし僕が悪い統治者なら
大人も子供も老人も
年中忙しくさせておくだろう
忙しければだれも
自分の事で手一杯で
政治のことには
見向きもしなくなるだろう
もし僕が悪い統治者なら
子供には受験をあてがい
政治に興味すら持たせないだろう
非正規を全職種に拡大し
低賃金の職場を増やすだろう
そうすれば貧乏暇なし
金の力に容易くひれ伏すだろう
もし僕が悪い統治者なら
人生は100年時代だと吹聴し
70歳まで働こうと発破をかけて
年金受給開始を
70歳まで引き上げるだろう
働くことは最大の美徳だから
だれも文句はいわないだろう
もし僕が悪い統治者なら
付加価値税を消費税と偽り
社会保障費をみんなで負担しよう
と宣伝するだろう
税率を上げ物価を上げても
助け合いもまた美徳だから
互いのためだと納得するだろう
もう何十年も
預貯金金利は据え置かれ
実質賃金は下がり続け
国民負担率は上がり続けている
それでもなお自己責任と尻を叩かれ
政治責任は都合よく
不問に付され続けている
もし僕が悪い統治者なら
マスコミを監視し
マスコミを牛耳り
ほんとうのことは一切伝えないだろう
知られたら万事休すだからだ
そして日本は疾っくに
そのようにされているのだ
2024.5.11