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【詩の森】658 不定愁訴と経世済民
不定愁訴と経世済民
同じ日本語でも
出会わずにすむ言葉もあれば
ある時ふいに出会ってしまう言葉もある
被曝二世・三世の記事を読んでいて
「不定愁訴」という言葉を初めて知った
器官や組織に疾患がないのに
自覚症状を訴える状態のことだという
いわば原因不明の病気だ
僕がこれまでこの「不定愁訴」を
知らずに過ごしてこれたのは
単に運がよかっただけだろう
人には一生を通して深く付き合う言葉が
それぞれあるに違いない
サラリーマン時代の僕の言葉は
売上・効率・生産性といった
無味乾燥な言葉たちだった
経世済民という言葉に
君はもう出会っただろうか
世の中を治め人民の苦しみを救うことだという
はたして国は人を救えているのだろうか
なるほど被曝二世に対して
国は無料で健康診断は実施しているが
そこで病気が発覚しても
援護施策は一切実施していないという
その理由は放射線の子孫への影響は
動物実験で実証されただけで
人間に対する影響は確定していないからだという
それなのに健康診断のデータだけは集めている
何とも不可解としかいいようがない
「不定愁訴」を救えるとしたら
「経世済民」の国以外にはないだろう
国は怠り続けているのだ―――
2024.6.17