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SVART CROWN / Les Terres Brûlées【音楽レビュー】
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Geoulah
Les Terres Brûlées
Digitalis Purpurea
Cavalier Noir
An Open Heart
フランス産ブラック/デスメタル、2022年リリースのEP。
デスメタル的な重さや攻撃性を備えた不協和音系ブラックメタルといった感じのバンドで、BEHEMOTHやBELPHEGOR、DEATHSPELL OMEGA、あるいはULCERATEあたりも引き合いに出されることが多いように思う。
アングラなブラック臭は無く、演奏は整合感があって、サウンドプロダクションも良好なので聴きやすい。
爆走一辺倒ではなくアトモスフェリックな静のパートや重々しいパートも組み込んだメリハリのある展開、そして何より、どの曲も一聴して耳を引くフレーズで溢れていて、SVART CROWNというバンドに抱いているイメージを端的に表すならば「リフセンスの良いバンド」の一言に尽きる!
しかし、そんなフレンチブラック/デス界の至宝は、2022年6月、自国フランス最大のメタルフェスHellfestでのステージを最後に、解散してしまった…。
つまりこのEPがラスト作品ということに。残念すぎる…。
解散時のメンバー構成は、
JB Le Bail…Gt. 、Vo.
Clément Flandrois …Gt.、Vo.
Rémi Serafino…Ds.
Julien Negro…Ba.、Vo.
ただEPのレコーディングはJBがベースも担当したもよう。
バンド創設者でリーダーのJBは、現在は同郷のブラック要素のあるアバンギャルド系ミュージシャンIgorrrのバンドでヴォーカルを務めているようだが、今後また自身が中心となる新たなバンドで戻ってくるはず!(戻ってきて!)
Clément とRémiはブラックメタルバンドHYRGALで共に活動している。チラ聴きした感じではSVART CROWNよりも純正なブラックの印象。
JulienはプログレッシヴメタルバンドSPHERIC UNIVERSE EXPERIENCEで2022年に新譜を出している。(ドラマーはRomain Goulon先生だがエクストリームなドラミングは封印している様子。)
![](https://assets.st-note.com/img/1671447219108-BJzZyXCvwH.jpg)
1 - Geoulah
不穏さを発散するリフに、ドラムは表拍スネア+バスドラ連打のブラストで、得体の知れない邪悪の塊が突進しているかのような幕開け。リフの感じはMAYHEMっぽいように思った。曲の折り返し、2:18〜からのフレーズがヘヴィ系のテクニカルデスみたいでかっこいい!
2 - Les Terres Brûlées
精神崩壊しそうな危うさを感じさせるイントロからはWIEGEDOODを思い出した。ただこちらのほうがキャッチーで聴きやすい。中盤以降、ポストメタル的な雰囲気もある静寂から呪術・儀式を思わせるパートへと展開する様は、漆黒の暗闇の中から徐々に地獄の化身が姿を現すかのような、まさにアートワークの世界観そのものといった感じで、タイトルトラックとなるのも頷ける名曲!
3 - Digitalis Purpurea
ジャーーン!!で始まりシンバルでシャ〜〜〜〜って溜めてからの、弾けるようなドゥルタンッでブラストで爆走!これがかっこよすぎて一気にテンション上がる!そしてヴォーカルの入りと同時に2回目の溜め開始。今度はバスドラ地鳴りの上にチャイナの乾いた音色が響く。そして再び爆走!この序盤の展開だけでもう最高。
4 - Cavalier Noir
カオティックハードコアの重鎮CONVERGEの“Dark Horse”のカバー。曲名を変えている(直訳すると“黒い騎士”)のは、ただのつまらないコピーもどきではないという自負の表れだろうか?原曲ではせわしなくピロピロ弾いてるメインのフレーズが寒々しいブラックメタル風に化けていたりと、S.CROWN流にアレンジされて違和感無く溶け込んでいる!
5 - An Open Heart
EP制作時に既に解散が決定していたのか、この曲がS.CROWN最後の曲になるとわかっていたのか、それは知る由もないが、曲全体に寂寥感のようなものが漂っているような気がする。Hellfestのラストもこの曲で締めている。
最初の約2分ほどの、ゆったりとしたイントロ部分はCULT OF LUNAの曲だと言われたら信じてしまいそうなほど雰囲気が似ている。そこからジワジワと盛り上げ、中盤過ぎ、これで最後だと言わんばかりの渾身の爆走パート。リフ自体の哀感も手伝って、泣きそうになる…。