構造デザインの講義【トピック4:鉄・鋼による構造とデザイン】第3講:鉄骨の繊細さとデザイン
クリスタル・パレスが建築の構造とデザインにもたらしたもの。
東京理科大学・工学部建築学科、講義「建築構造デザイン」の教材(一部)です
トピック4:古代の石と木による構造
第1講:経験から科学へ
第2講:鉄鋼材料の登場と実践
第3講:鉄骨の繊細さとデザイン(ココ)
第4講:長大スパンの構造とデザイン
第5講:鉄の魔術師、エッフェル
第6講:長大スパンの構造の発展
鉄骨の絵画的表現と輝き、クリスタル・パレス
~鉄骨骨組構造、意匠・装飾の表現とプレハブ~
鉄骨構造が建築分野にもたらしたものは、構造性能の向上や施工性、加工性、信頼性とともに、その繊細な表現力もあります。
単体で用いた際の線による描画的表現はさることながら、その他の部材と組み合わせることで、表情や表現の幅は大きく広がります。
水晶宮=クリスタル・パレスは、万国博覧会の公開設計競技において、ジョセフ・パクストンによる鉄とガラスの案が採択されました。
睡蓮の葉脈の放射と交差のイメージから着想を得たとされています。
延べ面積8万km2にもおよび、建設から6か月の1851年に完成しました。
実際に建設されたクリスタル・パレスは、パクストンの案とは異なります。
それは、3本のニレの木を伐採せず、巨木を包むように円形屋根とされました。
この水晶宮は、徹底した部材の規格化、巧妙なディテール、トラス架構、カーテンウォール、室内環境の制御、品質管理といった、今日の建設技術の原点ともいうべき総合的技術が用いられました。
いわゆる、プレファブリケーションの建設システムに通じるものです。
万博終了後、ロンドン郊外に移築されましたが、1936年、火災によって鉄とガラスが溶け、クリスタル・パレスは消滅しました。
今日、クリスタル・パレスと呼ばれる建物は、世界各地に存在しています。
クリスタルの輝きと、鉄骨の繊細で優雅な表現を見ることができます。
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鉄骨構造の教材(電子書籍)
東京理科大学・鉄骨構造の授業で使用している電子書籍です。
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