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構造デザインの講義【トピック8:立体構造のデザインを科学する】第4講:ハイブリッドテンションの力学とフォルムの可能性(2)
ハイブリッドテンションによる構造とデザイン
東京理科大学・工学部建築学科、講義「建築構造デザイン」の教材(一部)です
トピック8:立体構造のデザインを科学する
第4講:ハイブリッドテンションの力学とフォルムの可能性(2)(ココ)
東京ミッドタウン・ガラスキャノピー
SOM(スキッドモア・オウイングス&メリル)は、建築家と技術者の総合設計組織として、アメリカの建築界をリードしています。
東京ミッドタウンは、SOMがマスター・プランを策定し、施主・三井不動産の信念とコンセプトを実現させるため、多くの建築家が参加して進められました。
複数のゼネコンにより、高度な施工・建設技術のもとに実現されました。
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東京ミッドタウンは、本計画地の環境や計画、周囲の環境に呼応するようにグラウンド・プランが設計されました。
六本木、さらには東京の新たな景観として、複合施設(コンプレックス)によって構成された新たな街が誕生しました。
東京ミッドタウンは、周囲の道路と面して関係を持ちながら、様々なアクセスを受容します。
それは、敷地内の公園が重要な役割を果たします。
なお、六本木を広域でみたとき、東京ミッドタウンの「サントリー美術館」、六本木ヒルズの「森美術館」、そして「国立新美術館」がレイアウトされ、建物が点でつながり、文化的エリアとして面で展開されています。
高層棟のミッドタウン・タワーを敷地中央にレイアウトし、周囲に様々な用途と機能の建物群が配置されています。
回遊性や自由な動線の空間を演出するため、建物群はあえてグリッドをずらして配置されています。
マンハッタンの五番街をイメージし、ニューヨークのロックフェラー・センターを想起させる高層棟に、象徴性を持たせています。
なお、ミッドタウン・タワーは、湾曲したガラス面にルーバーを設け、環境面に配慮した層状のファサード・デザインとなっています。
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タワー棟の足元には、これらの設計コンセプトを体現したプラザ(キャノピー)が設けられています。
特徴的な鉄骨の支柱で支えられた大屋根は、タワー棟に囲まれた広場を覆っています。
膨大な鉄骨量による架構は、決して威圧的にならず、ガラスによって採光を確保し、視線の抜けにより浮遊感をもたらします。
立体曲面による大屋根は、細身の鉄骨部材を組み合わせ、圧縮材と引張材(テンション材)が用いられています。
架構全体の曲げに対し、部材は軸力を負担します。
大屋根の平面において、風や地震による水平力に対し、曲線に配置された鉄骨部材が引張材として作用するようにレイアウトされています。
立体的な抵抗機構が設けられています。
鉄骨の支柱は、分岐させることで、軸力は節点で相殺され、構造合理性の高い架構となっています。
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酒田市国体記念体育館
山形県酒田市の国体記念体育館は、公園を含む景観のスケールと調和させる高さとし、低いライズのヴォールト屋根となっています。
一見、ありふれた円筒屋根の大空間構造の体育館に見えます。
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この体育館は、計画な意匠のスポーツ施設、近接する土門拳美術館と異なる、対比的な表現となるように設計されました。
競技用の大アリーナ、練習用の小アリーナ、弓道場、図書館、視聴覚室によって構成されています。
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同じエリアに、同じ建築家による、極めて貴重な建物が共存する
体育館の造形は、アリーナの大スパン構造によって決定されています。
アリーナは、張弦梁構造によって構成されています。
張弦梁は、建物側面に張り出し、アプローチとして観客動線のキャノピーとなっています。
大空間の構造として相応しく、軽量化と安定化、そして工期短縮などのメリットがあります。
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唐戸市場(下関市地方卸売市場)
古くより地元住民に親しまれてきた唐戸市場は、市場と駐車場を連絡ブリッジにより連結した構成となっています。
小さなスケールに分割し、親しみやすいスケールとなっています。
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市場棟は、吹き抜けを含む3層4階建てで、プレキャスト・プレストレスト・コンクリート構造です。
屋根は、張弦梁と斜張式の吊り構造で構成され、屋上に構造体の一部が見られます。
立体的な屋根の床版は、空間にアクセントをもたらしています。
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V字型のストラッドとテンション材による張弦梁は、その存在を消している
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連結ブリッジは、テンセグリック構造によって、4mの構造ユニットを基本としています。
44mの長さ、支店間距離は38mの長大スパンですが、軽快な構造体となっています。
テンセグリック構造の引張材と圧縮材は、ボールジョインによって連携されています。
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