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構造デザインの講義【トピック9:曲面構造のデザインを科学する】第2講:シェルの力学とフォルムの可能性
鉄骨骨組によるドーム構造の実現
東京理科大学・工学部建築学科、講義「建築構造デザイン」の教材(一部)です
トピック9:曲面構造のデザインを科学する
第2講:シェルの力学とフォルムの可能性(2)(ココ)
第3講:ドームの力学とフォルムの可能性
シドニーのオペラハウス
リオデジャネイロ、香港と並び、世界三大美港のひとつと言われるシドニー湾に相応しく、波や白い帆のイメージを彷彿させるシドニー・オペラハウスは、20世紀の建築の最高傑作の一つであり、世界遺産でもあります。
見る場所や角度、そして時間や季節により、その表情を変えます。
白磁の白タイルは、汚れにくく、耐久性にも優れています。
光を反射しますが、決して強すぎることはなく、太陽の動きから、季節や時間の移ろいを感じます。
シェルの開口側に立つと、エッジが際立ち、シャープな姿を見せています。
いくつもの波が押し寄せるような姿も圧巻です。
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白波が押し寄せるようなフォルムが圧倒的存在感を見せる
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1956年、国際コンペが開催され、デンマークの建築家・ヨーン・ウッソンの案、「基壇とシェル」が選ばれました。
当時、建築界はシェルの名手により、斬新で有機的な大空間が、次々と世に生み出されていた時代です。
トロハ、ネルヴィ、キャンデラ、サーリネン。
そのような中、ウッソンの案は、フリーハンドが描く自由な形態がひと際、目を引きました。
しかし、自由で独創的がゆえに、建築の完成まで、実に16年の歳月を要することになりました。
それは、具体的な構造方式と有効な建造技術が見いだせなかったためです。
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ウッソンの案の問題点は、1.屋根の構造、2.屋根のタイル仕上げ、3.大小ホールのインテリア、4.ガラス壁、でした。
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1と2は、オブ・アラップとの共同により進められました。
自由曲面の屋根は、数式で表現が可能なパラボロイド、放物曲面によって定義づけるため、理論、数値解析、模型実験が続けられました。
しかし、技術的な限界に直面していました。
そこで、純粋なシェル構造を断念し、骨組構造を前提として、シェルは二重殻として、内部に鉄骨を用いる案となりました。
しかし、RC曲面の打設や工事、施工の課題は未解決でした。
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1961年夏、ウッソンは単一の曲面から、屋根構造のすべての曲面を切り出せば、同じ曲率を持つシェルとすることができることに気が付きます。
さらに、プレキャスト化することで、同一部材の利用が可能となり、この建物の作り方が具体化されました。
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様々な構造によるシェルの多様な表現
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直径30mのプラネタリウムは、ギネスブックに掲載
建築家・黒川紀章のデザインを感じることができる
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これにより、球体に近い正多面体となる
ジオデシックドームは、バックミンスター・フラーによって考案され、線分でドームを構成するアイデアであった
現存するものでは、フォード・モーターの創立50年記念のロトンダ・ドームがある
また、1967年モントリオール万博のアメリカ館が有名である
日本では、なにわの海の時空間などで見ることができる
六本木ヒルズ森タワーの森アーツセンターの美術ゾーンにおいて、足元にガラスのパビリオンがあります。
ミュージアム・コーンと呼ばれ、独特なフォルムとともに、水晶のように、透き通った透明な構造体のパビリオンです。
緩やかな傾斜のアプローチを上がり、高揚感を感じさせる空間です。
高さ30m、最大幅20mの楕円錘形状です。
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ガラスによるファサードは、斜めに配置されたケーブルと、水平に配置された圧縮を負担するリングプレートによって構成されたケーブル・ネット・シェルで構成されています。
直径17.5mmのケーブルが74本、板厚22mmの鋼製部材による圧縮リングが12個(楕円圧縮スチールリング)用いられ、ケーブルとリングはクラン部で接合されています。
これにより、ケーブルがネットとして構成され、鉛直・水平の荷重に抵抗できるシェル構造となります。
圧縮スチールリングは、最下段は直径20m、最上段は直径16mに対し、板厚22mmのため、座屈する恐れがあります。
そこで、ケーブルとロッドが、座屈補剛として機能しています。
建物中央の漏斗状(ファネル)の構造体が圧縮を負担する構造コアとなり、エレベータ・シャフトと外周部のらせん階段を支持する動線の中心にもなります。
ファネルは、鉄骨柱、梁、ブレースによる骨組構造です。
ファネルの14本の柱にブラケットを設け、らせん階段が支持されています。
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