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構造デザインの講義【トピック2:古代の建物と構造】第5講:時代を超える建造物
東京理科大学・工学部建築学科、講義「建築構造デザイン」の教材(一部)です
悠久の建設の履歴、万里の長城
万里の長城は、月から見える地上の唯一の建造物とも言われています。
紀元前221年より建設が始まり、時代を超えて引き継がれ、紀元1600年ごろに完成したと言われています。
今日でも各地・各部で補修が行われ、技術が継承されています。
戦国時代、領土防衛のために建設が本格化し、秦の始皇帝が諸国の城壁を連結しました。
北方の遊牧民の侵入を防止するための防壁でもありました。
主要部は約3000km、総延長は実に1万2000kmにもおよびます。
山の稜線を縫うように配置され、険しい山の尾根伝いにも築かれています。
一定の間隔で、監視のための望楼や烽火台が設けられました。
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レンガなどの組積や版築(土を突き固める古代の建築技法)によって建設されている。
長城の最大高さは14m、平均8mです。
初期のころは土や石、レンガが使用され、その後、強固な焼成レンガも使用されるようになりました。
内側は、切り石を階段状に重ね、隙間に小石や土が敷き詰められています。
ピラミッドや日本の城郭石垣などと同じ構成です。
秦の始皇帝は、万里の長城をはじめ、文字の統一、運河や道路の整備、都市計画・整備、宮殿や家屋等の建造など、高い技術力をもって国土を整備しました。
アテネのアクロポリスとパルテノン
ギリシャの首都アテネの中心に近く、アクロポリスの中でひと際存在感の大きなパルテノン神殿は、美術的価値の高い建造物の一つです。
パルテノン神殿の円柱は、下部の直径2m、高さ10mの巨大な円柱で、構造と意匠の特徴となっています。
柱は輪切りの石(ドラム)を積み上げて構成され、ドラム中央に木片のダボが設けられています。
これにより、建て方精度を高めるとともに、地震等水平荷重時に上下のドラムのずれを抑制し、エネルギーを吸収する部材としても機能するとの説もあります。
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(写真、Pixabay, https://pixabay.com/ja/)
組積造の発展、アーチやドームの誕生
自然素材である石を使った建造物は、強度や耐久性の観点で、極めて優れた建築材料の1つと言えます。
建造物として空間を構成するためには、様々な積み上げ方があります。
構造安定とともに、多様な空間、魅力的な意匠につながります。
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イタリアのアルベロベッロ(イタリア語の美しい樹の意味)のトゥルッリ(ラテン語・トゥルッラ(小さな塔の意味))は、世界遺産の景観を作っています。
持ち送り式の特徴的な屋根を持ち、壁は二重構造になっています。
この地域で採取される石灰岩切石、スレート状石片、砕石が使用されています。
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人類は、アーチとドームの建造技術を手に入れ、中世、そして現代・近代にわたり、魅力的で素晴らしい大規模な建造物を生み出していくことになります。
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