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宝物のような歌がある
jungle Smile「抱きしめたい」
アーティストの愛称は「ジャンスマ」
結成年は私が生まれた年。だから、私とジャンスマは同い年。
初めて知ったjungle Smileの曲は「翔べ!イカロス」だった。ニコニコ動画で好きなアニメのMADとして使われていて、その動画が大好きで、何度も繰り返し観ていたのを覚えている。
その時はいい曲だなぁと思っていただけだったのでjungle Smileというアーティストに関しては全くの無知だった。
ジャンスマの曲をちゃんと聴き始めたのは大学生の頃だ。Youtubeの動画を漁っていく中で、私はこの「抱きしめたい」という曲に出会う。ボーカルの高木いくのさんが、ピアノの伴奏と共に歌うこの曲に惹かれた。全盛期の時と違う深みのある歌声(私の観た動画はジャンスマ活動休止から随分経った頃のもの)もさることながら、その歌詞が印象的だった。
「抱きしめたい」の冒頭は
「大嫌い。貴方いつも笑っていて、強くて可愛くて人気者で」という、嫌悪から始まる。
そして、すぐに対比するような形で「大嫌い。私グズでのろまで誰にも必要とされてない」と続く。
そして、語り手の私は「可愛くて人気者の貴方」が実は孤独に怯えて泣いていた事を知る。
壊れそうな程にに泣いていた「貴方」を偶然にも見てしまった私は、抱きしめてあげようと決意した所で、この歌は終わる。
この歌、作詞の高木さんは「中学生の時の歌だ」とおっしゃっていて、抱きしめたいのPVは主人公が中学生の時を思い返しているような構想になっている。
余談だが、ジャンスマの曲に中学の時の心情が書いてある曲は何個かあって、「猫とゴミ」の歌詞には
「今度はいつ自分が的になるのかが怖くて中学の頃みんなであの子をいじめた」
というフレーズがある。
この歌詞も、思春期の持つ心の未熟さが感じられる。高木さんの歌詞は、人間の薄汚い所を表現するのが本当に上手で、それゆえにジャンスマの曲は頻繁に聴きたくなるような曲では無いのだけれど。
本題からズレてしまったが、
「グズでのろまの自分」は誰からも必要とされていないから、孤独を感じていた。対して「いつも人気者の貴方」も周囲の中で魅力的に輝いているように見えるが、実は悲しみを抱えていた。
要するに、外面だけ見たって、中身は見えやしないという事なのだが、結構私達は生きている上でこの事を忘れてしまう。と、いうか他人の悲しみに気を回せないほど自分の事で精一杯な人が多いのだ。
誰もが悲しみや孤独に怯えているなら、自分が毛嫌いしてしまっているあの人にも優しくできるはずだけど、なかなか出来ない。
でも、この曲はそんな誰もが抱える孤独にそっと寄り添ってくれる歌なのだ。
そして、自分も優しくあろうと思わせてくれる曲でもある。
最後の「私、貴方抱きしめるよ」といった語り手の私が、本当に彼女を抱きしめたかどうかは分からないけれど、そうなる未来を想像する事は出来る。
説明が上手く無いので、この曲の良さを十分に伝えられた気はしないが、熱弁ができたので勝手に満足している。
本当に、本当に素晴らしい曲なのだ。