喪失と環境の変化は目まぐるしく過ぎた
夫を亡くしてから、一年と二ヶ月が過ぎた。
昨年と比べて何が違うかというより、一年間の重みが加わった感覚がしっくりくる。環境に適応していくのにかなり苦労したが、だいぶ慣れてきたのかもしれない。
まず大きく変化したのは住まいだ。
夫が勤めていた会社の社宅で暮らしていたため、亡くなって三ヶ月後に退去しなければならなかった。
家探しや引越しだけなら、おそらくギリギリで出来なくもない。
だが、当時はバイクの免許を取るために教習に通っていたり、職場で新しい企画が始まろうとしていたり、相続手続き諸々を住所変更前に終わらせたくて必死の日々を送っていた。
遺品整理や取捨選択をしんみりとしている暇はなく、ワンルームに見合わない物は処分するしかない。
二人で使ってきたものだけに、泣きながらゴミ袋に入れたり、粗大ごみシールを貼った。
そして夫は多趣味で物持ちが良く、コレクターで何でもかんでも取っておくタイプである。
時に、温泉や旅先のパンフレットなどがファイルいっぱいに取ってあり、「なんでこんなに無造作に取ってあるんだ!」とイライラしながら片付けていた。
今となっては、写真だけでも撮ればよかった。
引越しの荷物が増えてでも取っておいて、落ち着いた頃にゆっくり見て・整理すればよかったと後悔している。
夫が好きなものは記憶しているが、カテゴリーやジャンルが多すぎて把握しきれていない。
写真があれば、画像検索も出来ただろうに。
とても、とても深い悔いを残した。
二人で過ごした部屋から、うさぎ小屋のような狭い部屋で一人暮らしになった。仕方のない引っ越しに、前向きな気持ちはまったく生まれない。
どうあがいても二人暮らしには戻れない部屋で暮らしていると、より一層と寂しさが増した。