高橋愛さんという唯一無二の表現者
高橋愛さんは、モーニング娘。を"実力派グループ集団"と印象づけた転期・"プラチナ期"を牽引したリーダー兼エース。そのパフォーマンスはアイドル界最高峰とも称されるほどだ。
初めて彼女のステージ映像を見た時、「こんな目から鱗の表現をするアイドルがいたのか…」と衝撃を受け、リアルに鳥肌が立った。
自分はアイドルをパフォーマンスの観点から見ることが趣味なのだが、
高橋愛さんのパフォーマンスには、他のアイドルに類を見ない唯一無二の魅力があると確信している。
なぜ彼女のパフォーマンスに、こんなにも惹きつけられるのか、、主にその表現力に着目して、感じたこと・考えたことを書き留めていく。
かなり長編になりそうなので、大まかな項目ごとに分け、複数回にわたって書いていこうと思う。
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「隙のない表現」編
1.余韻
高橋愛さんは魅せ場を作る意識が突出しているように感じる。ステージ上で一瞬も隙を作らない。
その意識が特に現れている表現方法の一つが
「歌割り後の余韻」
であると考えている。
説明すると、通常、アイドルは自分の歌割り(≒ソロパート)が終わると、そのまますんなりと次の振付の準備に入る子がほとんどだ。
しかし、高橋愛さんは、歌割りの後に表情の変化を加える・音ハメをする・ちょっとした演技を挟むなど、余韻を残していることがとても多い。
歌割りが終わった後も、カメラやオーディエンスの目線は、歌っていたメンバーをまだ追っていたりする。その一瞬さえ逃さずに魅せる意識があるか否かで、表現の精度にかなり差がつくものなのだと思う。
また、私自身がこの余韻に魅力を感じるのは、鑑賞中の自分のペースを良い意味で狂わされるからである。意外性があり、想像を凌駕してくるパフォーマンスだから、とも言うことができる。
大半のアイドルは歌割り後に余韻を残さないので、次に出てくる子のパートを見る心構えでいたら、まだこんな素敵な演技があったの?!と驚かされる感覚が心地よいのだ。(上手く言語化できず申し訳ない。)
[※以上のような余韻の残し方に対して、独善的だという意見も聞こえてきそうだが、、
私のアイドル哲学においては、
①センターにいる時②歌割り時③歌割りの前後 に限っては、そのメンバーが自由にパフォーマンスして良いものと考えている。]
ここで私の"推し余韻"を紹介する。
モーニング娘。2010年コンサートツアー
PikaッPikaッ!の『しょうがない夢追い人』
ラストフレーズの「それなのに あなたが好き」
の歌割りとその後の余韻
まず、涙のようなキラキラした光を目に溜めながら歌う表情、そして「好き」の文字を切ったあとに微かに開く口が好きだ。
何より、そのあとの余韻。苦しそうに胸を押さえてうつむく演技を見た時、曲の登場人物がそのままステージに立っているかのような感覚になり、その表現力に度肝を抜かれた。
ここまで長々と私見を語ったが、ぜひ一度、高橋愛さんの余韻に注目して、ステージ映像を見ていただきたい。
2.階段伝説
メンバーやオタクの中でも、歴代ハロプロでも屈指のパフォーマーとして認識される高橋愛さんには、有名な伝説がある。
「急な階段を降りる時も足元を一切見ない」
一見簡単そうだが、これが文字のインパクト以上に難しい技術なのである。
その証拠に、現ハロプロ有数のダンスメンバーである佐々木莉佳子さんも、「実際やってみると絶対にできないんですよ!」と語っている。
私も実際に、ダンスのステージで、足元を見ずに段差を降りてみたことがある。遊園地のアトラクション乗車時の、あの体が宙に浮くような感覚になった。正直怖かった。
とても難易度の高いパフォーマンスなのだ。
おそらく、高橋愛さんは移動や階段の昇降も、繋ぎや休憩の時間ではなく、パフォーマンスの一貫として捉えている。
ダンス経験者にとっては、"移動時も踊ってる意識を持つ"ことは、一般的な認識かもしれない。
しかし、本来高度なパフォーマンスを求められることが少ない日本の女性アイドルで、ここまで魅せる意識が行き届いている人は、そう大勢はいないだろう。
この階段伝説には、高橋愛さんが宝塚の熱狂的なファンであることが関係しているように思う。
タカラジェンヌの方も、大階段を降りる時は決して足元を見ないのだそうだ。
大好きな宝塚からインプットし、自身のステージに還元する、その姿勢も含めて大好きな伝説である。
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ひとたびステージに立てば、終幕するまで観客の心を掴み続け、現実世界に引き戻す余地を与えない高橋愛さんは、私が最も尊敬し、憧れるアイドルである。
そんな高橋愛さんの魅力について、まだまだ語り足りていないので、後日また気が向いた時に書き留めたいと思う。
ここまで読んでくださった皆様、ありがとうございます。