34.全身麻酔の謎①
お酒は飲むが、記憶をなくしたことはない。
だからなのか、自分の記憶がある一定の時間バツっとないのがとても不思議だ。
麻酔から目を覚ました後に、いろいろ様子が変わっていたのにまるで記憶がない。
全身麻酔にかかっている最中の空白の時間に何が行われていたのか...。
◆◆手術前の記憶◆◆
2021.5.21 11:30
細いベッドに寝かされ、沢山の人達により手際よく色んなものが装着された。
エコノミー症候群防止ソックス(弾性ストッキング)の足裏部分に開いた謎の穴から私の足の親指が引っ張りだされ、何かを取り付けられた。
「あの穴はそういう事だったのか...」
よくドラマで見る心電図モニターが取り付けられ、いつしか手術室内には、
ピ......ピ......ピ......ピ......
と規則的な高い音が鳴り響いていた。
なぜか私が寝ているベッドの真上にその心電図モニターの画面が見えていたような記憶がある。
「この音がピーーーーー...って波を打たなくなったら、私終わりなのね...」
と、「手術あるある」を私も当たり前のように考えながらその時を待っていた。
何も出来ない、なすがままのまな板の鯉はやることが無いので、思考を張り巡らせるしかないのかもしれない(笑)
酸素マスクが取り付けられた。
ただ酸素が出ているだけで、このマスクから麻酔が入ってくるわけではないらしい。
自分の意識を集中するために、私は目を閉じていた。
左の頭の上から、
「そろそろ、少しずつ麻酔入れますね...左手が少しチリチリするかもしれませんが、気にしなくて大丈夫ですよ。」
という声が聞こえた。
いよいよだ!
手術あるあるの「麻酔と戦う」の巻(笑)
どこまで、がんばれるのかやってみよう。
左手の中心辺りから味わったことのない、感覚が広がり始める...
チリ...チリ...チリチリ...チ...リ...チ...ィ.........
チーーーーン
はい、落ちた。
わかってはいるが勝てるわけがない(笑)
ニンゲンはきっと生きるために、このくだらない戦いをくぐり抜けているに違いない。
※違うと思う。
手術室に入ったのがちょうど11時30分、恐らく私が麻酔で落ちるまで、入室から10分程度だと思われる。
手術室に入ってからあっという間だった。
◆◆手術後の記憶◆◆
2021.5.21 14:15
遠くから声が聞こえて、ゆっくりと目が覚めた。
全身麻酔を経験された方は、意識を失ってから目覚めるまで「秒」の感覚だという人も多いようだが、私にはその感覚がなく、正確な時間はわからないものの、数時間経っている感覚があった気がする。
自分が手術室にいることもわかっていて、
「あ。手術終わったんだ。」
と認識した。
どのぐらい寝ていたのか咄嗟に気になった。
検査ではわからなかったような転移が見つかったり、手術が手こずったりして、手術時間が大幅に延びたりしていないだろうか。
当初、手術は1時間半程度、麻酔から覚めるまで2〜3時間程度と聞いていた。
病室に戻った時間が14:20だったので、ほぼほぼ予定通りということなのか。
手術時間と麻酔から覚めるまでの時間に開きがあるので、詳細についてはわからない。
それよりも、何よりも、手術前と状況がいろいろ違う!!
右胸に手術前にはなかった痛みと、履いていた下着は脱がされ、尿管カテーテルがいつのまにか挿入されている。
翌日の朝食が食べづらいことで気付いたが、人工呼吸器を取付けられていた影響でノドがイガイガした。