30.がんの初期症状
私のがんは3月に受けた人間ドッグで怪しいと診断された。
手術が終わった今、がんであることを打ち明けると、「今まで気づかなかったの?」と聞かれる事が多い。
答えは、
「全く気づかなかった」
である。
手術を受けるまでの期間、引き攣るような痛みというか違和感を感じたことはあるが、それは自分が意識しているからであって、もしかしたら、これを書いている手術を終えた今も病院にも行かず、普通に生活しているかもしれない。
検査自体嫌いな方ではない私だが、婦人科系の検査は率先して受けたい感じではない。
特に、うちの家系は癌家系ではなく、乳がんになっている家族や親族も私が知る限りではいないため、無縁だと勝手に決めつけていた。
私は以前、不妊治療をしていた時期があった。
(※子供はおらず、離婚して、独身に戻っています)
当時、婦人科はいつも混んでいて、殺伐とした空気を嫌というほど感じていたので、足が進んで向かないという経験が影響しているのかもしれない。
また、私は乳腺症の気があると診断されており、特に何があったわけではないが、割と常に胸が張っていることもあり、余計気づきづらいこともあったのかもしれない。
私のがんのステージは、
「ステージ2」
だった。
ステージ0、1もあることから、ものすごく初期のものというわけでもない。
ステージ2の定義は、
シコリの大きさが2cmから5cm。またはシコリの大きさが2cm以下でも腋の下のリンパ節に転移している状態。
私のがんの大きさは、人間ドッグで見つかった時点で2.2mm。
2cmを超えるしこりが胸の上部の皮膚に近い部分にいつからか存在していて、気づかないものなのか...と言われそうだが、気づかなかった。
マンモグラフィーやエコー、触診で怪しいと診断されても、乳腺症による何かだと思っていて、がんを疑うことは微塵もしなかった。
しかし、マンモグラフィーやMRIなど、がんの検査結果を素人が見ても、そこにはしっかりと白くしこりのようなものが写り込んでいた。
思い込みというのは非常に恐ろしい。
血縁者に乳がんになった人がいない、乳腺症気味だから、胸が張るのは仕方がない、健康にも割と気を使っている方だし...などと勝手に決めつけて、疑うこともしなかった。
だから、検査で見つけてもらえて良かった。
人間ドッグで、
「ちょっと怪しいので大きな病院で診てもらった方が...」
と、問診で担当医に言われた時の心情を今もハッキリ覚えている。
「どーせ、なんでもないんでしょ?」と怪訝な思いで口から出た、
「はぁ...」という語尾に納得できないニュアンスを残した、ため息に近い返答を。
なので、その場ではショックとかそういうものはその時まではなかった。
ステージ2とはいえ、入院は5日間、転移はないと、がん患者の中ではかなり軽い方なのかもしれないが、がんが厄介なのは、
「採って終わりではない。」
ということ。
これから、放射線治療が週5日、5週間始まる。
この期間毎日病院に通い、放射線治療を受けなければならない。
私は仕事を続けながら、朝病院に行き、素知らぬ顔で淡々と仕事を続ける。
(※会社の人は仕事で直接関わる近い人しか知りません。)
そして、ホルモン剤治療が5年間続く。
再発を防ぐために、まだまだ戦いは続くのだ。
正直、めんどくさい。
健康であることが心底羨ましい。
ジムに通うこと20数年、体も動かし汗もかく、お酒は多少飲むが、体に悪いものを率先して摂る方ではない。体力にも自身がある方だ。
そんな私がある日突然、がんを宣告された。
受け入れられない現実は手術した今も変わらない。
治療にはお金もかかるし、知られないように誤魔化しながら仕事を続けなければならない。
私のようにならないように、定期的な検診は是非受けてもらいたい。
私の大事な人たちや、たまたまこの記事を目にした全ての人達に、声を大にして言いたい。