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感想|SUMMER SONIC 2023(東京・2days)


総括

目当てのアクトが明確にあったからこそ「あれも見なきゃ、これも見なきゃ」とせかせかすることなく、気持ちに余裕を持って素直に楽しむことができた。また、選り好みせず様々なジャンルの音楽に(浅くではあるが)触れてきた自分のスタンス、そしてそのスタンスを形成してくれた様々な友達に感謝。2017年以来久しぶりに参加したサマーソニックは、今までで一番気楽で、だからこそ新たな出会いや気づきも一番多い、素晴らしい2日間になりました。

Day1

SUMMIT All Stars(Marine Stage)

jxdnを楽しみにしていたのでキャンセルの報せを知ったときは少し落胆していたけど、Squad感溢れる溌剌としたステージングで最高のスタートだった。今思えば、ヒップホップアクトに感動し続ける2日間の布石だったのかもしれない。

NewJeans(Marine Stage)

Day1のお目当て。バンドアレンジに大満足。特に「Cookie」は音源とは印象がガラリと変わって、K-Popガールズグループに定番の「ビビッドな色使いのカースト高め学園生活」みたいな印象で超キュート。アリーナがヘッドライナー級(それ以上?)に混雑していて注目度の高さを感じたし、心なしかY2Kファッションの客が多いような気がして、カルチュラルアイコンとしての影響力の高さを思い知るなど。

ENHYPEN(Mountain Stage)

終盤の数曲だけサクッと。観ていて気持ちのよい踊りのキレだった。

Gabriels(Mountain Stage)

普段聴かないジャンルだし、前情報も何も入れていなかったけど、ここまで歌唱というもので表現の幅を持たせられるのかと感動を覚えた。こういう出会いがフェスの醍醐味。知れてよかった。

The Lounge Society(Pacific Stage)

引き続きこちらもグッドサプライズ。ジャカジャカと楽器かき鳴らす姿にはフレッシュなエネルギーがあふれていて、それでいて勢い一辺倒ではなく息ぴったりの気持ちいいジャムも聴かせてくれた。

Daichi Yamamoto(Spotify RADAR: Early Noise Stage)

「大豆田とわ子と三人の元夫」のエンディングでフィーチャーされていて、そのスムーズなフロウに惹かれて興味を持った。このステージではそのスムーズさに加えて、曲を通じてメッセージを語りかける切実な姿勢や、コーラスやトーキングボックスと生み出すグルーヴ感に感動。

Wet Leg(Sonic Stage)

爽やかで肩肘張らない夏の新定番。純粋にステージを楽しんでいる感じがしてこっちもホクホクした。前半だけ観て抜けてしまったけど、友達から後半の方がよかったと聞いて少し後悔。

春ねむり(Spotify RADAR: Early Noise Stage)

ポエトリーリーディングを聴くといつも心がむずがゆくなってしまうけど、ライブではそんなことはなくて、歌詞の内容をよりストレートに自分へと届けてもらえた感じがする。「音楽は平等なんて言うけどそれは嘘」という内容のMCがあって、本当にその通りだと思う。例えば、自分のチケット代は少し割高でもいいから、そのぶん何かしらの属性によってこうしたところに来る金銭的余裕が無い人のチケットを安くするとかがあってもいいような。

Thundercat(Sonic Stage)

テクニックがとんでもないだけじゃなくて、即興のアレンジの音としての快楽がすごい。心地よさに身を委ねて踊っていた。もう少しお酒を飲んで臨めば、さらなる浮遊感に身を包めたかも。

Day2

Nova Twins(Mountain Stage)

シャウトやリフがしっかり凶悪で煽りも巧く、久々に心ゆくまで首を振らせてもらえた。「Choosing Your Fighter」で最高潮まで盛り上げて帰っていくのもかっこよかった。NEX FESTにも来てほしい。

Ink Waruntorn(Beach Stage)

暑いけど風が気持ちよい砂浜で聴くキュートなシンセポップ。2日間で一番夏っぽく、そしてビールが美味しいひと時だった。タイ語はまったく分からないけど、柔和な耳触りが心地よく、シンセポップのサウンドにもマッチしていた。また、「Last Train」ではフィーチャリングしているTHREE1989の上村翔平がサプライズ登場し、テラスハウスを最近見返していた自分としてはかなりテンションが上がった。番組で映った彼のパーソナリティ(あくまでほんの一部だが)を知っているからこそ、優しい歌声がより一層自分の中にしみこんできた。

FLO(Mountain Stage)

Day2の2番目のお目当て。バンドアレンジもよかったけど、何より彼女たちの力強く美しい歌声に心震わされた。既発曲をほとんど全て聴けたのも嬉しかった。もっと楽曲が出た後に単独で観たい。

Awich(Sonic Stage)

あまりのかっこよさに、終了後しばらく言葉を失った。潔く自分のバースだけにとどめる曲もあってテンポがよく、そしてMCでの曲の前振りもしっかり効いていて、50分間がずっとハイライトだったように思う。「歌が」とか「パフォーマンスが」とかではなく、生き様がかっこいい人なのだと、畏敬の念を抱く。

女王蜂(Pacific Stage)

初めの3曲くらいだけサクッと。ボーカルの声の幅広さに驚いたけど、声の切り替えに表現としての必然性を感じられず、クリシェになってしまっていたように思う。

Liam Gallagher(Marine Stage)

兄弟ケンカや過去の悪行のイメージが強いけど、歌声には暖かみが溢れていて、オーディエンスを喜ばせようとする優しさが伝わってきたような気がする。最後の「Champagne Supernova」は会場全体が多幸感であふれていた。

Kendrick Lamar(Marine Stage)

Day2のお目当て。こういったコンシャスな海外アーティストのパフォーマンスを観る時、自分がその言語のネイティブでないことを恨みたくなる。リリックに心から共感して、それをライブの場で全力でぶちまけてみたい。彼も時折オーディエンスに歌うよう煽っていたけど、周囲は自分含めほとんどだんまりになってしまっていた。でも、全てのリリックを聴き取れなくても凄みは十分すぎるほど伝わってきた。
スクリーンに映された絵画、ダンサーのパフォーマンス、彼のパフォーマンスが一体となって思考を求めてくる。なぜ、ミニマルなアウトフィットでパフォーマンスをするのか。なぜ、ダンサーたちは揃ってワーキングウェアを着ており、どことなくケンドリックに外見を寄せているのか。なぜ、絵画はどれもアメリカ西海岸の日常をモチーフにしているのか。これらからも、ラップゲームの帝王というよりも、1人の人間であることが強調されているような気がして、新譜の方向性と符合したパフォーマンスだった。昨年はティファニーやルイヴィトンといった豪奢極まりないアイテムを身に纏っていたけれど、個人的には今回の方が新譜以降の彼にはハマっていると感じた。

アクト以外

「グレンモーレンジィ」ブース スタッフの迷惑行為

1名のスタッフが、通りかかる女性に「そこのお姉さん!!!」と大声で迫るように客引き行為をしていて、見ていてとても不愉快だった。自分が女性だったら恐怖を感じると思う。そして女性だけに客引きする必然性は無いはずで、「女性に合法的に話しかけたい」という欲望もあるように感じた。
また、このウイスキーはわりとラグジュアリーな路線でブランディングしているはずのに、そんなに下品なやり方で宣伝をしていていいのかなと勝手な心配をしている。

空中ドローンショーにおける文化庁のマークとロゴ

空中にライト付きのドローンを配置するドローンショーで、文化庁のマークとロゴが表現されていた。見ていて綺麗だと思えるものをドローンショーで表現すれば自然と受け手は興味を持つはずなのに、そうではなくて直接的に文化庁のマークとロゴを映してしまうところに、野暮ったさや余裕の無さを感じた。

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