倫理政経ポイント解説(倫理⑨)
今回は日本思想ラスト近代から現代の思想について解説していきます。
センター試験では、教科書に一行しか載っていないような人が出たこともあるのでしっかり覚えていきましょう。
近代日本文学
近代の主な文学者と作品一覧
北村透谷 「文學界」創刊『内部生命論』
国木田独歩 『欺かざるの記』『武蔵野』
島崎藤村 『若菜集』『破戒』『夜明け前』
与謝野鉄幹 「明星」創刊
与謝野晶子 『みだれ髪』『君死にたまふことなかれ』
石川啄木 『あこがれ』『時代閉塞の現状』
永井荷風 「三田文学」創刊『ふらんす物語』
武者小路実篤 『白樺』「新しき村」創設『友情』
有島武郎 『或る女』『生れ出づる悩み』
志賀直哉 『和解』『暗夜行路』
阿部次郎 『三太郎の日記』
●北村透谷
はじめは自由民権運動に加わっていたが、後に文学の世界に身を投じた。
人間の自由な精神を「内部生命」とよび、それを表現することが、文学の目的であるとした。文学とは、目に見える実世界において功利を追求するのではなく、内面的な「想世界」において、真の美に到達し、人々に伝えることであるとしてロマン主義運動と代的文学観の成立に大きく貢献した。
●島崎藤村『若菜集』
青春の夢、憧れ、歓喜、憂愁をうたう五十篇あまりの詩を収めている。
これをきっかけに文語定型詩が生まれた。
●夏目漱石
イギリスへの留学をきっかけに、自分で考えて立つあり方(自己本位)を求めるようになった。自己本位とは単なる自己中(エゴイズム)ではなく、自他を互いに尊重し合い、それぞれの個性を発揮して生きることであった。
しかし、自己本位の確立とエゴイズムの克服は難しく、晩年には小さな私という存在にとらわれず大きな自然に従って生きる則天去私を求めるようになった。
●森鷗外
『舞姫』を執筆。
自我と社会の矛盾の統一を諦念の境地に見出した。
●大正デモクラシー
理論的支柱は吉野作造らの民本主義。
大正デモクラシーが生んだ解放運動として、平塚らいてうの「青鞜」の言葉や全国水平社の西光万吉らによる水平社宣言などがある。
近代日本哲学
ここでは主にキーワードを抑えましょう
●西田幾多郎(重要人物)
純粋経験・・・最も根源的な経験であり、主客未分の直接的な世界の経験に他ならない。
絶対無・・・あらゆる主観の根底にあり、主観と客観の共存する「場所」
その場所は自己と世界の様々な矛盾を消し去ることなく統一するものとして、「絶対矛盾的自己同一」という性格を持つとされる。
●和辻哲郎
主著『人間の学としての倫理学』
間柄的存在・・・人間は個人としての側面と社会的存在としての側面を持つ
●柳田国男
民俗学・・・普通の人(常民)に焦点を当てた。
●折口信夫
まれびと・・・彼女によると、日本における神の原型。
※新国学
柳田や折口の学問の系統
●南方熊楠
独学で生物学や人類学を学び、独自の視座から民俗学を研究した。
●伊波普猷
琉球の歴史や古歌謡「おもろ」の研究に取り組んだ。
●宮沢賢治
農業技術の専門家として活動しながら独特の詩や童話をあらわした。
法華経の影響を受けていたと考えられている。
現代の思想
●坂口安吾
敗戦後の道徳的な頽廃を見つめて『堕落論』を表した小説家。
「堕ちる道を堕ちきる」ことによって道徳の回復を訴えた。
●丸山真男
明治以前の日本について研究し、日本における主体的な個を探ろうとし、『日本政治思想史研究』などをあらわした。
●野間宏
自己が崩れ去っていく感覚に苦しむ復員学徒兵の内面を小説『崩壊感覚』の中で描いた。
●吉本隆明
丸山とは異なる見方で伝統を捉え、実生活の中に自立した個の基礎を置くことを説いた。この思索は後に『共同幻想論』へと発展した。
●小林秀雄
芸術家の直感がとらえた生の直接的な手応えを、哲学的思索によって捉える批評というスタイルを想像した。
閲覧ありがとうございました。今回は以上です。次回は西洋思想へ入ります。スキしてくれると励みになります。参考になれば幸いです。
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