倫理政経ポイント解説(政経⑨)
今回は日本の現状と課題②をやります。
情報問題
●高度情報社会の課題
①プライバシー問題
個人情報漏洩のリスク
通信傍受法(1999年成立)による犯罪への捜査プライバシーへの配慮
インターネット上の情報に関する忘れられる権利
②情報の複製による著作権侵害
対策として2002年の知的財産基本法(2003年施行)がある
③その他
ネット犯罪
コンピュータ・ウイルス
サイバーテロ
●解決策
個人情報保護関連法
セキュリティの強化
不正アクセス禁止法
デジタル・ディバイド(情報通信機器の利用能力の格差)の解消
メディア・リテラシー(情報活用能力)の育成
環境問題
●公害
四大公害病などが深刻な被害をもたらしたために公害対策として公害対策基本法(1967)が制定された。これにより、汚染物質の濃度や総量が規定された。
また、環境庁の設立(1971)公害健康被害補償法(1973)の制定や、1993年には公害対策基本法が環境基本法に代わって制定された。
今日では公害対策の基本三原則として
①汚染者負担の原則(PPP)
②無過失責任原則
③環境影響評価(環境アセスメント)
がある。
また、環境のために配慮する消費者(グリーン・コンシューマー)や企業が環境ISOを取得したり、開発地域を住民が買い取るナショナル・トラストなども行われている。
●地球温暖化と循環型社会の形成
・地球環境問題
地球温暖化
オゾン層の破壊
→モントリオール議定書(1987)によってオゾン層の保護を図る
野生生物種の減少
酸性雨
砂漠化と熱帯林の減少
●エネルギー問題
原子力基本法(1955)
エネルギー政策基本法(2002)
福島原発事故によってドイツは原発を廃止し、イタリアは建設計画を撤廃した。一方で日本はベトナム、トルコ、インドなどと原子力協定を結び、原発の輸出を計画している。
●環境問題に対する国際協力
1972年国連人間環境会議開催
「かけがえのない地球」をスローガンとし、国連環境計画(UNEP)を設置
1992年国連環境開発会議(地球サミット)
「持続可能な社会」の理念のもとにリオ宣言を採択、アジェンダ21が策定
また、温暖化防止のための気候変動枠組条約や生物多様性保護のための生物多様性条約、有害廃棄物の国境超えを制限するバーゼル条約などがそれぞれ締結、採択、発効された。
2002年には環境・開発サミットで持続可能な社会のための具体的計画を決め、ヨハネスブルグ宣言が採択。
1997年京都で開かれた気候変動枠組条約第三回締結国会議(COP3)では、温室効果ガス減少のための京都議定書が採択された。アメリカの離脱などさまざまな課題があったが2005年にロシアの批准によって発効。
その後2015年のパリで開かれたCOP21では、上記の課題を解決したパリ協定が採択。
今日では、先進国と発展途上国間の問題などを含めた「共通だが差異ある責任」の共有が環境問題解決のために求められている。
社会保障
●社会保障の歩み
1601年のエリザベス救貧法が社会保障の先駆けとなった。
19世紀後半にビスマルクによって疾病、労働、災害、老齢、障害に関する初の社会保険制度が創設。しかし、社会主義者鎮圧法とともにつくられたために「アメとムチの政策」とよばれた。
第一次世界大戦後にはナショナル・ミニマムの考えが広まり、第二次世界大戦後には体系化された社会保障制度が各国で制定された。
アメリカではニューディール政策の一環として社会保障法(1935)が制定
イギリスでは労働党内閣がベバリッジ報告に基づく体系的な社会保障を実施
この制度は全ての国民に対して「ゆりかごから墓場まで」つまり一生を保障した。
●各国の社会保障
社会保障制度は大きく分けて3つに分類される。
①公費の負担が大きく、均一的な年金支給を行う北欧型
②保険料を財源とし、所得比例の年金給付を行う大陸型
③自助努力を重視して、主に民間の保険に任せるアメリカ型
●日本の社会保障
下記参照
社会保険
〇医療(自己負担は3割)
健康保険(民間被用者)
国民健康保険(自営業/・農業)
各種共済組合(公務員など)
船員保険
後期高齢者医療制度(長寿医療制度)(75歲以上国民)
〇年金(老齢・障害・遺族)
国民年金(20歲以上60歲未満の全国民)
厚生年金保険(被用者)
〇雇用
雇用保険
船員保険
〇労災
労働者災害補償保険
公務員災害補償
船員保険
〇介護
介護保険(40歲以上国民)
公的扶助
〇生活保護
生活扶助
教育扶助
住宅扶助
医療扶助
介護扶助
出産扶助
生業扶助
葬祭扶助
社会福祉
児童福社
母子福祉
老人福祉
障害者福祉
保健医療
結核予防
予防接種
感染症予防
精神衛生
公衆衛生
上下水道
公害対策
ざっくりとこんな感じ
●少子高齢社会における社会保障の問題
現在の年金はその年ごとに資金を集める賦課方式なので、高齢化とともに働き手世代の負担が大きくなる。
他にも介護制度の充実や待機児童、障害者支援などが課題となっている。
※高齢者が自分の住む地域で医療や生活支援を受けられるようにする地域包括ケアシステムが目指されている。
今回は以上です。閲覧ありがとうございました。次回は国際政治入ります。
スキしてくれると励みになります。参考になれば幸いです。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?