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キネとミノ #1 「北瓜と東瓜」 12月22日 (冬至) ふたりが高校の図書室でカウンターの仕事を終えたとき、窓の外はもう真っ暗だった。図書室にはもう誰もいない。残っているのは、今年から図書委員になったキネとミノのふたりだけだった。 12月の夜は早く、そして長い。それはキネを不安な気持ちにさせた。だってまだ17時になったばかりなのに、あたりにはもう日の名残りすら見当たらないのだから。時間も体力もじゅうぶん残っているのに強制的に終わってしまったゲームのように、キネはやるせな
「キネとミノ。屋上にある、ふたりだけのささやかな秘密。 繋がれたアドバルーン、祝福され飛び立っていく熱気球・・・」 この短編は『アドバルーン』という短編集に収録された表題作です。 本はこちらで通販しています。 日曜日の朝は眩しかった。目が覚めてからも私はしばらくベッドで横になったままで、陽光にかがやくレースのカーテンを見上げていた。カーテンの薄い影はチェック柄のパジャマと青いブランケットにかかり、日光は私の体をゆっくりと温めている。この居心地の良さに抵抗することはまだ考