turistas

マキタ・ユウスケとColstrainsによるサークル「turistas」は第二十五回と第二十六回文学フリマ東京に出店。既刊は短編集『ファミリーレストラン』や『New Age Music Disc Guide』など。このアカウントはすべてマキタ・ユウスケの文責によるものです。

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マキタ・ユウスケとColstrainsによるサークル「turistas」は第二十五回と第二十六回文学フリマ東京に出店。既刊は短編集『ファミリーレストラン』や『New Age Music Disc Guide』など。このアカウントはすべてマキタ・ユウスケの文責によるものです。

マガジン

  • キネとミノ シリーズ

    キネとミノ、二人の仲良し女子高生のショートストーリーです。連作なのでどこからでも読めます。日常系からちょっとふしぎ系まで、するっと読めるものをご用意。イラストレーターのまりなさんによるかわいい挿絵イラスト付き。

  • ここから⇒人生の広場

    何かが気にかかって、ふと足を止めてみる。そしてしばらく考えてみる。それにはいったい、どんな意味があるんだろう? その積み重ねでできたエッセイです。文と写真はすべてマキタ・ユウスケによるものです。

最近の記事

パジャマパーティー・トゥナイト Part3

キネとミノ#7 あらすじ夏休みの締めくくりにミノの家に泊まりに来たキネ。プリントした写真を見ながら楽しかった夏の思い出を語り合っていると、気がつけばすっかり深夜に。キネとミノ、ふたりだけのひみつの打ち明け話が始まろうとしていた。 Part3 パジャマパーティー・トゥナイト 「ふわあ。なんだかんだ今年の夏は色々あったけど、もう夏休みも終わるね〜」 「まあね。もう遅いし、そろそろあたしの部屋で寝よっか」  ふたりはソファから立ち上がると、リビングからミノの部屋へと移動した。キ

    • パジャマパーティー・トゥナイト Part2

      キネとミノ#7 あらすじさまざまなことがありながらも楽しい夏休みを終えようとしているキネとミノ。二人は夏休みの締めくくりにそれぞれの家へ泊まりに行き、パジャマパーティーをしながら夏の思い出を語り合う。そこでミノはキネに、キネはミノにそれぞれの秘密を打ち明けるのだが……? Part2 ひまわり畑で お祭りと花火の写真の下からは、見渡すかぎりいっぱいに広がるひまわり畑の写真が出てきた。ミノは言った。 「花火も見たけど、ひまわり畑にも行ったよね」 「そうそう。そのときの写真、わ

      • パジャマパーティー・トゥナイト Part1

        キネとミノ#7あらすじさまざまなことがありながらも楽しい夏休みを終えようとしているキネとミノ。二人は夏休みの締めくくりにそれぞれの家へ泊まりに行き、パジャマパーティーをしながら夏の思い出を語り合う。そこでミノはキネに、キネはミノにそれぞれの秘密を打ち明けるのだが……? プロローグ 振り返りの夏休み キネとミノが海にシーグラスを拾いに行ったあの日から、夏休みはあっという間に過ぎて行った。それはあまりにも充実した日々だったので、「夏休みもいつかは終わる」という当たり前のことすら

        • バナナフィッシュにつままれた日

          キネとミノ#6「バナナフィッシュにつままれた日」  あらすじある雑貨屋さんでシーグラスについて教えてもらったキネとミノ。ふたりはさっそく夏の海へシーグラスを拾いに行く。そこでふたりは、同じものを拾っている男の子と出会う。男の子はある事情があってシーグラスを集めていると言い、ふたりに協力を乞うのだが…? プロローグ 夏休みのはじまり 夏休みだ。キネはその一週間ほどまえから、カレンダーの日付がほんのりと光りはじめたことに気がついていた。それは日に日に明かりを増していき、やがて

        マガジン

        • キネとミノ シリーズ
          10本
        • ここから⇒人生の広場
          12本

        記事

          ガチャフィギュア工場のひみつ

          キネとミノ#5 ガチャフィギュア工場のひみつ あらすじ大好きなガチャフィギュアシリーズの新作を揃えるためサイフの限界に挑戦するミノと、それを応援するキネ。ふたりはフィギュアを見ながら、それを作った女の子のことを空想する。果たして、ガチャフィギュアはすべて揃うのか…? Part1 ガチャガチャにハマるミノ ある日の帰り道。キネとミノのふたりは、その日受けた授業で社会科の先生が言っていたことについて話をしていた。それは、こんなふうなことだった。 「まず、わたしたちの身の回り

          ガチャフィギュア工場のひみつ

          ぼくの休日の過ごし方

          2019年6月21日(金)のぼくの日記です。ほとんど古墳と古代を巡る内容で、さいごに村上春樹のラジオについてもすこし。 Part1 ある日の休日のはじまり ぼくは昨日、親知らずの抜歯手術を受けた。残っていた右の親知らずを、上下とも一気に抜いた。普通の歯医者では抜くのがむずかしかったので県立病院の歯科口腔外科で手術を受けて、今日は術後の経過観察のため朝から病院へ。そのためにわざわざ平日に二日間休みを取ったのだ。とくに問題はなさそうでよかったが、しばらく口の中は血の味がするし、

          ぼくの休日の過ごし方

          デイドリーム・ステーション

          キネとミノ #4 「デイドリーム・ステーション」 あらすじ電車に乗るとしょっちゅう寝過ごしてしまうんだ、と嘆くキネ。 寝過ごしてもしらない駅に行くとわくわくしてくるよね、というミノ。 だったら、いっそふたりで電車に寝過ごしに行ってみようという話になり、その計画をやってみることに。 電車で眠ったふたりの行き着く先とは…? Part1 寝過ごしの計画「ふぁーあ。さいきんあったかいから、眠いねえ」 「そうだね。もう5月の連休も終わったし」  キネとミノのふたりは、昼休みの中庭で

          デイドリーム・ステーション

          しっぽ戦争

          キネとミノ #3 「しっぽ戦争」 あらすじ ある日路上でミノが拾ってきた、かわいいしっぽ。キネといっしょになってつけてみたり、動物園にしっぽを物色しに行ったりしているうちにふたりの空想は膨らんできて…。はたして、しっぽ戦争の結末とは? Part1 ミノが拾ってきたしっぽ 春うららか。お日さまぽかぽかの暖かい日だった。今日は日曜日で、ミノはキネの家まで遊びに行くところだ。いつもなら自転車で向かうのだけれど、そんな日和だったのでミノはのんびりと歩いていくことにした。  ミノ

          しっぽ戦争

          お腹の虫は、タコ!?

          キネとミノ #2 「お腹の虫は、タコ!?」2月21日  二月のある日の、北風の吹く帰り道。キネとミノはとてもお腹が空いていた。ふたりは今にも、そのきょだいな空腹感に押しつぶされてしまいそうだった。はやく何か食べたい。だけど、何を食べたらいいのかわからない。ふたりはその間を行ったり来たりしているうちに、疲れてしまったのだ。何を食べるのか。早く決めてしまわないと、このまま行きだおれてしまいそうだ。  彼女たちがそこまでお腹を空かせている理由はこうだった。  昼休みになってご飯

          お腹の虫は、タコ!?

          北瓜と東瓜

          キネとミノ #1 「北瓜と東瓜」 12月22日 (冬至) ふたりが高校の図書室でカウンターの仕事を終えたとき、窓の外はもう真っ暗だった。図書室にはもう誰もいない。残っているのは、今年から図書委員になったキネとミノのふたりだけだった。  12月の夜は早く、そして長い。それはキネを不安な気持ちにさせた。だってまだ17時になったばかりなのに、あたりにはもう日の名残りすら見当たらないのだから。時間も体力もじゅうぶん残っているのに強制的に終わってしまったゲームのように、キネはやるせな

          北瓜と東瓜

          短編小説『アドバルーン』

          「キネとミノ。屋上にある、ふたりだけのささやかな秘密。 繋がれたアドバルーン、祝福され飛び立っていく熱気球・・・」  この短編は『アドバルーン』という短編集に収録された表題作です。 本はこちらで通販しています。  日曜日の朝は眩しかった。目が覚めてからも私はしばらくベッドで横になったままで、陽光にかがやくレースのカーテンを見上げていた。カーテンの薄い影はチェック柄のパジャマと青いブランケットにかかり、日光は私の体をゆっくりと温めている。この居心地の良さに抵抗することはまだ考

          短編小説『アドバルーン』

          小説 × イラスト = 短編集『アドバルーン』

          夢見る少年と消え去りつつある少女。  忘れられたものたちと、それを繋ぎ止めるものたち。 彼らの瞳に、希望と失望がゆるやかに去来する。 不眠症のサラリーマンは猫と戯れ、七不思議は少女を孤独へと誘う。  屋上と地下室、人の無意識と猫の集合的無意識。 夜の高速道路と通過儀礼、そして音楽。 響きあう7つの短編を20点のポップなイラストが さらにイメージを広げる、 新しい小説のかたち。  この世の不確かさと楽しさを天秤に掛けながら、 今日もぼくたちは生きていく―。

          小説 × イラスト = 短編集『アドバルーン』

          キース・ヘリングとぼく

          キース・ヘリング。NYの地下鉄でのサブウェイドローイングからキャリアをスタートさせた、80年代ポップアートの申し子。エイズにより若干31才で夭折した天才アーティスト。ぼくはずっと、彼のアートが苦手でした。でも、最近になって彼の絵がすごく好きになった。今回は、そのいきさつについて書いてみました。(約5,400字) キース・ヘリングが愛した街、表参道先日、2018年8月9日から19日まで表参道ヒルズのギャラリーで開催されていた『キース・ヘリング生誕60年記念特別展キース・ヘリン

          キース・ヘリングとぼく

          ここから⇒人生の広場"ぼくの読書法"

          あなたが本を読む人だとして、普段どのように本と付き合っているのだろう? ぼくは先日本棚を整理していて、それで改めて気がついた–––自分の持っている本の1/3はとりあえず買っただけでまだ読んでいない、ということに。今回は恥ずかしながらぼくの読書遍歴と読書法について、です。(約2400字) 本を読むスピードは人それぞれまず最初に言っておかなければならないのは、ぼくはいわゆる読書家ではないということだ。一日一冊とか週に何冊とかいうペースで本を読むことはまずない。一冊読むのにかなり

          ここから⇒人生の広場"ぼくの読書法"

          ここから⇒人生の広場"もっとも天国に近い音楽"

          天国ってどんなところだろう? 怖いことも悩みもなく、あらゆる不安から解放されてるんだろうな。いいな、行ってみたいな–––。こんなことを言うといきなり危ない奴になったのかと思われるかもしれない。だけど天国については、ぼくにはひとつの理想的なイメージがある。そう、それがジャワ島の宮廷ガムランだ。 ジャワ島の宮廷ガムラン一時期、民族音楽学者の小泉文夫さんの著作に興味を持って民族音楽に手を出していた時期があった。といってもワールドミュージックの世界はどこまでも広く奥深い。だからぼく

          ここから⇒人生の広場"もっとも天国に近い音楽"

          ここから⇒人生の広場"応援する人、される人"

          これは初めてフルマラソンを走った時のことだ。過酷なレースの中で、それまで実感することのなかった「応援の力」を実感することになった。そして、「応援はそれに応えることでその力を何百倍にも増幅できる」ということを身を以て発見した。今回はそういうお話です。 応援に応えるのは恥ずかしい?ぼくは走るのが趣味で、これまでに何度か10キロのレースやハーフマラソンのレースに出場してきた。 そしていつも、沿線で応援してくれる人たちを見ても爽やかに応援に応えることができず、それが心残りだった。

          ここから⇒人生の広場"応援する人、される人"