ここから⇒人生の広場
池澤夏樹さんの短編集『きみのためのバラ』に『人生の広場』という話がある。
慌ただしい世間のレールから外れてふと立ち止まり、これからどこに行くかは時期が来たら決めればいいさ、としばらく広場を散歩して自由になることを自分に許す。人生の中でそんな期間があるとそれから生きるのが少し楽になるんだ、というような話だ。
経済的にも時間にもある程度の余裕があって、好きに使えるというのがその条件になる。そういう期間のことを人生の広場と呼んだのは池澤さんのアイディアだろう。その短編の中で話し手の