花に囁く物語エピソード1「胡蝶の夢」
それは午睡の頃の事である
青葉が茂る森に歩みを進めると、彼女はひっそりと眠っていた。
触れれば傷つきそうな茨の檻に守られ
朽ちた倒木に身を預けながら。
絹のようなきめ細かい肢体に、憂い深い唇。
木漏れ日に照らされるその睫毛が微かにゆれ
誰かを待つようにそっと伏せられた瞼が香気を漂わせた。
その蕾を開かせるのは誰であろうかと思うのだが
私であって欲しいとも願ってしまう。
無垢で純真な心に
血の流れる恋情
彼女の蜜はどんな味わいがあるのだろうかと
彼女に触れたのは
微かな興味
それだけだった
舞い降りたのは ひとひらの蝶
微睡みの中で感じる感触は
懐かしく 温かい
知らぬ今なのに
涙が溢れてくる
この悲しみと胸の痛みは
芽生えた感情の名を
彼女はまだ知らない
展示作品
「胡蝶の夢」2020年
インク/紅茶/アクリル/ケント紙/木製パネル
210×297×20㎜
※使用作品
「eyes No.1」ドローイング 2020年 個人蔵
「思慕」 ドローイング 2020年
(こちらは展示しておりません。話のイメージに合わせて使用しました)
gallery hydrangea企画公募展
「花に囁く物語~エピソード1~」
2020年6月18日(木)~6月28日(日)
定休日:火・水
13:00~18:30(最終日)
〒131-0032
東京都墨田区東向島1-3-5
tell:03-3611-0336
https://gallery-hydrangea.shopinfo.jp/
卯月 螢
HP:http://www.hotalu-uzuki.com/
Web Shop:https://hotalu.thebase.in
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