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ACT新春小品展 バックステージ

現在開催中のアートコンプレックスセンター15周年記念新春小品展

会期も後半に差し掛かりました。今回はペン画で3点参加しております。

2022年1月7日(金)~1月16日(日)

11:00~19:00(最終日16:00)

オンラインショップは1月31日(月)17:00まで

会場風景2022

テーマなどは自由だったので「新春」「15周年記念」という事を念頭に自分らしい作品をと考えをめぐらした時

「ミザル イワザル キカザル」というフレーズが浮かび女性像で描いてみようと考えました。


silence

ラフとペン入れ後

「ミザル イワザル キカザル」そのものを描くわけではなく、それぞれ全く表情の違うものを描く基準として設定。大概練りに練ったラフも最初に思いついたイメージが一番いい事がしばしあります。
ここ最近は直感に沿った制作で思いついたイメージをどう再現するかに努めました。
この「silence」という作品は静寂=キカザル
静かな森をイメージして制作しました。
出勤途中に緑地を通りかかるのですが毎朝それを眺めながら歩いています。いろいろな木々や枝が絡み合い生い茂っているのにとても静かな印象をいつも受けます。人の気配や言葉や音などですぐ疲労してしまう人間なので、どうしても静かな場所が必要になるのです。
人混みで体調が悪くなった時も林や・・近場の公園・・仕事先から一歩出て緑地を見て深呼吸するだけで大分体調が戻ります。
静かなイメージは一番身近なものなので、その時の自分の心情を思い出しながら描きました。
枝などは多少当たりの線を描きましたが、その他はほぼフリーハンドで描いています。何時も見て観察して記憶して、ついでに体調も良くしてくれる風景なので見本は余りいりません。
とにかく静寂を意識して描きました。

undo

制作途中

昔、岩井信二監督作品の短編映画で同名の作品が有りました。
今でもDVDを持っているので見たりしています。
元に戻す・抹消する・取り除く・ほどく・・という意味があるそうですが、その映画は愛す人が心の病になってしまい「縛って欲しい」と強く要求し豊川悦司さん演じる男が部屋中を使って縄で山口智子さん演じる女をただグルグルにきつく縛ってゆく話なのですが、心理描写と映像が相まってとても美しい作品です。
今回の制作では「ほどける」を意識して制作しました。
自身の意識が解けて、新しい自分に代わってゆく・・その戸惑い
花が開くようにそして繊細に
表現を悩みましたが、花を点描で描くよりもレースの様な仕上がりにしたく白抜きで制作していきましt。
レース編みはしたことは無いので「切り絵」を制作するイメージで進めてゆきました。

fragrant

下絵(手が決まらず何度も書き直し)

花の中では「桜」と同率で「薔薇」が好きです。
コロナ過になってから行けていないのですが、たった一輪の薔薇を買いに銀座まで出向いた事があります。そこの薔薇の香りはとても深く繊細で濃密・・ほかの店の薔薇の香りとは別格で制作の助けにもなってくれました。
今回はその「薔薇の香り」をイメージして線と点で制作を進めました。

下書き(やっと手の輪郭が納得が良きペン入れへ)

ペン画の良い所は描きたいものによって分かりやすく制作手段を変えられるところだと自身で思います。どの画風でも同じだと思うのですが彫刻の様に刻むという感覚が味わえて好きです。
つけペンはインクを付けて描いてゆくので手間と時間が掛かります。
テクニカルペンでも良いのですが、合いませんでした。
紙の触れた感覚がどうも合わなくて、つけペンのペン先の感覚とインクをのせてゆく感覚。乾いた時にふれるインクの些細なざらざら感が肌に合っているのでこの描き方を続けています。
知人に「感覚で描いているから色をあまり意識しない」と指摘された事がありますが、そう思ってみると制作自体ほぼ感覚が多いです。
遠視と乱視もちなので、視覚と触覚と両方で制作しているかもしれません。

ペン入れ(目と唇以外はほぼ点描)

香り・・というのは点のイメージで、花弁一つ一つ香りという細胞で出来上がっているのではないか・・薔薇を香ったイメージを思い出しながら点を打っていきました。濃淡は陰影もそうですが香りの濃度もイメージして描いています。

ペン入れ(香りなので人物の影も輪郭なしで点で濃淡を作ります、線で陰影を描くと花と別物になってしまうと思ったからです)

ドットによってペン先とインクをかえています。
濃い部分は、Gぺん
薄い部分と繊細な輪郭は、丸ペン
インクは乾きが早い方が細かい繊細な点が打てますし、渇きが遅い方はインクが多めにのるので濃くしたい時に使います。
白抜きに使うのも乾燥が遅いインクです。

輪郭線はほぼ描いていません。
香りの印象なので・・。
影というのはモノとモノが触れ合い影響し合って生まれるモノです。なので密度が厚い人の肌と肌がしっかり触れ合った影や部分は輪郭線、それ以外は点で濃淡をつけました。
薔薇はほぼ輪郭線を書いてから点を打っていますが、点だけだと人だけが目立ってしまうように思えたので調節の意味出で輪郭線を書きました。

背景はアクリルのマットタイプ、4・5層重ねて奥行きを出します

完成

silence
undo
fragrant

最終的に「ミザル・イワザル・キカザル」とは遠く離れましたが、自分なりに表情の違う女性像が描けました。
ちなみに、仕上がったのが搬入の1・2日前だったので体力的にはだいぶ消耗しましたが自分なりに納得できたので良しとしました(苦笑)

制作期間に比べるとあっという間に展示期間は終わってしまいますが、頭に浮かんだものに近く表現できたこととそれを自身以外の誰かにみてあまつさえ言葉をいただければ報われるものです。

会期は残す所4日
お近くの際は是非、ご覧ください。

HP/ウェブショップ(卯月螢)

制作過程


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