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制作日記:制作と思考の分別作業
「あれ、自由は何処に行った?」
湯槽に浸かりながら気がついた。
アクリル絵の具になれる為、日々制作。
数週間ほど夢にも出てきて、目を覚ますと「あんな描き方」「こんな方法」とInstagramのリールで見た映像が頭を駆け巡る。
本当にたくさんの方法がある。
先ずは自分に合った描き方を探さねば・・と寝返りをうった時、疑問が頭に浮かぶ事があった。
「アクリル絵の具で描かなければいけない」
そんな考え方になってはいないか?
長年【ならねば】で行動してきてそれに慣れてしまっている。
変わりたいと思って生活スタイルを変えてきた。
「制作までならねばか・・」
ほとほと、生真面目な自分に呆れてしまう。
油絵の様にも描けるアクリル絵の具
では逆もあるという事で、並行して油絵も考えながらなかなか一枚が出来上がらない。
「どっちつかずだな」
自由に描きたいとアクリル絵の具を手にしたのに、何か目標が違ってないか?
「自由が苦手な性格、制作もか?」
アクリル絵の具を描きたいと思ったきっかけ。
「自由に描くってなんなのか?」
余り器用にできない制作を記録します。
ひとまず、お知らせ
デジタルコンテンツ(PDF詩画集)一部掲載終了
noteでマガジンとしてまとめています詩画集。
それとは別に自身のウェブショップgallery卯月でPDFに変換してデジタルコンテンツとしても販売しています。
ダウンロードして印刷できると知ってデジタルでも紙でも読めるのかと驚きました。なかなか、機械音痴なところがあるので掲載まで難儀しましたが現在PDF版詩画集は3冊。
そのうち2作品を2024年12月27日(金)23時で掲載終了と決めました。なかなか、浸透しずらいという事も分かりましたし、描くテーマが変わってきた事で区切りを付けようというのが理由です。
掲載終了作品(noteでの掲載は引き続き継続します)
「カンパネルラ~鐘~」
価値観の変化に対する戸惑いを描いた作品と詩と文
「鴉の夢路」
死生観・ゴシック調の強い、詩と短編
両作品ともペン画で制作した作品で構成されたものになります。
PDF版を掲載しだした最初の作品で思い入れがあるモノです。
自分の価値観の変化から、故人とのすれ違いに気付いた時の気持ち。
彼岸に旅立った影響を受けたアーティストに捧げるつもりで制作した物語。
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PDF版にご興味がありましたら是非ご覧ください。
(noteでの詩画集掲載は引き続き継続します)
(BASEは2024年12月13日から割引クーポンが配布されますが、デジタルコンテンツは対象外です)
*note版(未登録の方でもご購読いただけます)
アクリル絵の具の不器用な制作の日々
数十年前に出会ってから苦手意識があった。
乾燥が早いし、色が明るい。
乾燥すると目に見えて絵の具がやせる。
そんな出会い方をしたアクリル絵の具。
数十年来の付き合いがある美術部の集まりで絵を描いている事を話したら
「昔から油絵派だもんね。なにが苦手だったの」
と聞かれて、なんだったかな・・と思い返す。
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「何故に今でもアクリル絵の具に苦手意識があるのか?」
思うに制作手段の多さからだと今は思う。
検索してみると描き方も知らないものがあり、メディウムも知っていた頃より多くなっている気がする。
ウエットインウエット・ドライブラシ・インパスト技法・ドリッピング・ボーリング・ミクストメディア・・
「あっ・・無理」
・・学生時代からもう何十年も経っているのか、脳が受け付けない。
技法迷子になりそうだ。
ボーリング技法はInstagramのリールでよく見る。
絵の具を傾けたり、温風の風圧で表現したるするので偶然を作るような感じで挑戦してみたいところ。
興味はあるが、今はそれじゃない。
現在、描き方について途方に暮れている。
アクリル絵の具を手にして一週間以上、一枚も出来ていないという事はもうすでに〈技法迷子〉になっていたようだ。
とりあえず、基本に戻り〈技法〉ではなく〈描きたいもの〉を腰を据えて考える事にして下絵も描いた。
下絵から推察すると、描きたい世界は落ち着いた感じの印象がする。
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試しに一枚、アクリル絵の具セットについていたボードの最後の一枚でお試しを描いてみた。
「なんか違う」
「これだったら、油絵で描ける」
どうも「アクリル絵の具を使いたい」という当初の考えと逆を行っている気がしてならない。
水彩画も手つかず。
制作自体、進められない混迷とした制作。
「アクリル絵の具・・やめようかな」
自分は絵が下手ないんだと・・暫く落ち込む日々が続いた。
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と喜んだが数日後に「違う」と立ち止まる事になる。
家の断捨離と考えの分別
あまりのアクリル絵の具の描けなさに「やめよう」と心折れて数日。
気分を紛らわそうと数年間、放っておいた家の断捨離をした。
エッセイにも書いたが、いろいろあって手が付けられなかった。
生きていればいろいろある。
色々の中で濃密なものが詰まっている場所が未だ手つかずだ。開かずの押入れを開けて、事務的に処分するモノを分類する。
何時かは手を付けなくてはいけない。
モノによっては裁断したり形自体を変えたりして、分別し廃棄する。
無心で裁断作業をしていると再び思い出すのは、アクリル絵の具。
目の前には、アクリル絵の具で描いた未完成の絵。
こちらも、そろそろ先に行かなくてはいけない。
「アクリルを使いたいと思ったきっかけ」
「自分の描きたいもの」
「つまずいた場所」
「自分の拘り」
現在、頭にある考えや悩みを書き出してみた。
視覚化する事で客観視できる。
まず、アクリル絵の具を使おうと思ったのは、自由な制作が出来ると思ったからだった。形にこだわらず、ある意味「感覚的」に絵の具を使ってみたいと思ったのがきっかけだ。
ならば、何処でつまずいた?
「象徴となるモノを描かなければならない」
人や蝶、花。
リアルな象徴に幻想的な背景。
そんな絵が学生時代から描きたかた。
アクリル絵の具はリアルな表現もできたりする。
それは知識的に知っているし素晴らしい作品も見たことがある。
「しかし、今、リアルに描きたかったのか?」
と思い至る。
水彩でも油絵でもない、《アクリル絵の具でやりたかったこと》そして
《やりたかったことに至らない》その原因。
「象徴的なモノを描かないといけない」
人でも蝶でも花でも、なにか画面を引き締めるモノを描かないと怖い、絵にはならない。
「自分は抽象的な表現が出来ない」
何時からか自分に課した否定。
私生活でも、否定的な事を見直したくてセルフ認知行動療法継続中。
「自分の絵は日記の様なもの」
やはり、制作でも自分を否定してしまっていたらしい。
【自分の感覚と向き合って制作をする】
そう決めたのにその道はなかなか困難だ。
「人を描く」行為は、自分の内面の言葉を吐露する為にペン画で10年拘ってきた事。しかし、「内に籠る」事ではなく「伝えたい」と思うようになった昨今、その拘りを一旦、外してみてはどうかと思うようになった。
「拘りを捨てる」のではなく「拘りの枠を外してみる」
描きたいものがあるなら、拘り続けて諦めるのはおかしいのではないのか?
拘り過ぎて、描けなくなるとは本末転倒だ。
「悩むなら、先に進める悩み方をしよう」
考えに考えて、考えを書きだして、先に進む為に新たな事を考え出す。
「とりあえず、やるしかない」
家の荷物と一緒に【古い拘り】を分別し見つけ出す事が出来たのは、つい三日前である。
(開かずの押入れの断捨離と思いの断捨離を書いたエッセイです)
再び制作へ
ひとまず、頭の隅で控えていたイメージを何で描くか、自身に問うて水彩絵の具で描く事にした。
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手前は印象的な描き方のスケッチ
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生命力、或いは独りを感じる感覚
一息ついては、頭の中のイメージと照らし合わせ、焦らず考えず進める。
意識する事は「集中」
なので、一番集中できる音楽を掛けてほかに何も自分の頭に入らない様に気を付けて慎重に制作を進める。
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印象的に描けた水彩からヒントを得て、アクリル絵の具で感覚的に描いてみた。今は白いものだが乾燥後、とあるもので色を付ける予定。
初めての事なので失敗するかもしれないが、思いつきを形にする事が目的なので止まらない事にした。
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未だ下書きだけれど乾燥後は、感覚に従って色を塗り重ねる予定です。
【揺らぎ】のイメージは同じですが、少し違う思い出があります。
「考えるのは良いけれど前に進める考え方をする」
これが、この数週間の学びです。
ブレない様に描いていきたいですね。
制作日記
絵とエッセイ
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