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【やさしい】排卵誘発について【不妊症ガイド】

たなかゆうすけです。

今回は排卵誘発についてお話します。


排卵誘発は発育誘発

排卵誘発は排卵が起こりにくいときに行いますが、排卵が起こりにくいときとは実際は卵胞の発育がないときがほとんどです。卵胞が発育してこないので、当然それに引き続く排卵も起こらないということですね。卵胞の発育さえあれば、自然と排卵することが多いです。

同様に排卵障害とは、排卵自体に問題があるというよりは、卵胞の発育に問題があることがほとんどです。

排卵障害については、別項でお話しています。

特に卵胞の発育が遅い場合の排卵障害とは、卵胞の発育が始まるタイミングが遅いということです。やる気スイッチが入るのが遅いというイメージで良いでしょう。夏休みの宿題を最後の1週間で始めるようなものでしょうか。まるで他人事とは思えませんね。

排卵誘発を行えば、うまくいけばその時点でやる気スイッチが入り、卵胞の発育が始まります。あとは、超音波でモニタリングを行い、発育の程度を確認します。


排卵を誘発する薬剤

排卵誘発には、薬剤を使用します。薬剤には、

1.内服薬
2.注射薬

の2種類があります。これらはいずれも、体内(血液中)のFSH(卵胞刺激ホルモン)というホルモンを上昇させるのが主な作用です。FSHはFollicle-Stimulating Hormoneの略で、Follicle(卵胞)をStimulate(刺激)して卵胞発育を促すHormone(ホルモン)です。FSHが一定値以上に上昇すれば卵胞のやる気スイッチが入り、卵胞の発育が始まると思っていただけば良いでしょう。

内服薬は、体の内部機構を利用してFSHの分泌量を増やす作用を持っています。内服薬には

1.クロミフェンクエン酸塩(クロミッドなど)
2.レトロゾール(フェマーラなど)
3.シクロフェニル(セキソビットなど)

があり、レトロゾールとクロミフェンクエン酸塩、シクロフェニルは作用の仕方が異なります。

注射薬は、FSHそのものを注射することで血液中のFSH量を増加させます。注射薬には

1.hMG(Human Menopausal Gonadotrophin)製剤
2.urinary FSH(uFSH)製剤
3.recombinant FSH(rFSH)製剤

の3種類があり、さらに剤型として

1.アンプルタイプ
2.ペンタイプ

の2種類があります。

hMG製剤とuFSH製剤は尿由来の製剤です。Menopauseとは閉経のことで、閉経期の女性の尿にはFSHとLHが尿中に多量に分泌されるため、これを精製し、不純物や感染性の物質を取り除いて純度を高めて製剤化します。FSHに対するLH作用比が1:0.0053以下ならFSH製剤、それ以上ならhMG製剤になります。いずれもアンプルのみで、ペンタイプはありません。FSH製剤はFSHの純度を高めて(purify)あり、purified FSHと呼ばれることもあります。

rFSH製剤は遺伝子組み換え(re-combination)型の製剤で、基本的にLH作用はありません。現在はアンプルの製造が停止し、ペンタイプしかありません。


今回はこのくらいで、次回は内服剤の使い分けについてお話をします。



妊娠を希望される皆様が、幸せな結末へたどり着けますように…

たなかゆうすけでした。

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