
【やさしい】不妊治療でよく用いられる略語~F、G【不妊症ガイド】
たなかゆうすけです。
不妊治療のフランクな略語解説です。今回はFとGから始まるものです。
FT エフティー
Falloposcopic Tuboplasty 卵管鏡下卵管形成術
特殊な構造をしたカテーテルと細径のファイバースコープ(卵管鏡)を使用して、卵管の閉塞や高度狭窄を解除する手技。高度卵管因子がある場合でも体外受精・胚移植を回避できる可能性があるが、妊娠率は体外受精・胚移植に劣る。ファイバースコープが非常に高価なくせに破損しやすいため、とても緊張する。破損する前にはカメラの視野が暗くなってくることが多く、『あー、あかんあかん』となり心臓に良くない。
FSH エフエスエイチ
Follicle Stimulating Hormone 卵胞刺激ホルモン
卵胞(follicle)を刺激(stimulate)して、卵胞の発育を促進するホルモン。下垂体前葉から分泌される。分泌量はエストロゲンレベルによってフィードバックを受け、調節される。卵胞の発育度合に応じて卵胞の顆粒膜細胞から分泌されるエストロゲンが変化するが、卵胞発育がなければ(エストロゲン低値であれば)FSH分泌を増加させて卵胞を発育させようとするし、卵胞発育があれば(エストロゲン高値であれば)卵胞を発育させなくて良いためFSH分泌量は低下する。考えてみれば当然の調節を受けている。あたりまえ体操。この機構を利用して、FSH分泌量を増やすのが、レトロゾールやクロミフェンクエン酸塩などの内服の排卵誘発剤である。
Gn ジーエヌ
Gonadotropin ゴナドトロピン
下垂体から分泌される性腺刺激ホルモンの総称。FSHとLH(Luteinizing Hormone;卵胞刺激ホルモン)のことと思ってもらったらだいたい正解。
GnRH ジーエヌアールエイチ
Gonadotropin Releasing Hormone ゴナドトロピン放出ホルモン
ゴナドトロピン(Gonadotropin;Gn)を放出(Release)させるホルモン(Hormone)なので、GnRH。用語としては、GnRHアゴニスト、GnRHアンタゴニストで使用されることが多いか。アゴニストは同様の作用を起こす別の物質のことであり、つまりGnRHアゴニストは『ゴナドトロピン放出ホルモンと同様の作用を持ち、ゴナドトロピンを放出させる物質』ということになり、すげーややこしい。アンタゴニストはホルモンの作用をブロックしてしまう物質のことであり、GnRHアンタゴニストは『ゴナドトロピン放出ホルモンの作用をブロックして、ゴナドトロピンを放出させない物質』ということになり、やっぱりややこしい。もっと簡単に、ゴナドトロピンを出す、出さないくらいの理解で良いかも。
続く…