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妊娠初心者ガイド『排卵はどのように起こる?』

前回、妊娠成立には、『排卵』『受精』『着床』の3つのステップが必要であるということと、各ステップの概要についてお話しました。では、『排卵』について、もう少し詳しくお話をしていきましょう。

排卵は、成熟した卵子がおなかの中へ放出される現象ですが、排卵するまでには、まず卵子の格納された卵胞という袋が大きくなる必要があります。そして卵胞が一定のサイズまで大きくなったら、排卵が起こります。

この過程には、卵胞刺激ホルモン(FSH)と黄体形成ホルモン(LH)が大きく関わっています。


卵胞の発育とFSH

・卵胞の発育と卵胞刺激ホルモン(FSH)
卵胞は卵子の格納された袋で、主にFSHの刺激により発育します。FSHは、脳の一部である下垂体という部分から分泌されます。下垂体は、これもまた脳の一部である間脳視床下部という部分からの指令を受け、FSHの分泌量を変化させています。この視床下部という部分は、卵胞の発育をモニターする機能を持っており、卵胞の発育に合わせて指令の量を変化させ、結果下垂体からのFSH分泌量が変化します。

卵胞は、最初は原始卵胞という状態で卵巣内に存在し、さまざまな調整を受けながら前胞状卵胞と言われる状態へ発育します。ここではまだFSHの影響は受けません。

前胞状卵胞になった卵胞は、FSHによる刺激を受け取る準備を進めながら約65日かけて、ゆっくりと発育していきます。ここでもまだFSHによる直接的な影響は大きくありません。

その後、胞状卵胞になった卵胞はFSHの影響を大きく受けるようになり、FSHの刺激により約20日間で急速に発育します。卵胞内部には卵胞液が蓄積し、超音波で黒いエコー像として確認できるようになります。排卵直前には約20mmに達します。

・卵胞の発育とエストロゲン
また卵胞の外側は、顆粒膜細胞と呼ばれる細胞の層で取り囲まれており、ここから女性ホルモン(エストロゲン)が合成されます。卵胞の発育とともに、エストロゲン値は上昇し、200~300pg/mL以上となります。視床下部はこのエストロゲン値で卵胞の発育をモニターしています。


排卵とLH

・排卵と黄体形成ホルモン(LH)
卵胞が発育してエストロゲン値が上昇すると、200~300pg/mL以上となります。この状態が2~3日持続すると、下垂体からの急激なLHの分泌(LHサージといいます)が誘発されます。

・減数分裂の再開
配偶子である精子と卵子が形成される際には、減数分裂と呼ばれる細胞分裂が起こります。体細胞は46本の染色体と呼ばれる遺伝子の束を持っていますが、精子と卵子は合体して1個の細胞になるため、半分の23本にしておかないと合体したときに染色体の本数が多くなってしまいます。このように染色体の本数を減数しながら起こる細胞分裂を、減数分裂と呼びます。

卵子の減数分裂は2段階あり、卵子は通常、第1段階目の途中で止まっています。LHサージが誘発され排卵へ向けた流れが起きると、卵子は分裂を再開し、第2段階目の途中まで進んで止まります。このように、卵子は受精に向けて成熟していきます。

・卵子の放出
LHサージが誘発された後、卵胞は急激に増大し、卵胞壁から卵子が遊離します。プロスタグランジンや各種酵素の働きで、卵胞壁の融解と卵胞内の圧力上昇が起き、卵子が卵胞液とともにおなかの中に放出されます。

・黄体の形成
卵子を放出した後の卵胞は、LHの作用でホルモンを分泌する部分へ変化し、これを黄体と呼びます。黄体からはエストロゲンに加えてプロゲステロンというホルモンが分泌され、この作用により子宮内膜の脱落膜化と呼ばれる現象が起き、子宮内膜は受精卵を受け入れることができるようになります。


ここまで、『排卵』についての少し詳しいお話をしました。
もうおなかいっぱいですか?もう少し頑張ってみてください。
僕ももう少し頑張ってお話をします。

次は、『受精はどのように起こる?』ということをお話します。

妊娠を希望される皆様が、幸せな結末へたどり着けますように…
また次のお話でお会いしましょう。


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