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【やさしい】精液所見から方針を考える【不妊症ガイド】

たなかゆうすけです。

今回は精液所見の考え方についてお話します。

精液所見で大事なことは、

1.精液所見には基準値はあるが、正常値はない
2.基準値を下回っているからといって妊娠しないわけではない
3.基準値を上回っているからと言って必ず妊娠するわけではない

ということで、結局、精液所見は絶対的な基準にはならないということです。

精液所見から方針を考えるときには、年齢、不妊期間が重要なファクターとなります。また、卵子がどのくらい残っているか(卵巣予備能)も参考になります。

結局はどのように時間を使っていくかが重要となります。年齢が高ければそれだけ時間の使い方に気を付けなければいけません。不妊期間が長くなっていれば、そのまま同じことをしていても効果は小さい(妊娠の期待値は高くない)でしょう。また卵子の数が少なくなっている場合は、1回で採卵できる卵子の数が減少し、体外受精・胚移植の成績にも影響することがあります。

これらのファクターを総合的に考えながら方針を考えていきます。あくまで、精液検査のみ、年齢のみ、不妊期間のみ、卵巣予備能のみで決めるものではありません。

では、精液所見を『基準値以上』『少し悪い』『かなり悪い』に分けて、少し考えてみましょう。『全然いない』は特殊なので今回は考えません。

基準値以上の場合

この場合は精液所見では方針は変化しませんので、その他に原因があるかどうかが問題になります。他に原因があればそれに対応します。

他に原因がない場合は、まずは自然妊娠やタイミング法での妊娠を考えていけば良いでしょう。結果的に妊娠に至らなければその次のステップへ進むことを考えましょう。

年齢が比較的若く不妊期間が短ければ、ステップアップするまでに十分時間を取ってもよいでしょう。年齢が比較的高いまたは不妊期間が長い場合は、時間をかけすぎずにステップアップしたほうが良いかも知れません。

ステップアップして治療方針を変更する場合は、妊娠率の向上を期待してということになりますが、基本的に人工授精より体外受精・胚移植での妊娠率向上効果の方が高いため、体外受精・胚移植をどうするか、やるのかやらないのか、やるならいつやるのかを考える必要があります。


少し悪い場合

精液所見に問題がある場合は、

1.まずは自然妊娠またはタイミング法をトライする
2.人工授精をトライする
3.体外受精を実施する

の3パターンが考えられます。この場合も基本の考え方は同じです。

年齢が比較的若く不妊期間が短ければ、まずは自然妊娠またはタイミング法でスタートしても良いでしょう。不妊期間がある程度長ければ人工授精から開始するのが良いと思います。結果的に妊娠に至らなければ次のステップに進みましょう。この場合も体外受精・胚移植をどうするかは考えておく必要があります。

年齢が比較的高い場合は、ある程度積極的に治療を進めていくことを推奨します。不妊期間が短ければタイミング法からスタートしても良いと思いますが、どのくらいタイミングをとるのかは決めておいた方が良いでしょう。人工授精からスタートする場合も同様です。体外受精・胚移植をいつ行うのかを主軸に考えのが良いと思います。精液所見があまり悪くない場合には、人工授精を行わずに体外受精・胚移植へ進むことも考えておきましょう。


かなり悪い場合

年齢が比較的若く不妊期間が短くても、人工授精以上から開始することを推奨します。自然妊娠またはタイミング法でスタートしても良いですが、どのくらい実施するのかは考えておきましょう。結果的に妊娠に至らなければ、体外受精・胚移植が必要になります。

年齢が比較的高い場合は、早期に体外受精・胚移植を実施することを勧めます。タイミング法や人工授精からスタートしても良いですが、どのくらいするのかは決めておきましょう。体外受精・胚移植へ進むタイミングを遅らせ過ぎないことが重要です。


まとめ

結局は、年齢や不妊期間を考えながら、精液所見の程度に応じてタイミング、人工授精、体外受精のどこからスタートするのか、どの程度妊娠しなければ次のステップへ進むのか、体外受精・胚移植の前に人工授精を行うのかということを決めていくことになります。

タイミング→人工授精→体外受精・胚移植というように、必ず人工授精を経由しなければならないということはありません。人工授精での妊娠率向上があまり期待できないときや、あまり時間をかけられない場合は、いきなり体外受精・胚移植へ進んでも全く問題はありません。



妊娠を希望される皆様が、幸せな結末へたどり着けますように…

たなかゆうすけでした。

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