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【やさしい】クラミジア感染症の診断と治療【不妊症ガイド】

たなかゆうすけです。

今回はクラミジアの続きです。


クラミジア感染症の診断

クラミジア感染の診断には、抗原検査と抗体検査があります。生体に免疫応答を引き起こす物質が抗原で、抗原に対する免疫応答の結果抗体が産生され、抗原抗体反応が起こります。もっと簡単に言うと、体に入った異物が抗原で、これを排除しようとする反応が免疫反応で、その反応の中で抗原を攻撃するために作られる物質が抗体です。


クラミジア抗原検査

クラミジアへの免疫反応において、抗原とはクラミジア自身を指します。ですので、クラミジア抗原検査とはクラミジアの有無を調べる検査です。一般的には感度の高いクラミジアPCR検査が行われます。子宮頚管の分泌物や擦過検体(拭い取った検体)をPCR検査にかけます。

PCRとはpolymerase chain reactionの略で、新型コロナウイルス感染症検査でおなじみですね。DNAポリメラーゼと呼ばれる酵素の温度に対する反応を利用して、任意の遺伝子領域やゲノム領域のコピーを指数関数的に増幅し、少量のDNAサンプルからでも十分な解析ができるようになります。

PCR検査は『いるかいないか』を調べるのが得意ですので、『今現在クラミジアが子宮頚管に存在するか』、つまり『今現在クラミジア感染があるかどうか』を調べるにはもってこいです。

治療によってクラミジアがいなくなったかどうかを調べる(治療効果判定)場合は、抗原検査を行います。


クラミジア抗体検査

抗体は、生体が抗原に暴露されて免疫反応が起こった結果産生されます。一度感染が起こると、産生された抗体はしばらく体の中に残っており、採血検査で検出することができます。抗体は、免疫グロブリン(immunoglobulin)が担当しており、いくつかのタイプに分かれます。クラミジア抗体検査ではIgA(immunoglobulin A)とIgG(immunoglobulin G)を検査します。

IgAは感染早期(約2週間後)から上昇し始め、IgGより早く(約半年後)血中から消失します。これに対し、IgGはIgAより遅く(約1か月後)から上昇し始め、長く(数年間)血中に残ります。IgAとIgGのパターンから、以下のようにクラミジア感染時期を推定することができます。

・IgA陽性、IgG陽性…感染後1か月から半年の間くらい
・IgA陽性、IgG陰性…感染後2週間から1か月の間くらい
・IgA陰性、IgG陽性…感染後半年から数年。
・IgA陰性、IgG陰性…感染したことがない、または感染後2週間以内のごく早期。

これらはクラミジアが治癒したあとでも陽性のままで消失しないため、治療後に再検査する必要はありません。


クラミジアの治療

治療は主に内服薬を使用します。

アジスロマイシンは単回投与で治療が終了するため、使いやすいお薬です。同系統のクラリスロマイシンを使用することもあります。

その他、ミノサイクリン、ドキシサイクリンなどのテトラサイクリン系、レボフロキサシンなどのニューキノロン系を使用することもあります。

クラミジア抗原検査が陽性の場合は、陽性者とパートナーを同時に治療します。片方だけ治癒した状態では性交渉で再感染することがあり、これをピンポン感染と呼びます。

また、抗原検査が陰性でも、抗体陽性で過去に治療歴がない場合は治療を行うことがあります。

感染があっても必ず不妊になるわけではありませんが、検査でクラミジア感染が疑われる場合には感染が長期化しないようしっかりと治療を行いましょう。



妊娠を希望される皆様が、幸せな結末へたどり着けますように…

たなかゆうすけでした。

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