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タイミング法のススメ ~卵胞計測、排卵誘発の実践~ ④排卵誘発の考え方
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では、ここからは排卵誘発についてお話していきます。排卵誘発の基本的な考え方は、『リスクを避けること』です。リスクは、主に卵胞が複数発育した結果発生する、多胎妊娠と卵巣過剰刺激症候群です。日産婦より発行されているガイドラインでは上記のようになっており、単一排卵を目標とすること、16mm以上の卵胞が4個以上存在した場合、治療周期をキャンセルすること、過排卵となった場合は卵巣過剰刺激・多胎妊娠・正所性異所性同時妊娠の発生に注意することといったように、複数の卵胞発育、複数排卵によるリスクが重視されています。
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排卵誘発が必要な方は、排卵に問題がある方です。排卵障害の定義について、厳密な定義は見当たりませんでした。日本生殖医学会では、『月経周期が25日~38日型で、基礎体温が二相性の場合は心配ないが、これにあてはまらない方(月経不順)は、排卵障害の可能性が有る』としており、日本産婦人科医会では『変動は6日以内』としています。
私はこれらから、
・月経周期が25~38日型以外または変動が7日以上
・本人の申告では整だが、周期通りに排卵しないことが多い場合
を排卵障害としています。これについては様々なご意見があろうかと思います。
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では排卵障害のない方に対しての排卵誘発は効果があるのでしょうか。原因不明不妊に対する米国生殖医学会のガイドラインでは、上記の通りになっています。クエン酸クロミフェンおよびアロマターゼ阻害薬のいずれも、無介入での経過観察と同等のアウトカムのため、推奨されていません。ゴナドトロピン製剤(注射薬)で誘発を実施した場合は、刺激が弱く排卵個数が増えなければ経口薬と同等のアウトカムであり、刺激を強くして妊娠率が上昇するまで排卵個数を増やした場合は多胎リスクが上昇します。これらからゴナドトロピン製剤での刺激も推奨はされていません。結局、原因不明不妊に対しての排卵数発は推奨されておらず、誘発は排卵障害の方に実施しましょうということになります
続きます。