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タイミング法のススメ ~卵胞計測、排卵誘発の実践~ ①タイミング法とは
本記事は、2024/06/13に行われる、『生殖医療 2.0 勉強会』の内容になります。本勉強会は、大阪大学産科学婦人科学教室様とあすか製薬様の共催で行われており、私は前回に引き続きお話する機会をいただきました。本勉強会の趣旨は、『生殖医療の保険化を機に、生殖医療、不妊治療をもっと一般的なものにしましょう』ということです。今回は第2回目となりますが、1回目は総論的なお話をさせていただいたので、今回は実践的な内容でお話させていただきます。
本記事の内容は、一般的なガイドラインの変わりとなるものではございません。ガイドライン等準拠し作成しておりますが、多分に私見も混ざっております。私見部分についてはなるべく開示するようにしておりますが、各先生方、各ご施設様であくまでご参考にしていただければ幸甚です。ご意見ご感想等ございましたら、遠慮なく頂戴できましたら幸いです。
私は今回の演題、記事に関連し、開示すべき利益相反状態はありません
それでは、『タイミング法のススメ ~卵胞計測、排卵誘発の実践~』です。よろしくお願いいたします。
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タイミング法とは
・排卵の予測を行い、タイミングを合わせる。
・排卵の予測は、主に経腟超音波で行う。
・補助的に採血を実施することもある
タイミング法は排卵日を予測し、性交のタイミングを合わせることで、妊娠の可能性を高めようという方法です。排卵日の予測は、主に経腟超音波で行います。卵子は卵胞内に格納されており、この卵胞が発育してくると超音波で確認ができます。卵胞が20mm前後に発育してくると、卵胞内部に蓄積した卵胞液中に卵子が遊離し、卵胞表面が破裂して卵胞液とともに卵子が排出され、排卵が起こります。卵胞径は10mmくらいからは1日2mm程度の一定のペースで発育するため、おおまかな排卵の予測ができます。排卵日の2日前から排卵日までに性交渉があると妊娠しやすいと言われています(後述)。
補助的に採血を実施することもありますが、エコーと比較し侵襲性を伴うことと、施設によっては当日採血値を出すことが難しいため、あくまで超音波の確認が困難な場合など補助的に行うことが多いです。詳しくは後述します。
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タイミング法を実施する前提条件として、タイミングを合わせることが可能であること、タイミング法で妊娠が見込めることが挙げられます。上記の条件については、評価しておくことが望ましいと考えます。評価を行わない場合や評価が困難な場合は、1年程度を目途に一定期間妊娠に至らなければ、評価できる施設へご相談いただくなどご対応いただくが良いと考えます。可能であれば、年齢や卵巣予備能(AMH、AFC)などもご評価ください。2024年6月から、不妊症であれば、一般不妊治療であってもAMHは保険で測定可能となりました。
では次から、実際の経腟超音波での卵胞計測に移っていきます。