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【やさしい】不妊治療でよく用いられる略語~A②、B、C【不妊症ガイド】

たなかゆうすけです。

不妊治療の略語解説(?)です。今回はAの続きから。


ART エーアールティー、アート

Assisted Reproductive Technology 生殖補助医療

いわゆる体外受精・胚移植のこと。採卵から授精、胚培養、胚凍結、胚移植までを指す。あくまでアシストであることがポイント。すべてをひっくり返すArt(芸術)のようなArt(技術)ではない。移行時期が遅すぎたということがないよう、検討に検討を重ねましょう(岸田節)。


ASRM エーエスアールエム

American Society of Reproductive Medicine 米国生殖医学会

いろんなガイドラインを出していたり、Fertility and Sterilityという超有名な医学雑誌を出版している、権威の中の権威。ちょっと前のものは普通にPDFで公開してくれたりする。すごく頼りになる。USA!USA!


AZF エーゼットエフ

Azoospermia Factor 

男性の持つY染色体の一領域。ここの欠失(染色体の一部が欠損すること)で無精子(Azoospermia)となることがある。欠失にはAZFa欠失、AFZb欠失、AZFc欠失などいくつかのタイプがあるが、タイプによってTESE(TEsticular Sperm Extraction;精巣内精子採取術)で精子が回収できるかどうか(できないかどうか)がわかる。


BMI ビーエムアイ

Body Mass Index 

肥満度を表す指標。体重(kg)÷(身長(メートル)×身長(メートル))で算出する。BMI<18.5kg/m2がやせ、BMI>25kg/m2が肥満。BMI=22が標準で、標準体重は22×身長(メートル)×身長(メートル)で算出する。過度のやせや肥満がある場合には、体重を標準に近づけてからでないと治療を行えないこともある。


COS シーオーエス

Controlled Ovarian Stimulation 調節卵巣刺激

体外受精・胚移植の成績は、採卵での獲得卵子数と大きな関係がある。このため一度の採卵で獲得できる卵子数を増加させるため、薬剤で卵巣刺激を行うことがあり、これを調節卵巣刺激と呼ぶ。ポイントはきっちりと制御されている(controlled)ことであり、むやみやたらと卵胞を増やしすぎるのも、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)などの合併症を引き起こしたりするため良くはない。技術がしっかりしていれば多少卵胞を増やしたところで問題はないが、どのあたりまでをcontrolledとするかは術者の技術レベルにもよるかも。過去にはControlled Ovarian Hyperstimulation(過排卵)という概念もあったが、アンタゴニスト法の出現に伴いOHSSリスクが低減され、卵胞数を増やすのが割と当たりまえになってからはCOSに統一された。しかしhyperという響きにはある種中二病的な魅力を感じることもあるため、ときどき無駄に使いたくなる。


続く…かも



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