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【やさしい】残っている卵子の数の意味は?【不妊症ガイド】

たなかゆうすけです。

不妊症のやさしいガイダンスです。


前回までのお話はこちら。

残っている卵子の数についてお話しました。

では、この残っている卵子の数はどのよう意味を持つのでしょうか?


こちらも併せてどうぞ。


残存している卵子の数とは、卵巣に残っている卵子の数である

えー、いわゆる進次郎構文ですね。

もう少し詳しく言うと、残存している卵子の数は、残存している卵子の数でしかないということです。

ん?あんまり変わってない?

つまり、卵子の『数』以上の意味は持たないということです。

いわゆる、『卵子の質』であったり、『妊娠のしやすさ』だったり、『1年後に妊娠している確率』だったり、そういったものは卵子の数からはわからないということです。

では、この『数』をどのようにとらえましょうか。


二つの時計のたとえ話

女性は時計を持っています。

一つ目は『年齢』という普通の時計。
二つ目は『卵子の数』という砂時計です。

一つ目の時計の針が進むと、妊娠率は下がっていきます。
針がかなり進むと、妊娠は難しくなっていきます。
今、針は何時の位置にあるでしょうか?

二つの砂時計の上側からは、下側へさらさらと砂が流れています。
砂がどんどん落ちていっても、必ずしも妊娠しにくくなるわけではありません。
しかし、砂がすべて落ち切った時には、妊娠は不可能になってしまいます。
砂がどれくらい残っているかを調べる方法は、前回お話した通りです。

あなたはどちらの時計に注目しますか?

基本は一つ目の時計

針が進むと妊娠しづらくなってしまうことから、まず注目すべきは一つ目の時計です。

今何時かもすぐわかります。

まずはこちらに注目しましょう。

一つ目の時計の針が進んでしまっている場合には、二つ目の砂時計にたくさん砂が残っているからといって安心はできません。

二つ目の砂時計にもご用心

一つ目の時計の針が進んでいないときにも、二つ目の砂時計には注意しておきましょう。

意外と砂が落ちてしまってはいませんか?

気づいたときには砂がすべて落ちていたということのないようにしておきましょう。

『年齢』と『卵子の数』

結局、年齢以上に卵子の数を重視する必要はありますか?というお話です。

年齢より先に卵子の数のリミットが来ないように計画を立てましょう。

なかなか妊娠しないときに。なかなか治療の効果が出ないときに。
いつ次のアクションを起こしますか?

1年後?それとも半年後?それとも今すぐ?

『卵子の数』は、それだけで不妊症の治療方法を決めるものではありません。

しかし、『卵子の数』は治療の進め方、進めるペースを考える上で、非常に大きなファクターとなります。


戦略と戦術

保険診療では、検査で見つかった原因に応じて病名が付き、その適応で、病名に応じた治療が行われます。

つまり、とれる『戦術』はほぼ決まっており、やれることをやるしかないということになります。

ですので、治療を進める中で、『戦略』をしっかり立てるということが重要です。

この『戦略』を考えるときにはある程度長期的目線で考えないといけないため、残っている時間を表す『年齢』と『卵子の数』が重要なのです。

ここからも、『卵子の数』もかなり大きなファクターであることは、ご理解いただけると思います。


体外受精・胚移植における『卵子の数』

AFCやAMHは卵子の数の指標ですが、体外受精・胚移植においては『卵子の数』以外にもう一つの意味を持ちます。

体外受精・胚移植では最初に採卵を行い、卵子を体外に取り出します。
この際に卵子を多く取り出せば、良い受精卵ができる可能性が上昇します。

このため、取り出せる卵子数を増やすために『卵巣刺激』を行いますが、AFCやAMHはこの刺激に対する反応性の指標になります。

つまり、AFCやAMHが高い値なら取り出せる卵子が増え、低い値なら取り出せる卵子が減ります。

このように、AFCやAMHは治療の反応性の指標にもなります。


AMH(抗ミュラー菅ホルモン)

2024年6月からAMHが保険収載され、体外受精・胚移植以外の治療を行う場合でも、保険で測定できるようになりました。

このため、AMHを指標とすることがさらに多くなりました。

では、AMHの値に応じた対応を少し考えてみましょう。

AMHが低くない方

基本的には、年齢を重視すれば良いでしょう。
また、現在の治療の効果が出なくなるころには、次のステップへ移ることを考えましょう。

AMHがやや低い方

基本的には年齢や治療期間を重視しながら、少し早めに次のステップへ移ることを検討してもよいかもしれません。

AMHがかなり低い方

AMHが低くても体外受精・胚移植以外の方法ですぐに妊娠してしまう方もいらっしゃいますし、体外受精・胚移植を行ってスパッと妊娠してしまう方もいます。

その逆も然りです。

体外受精・胚移植も魔法の方法ではありませんので、やればよいというわけではありません。

AMHがかなり低いからといって、すぐに体外受精・胚移植を行ったほうがよいということは必ずしもありませんが、早め早めの対応を心がけて行きましょう。

この辺りは結果的に妊娠すればOK的な結果論になりがちですが、後悔のないようしっかりと計画的に進めていくことをお勧めします。


次回予告

今回は、残っている卵子の数の意味と考え方についてお話しました。

これについて明確な正解はありませんが、しっかりと計画を練って、お二人の正解を導き出してください。
もちろんお手伝いしますので、ご相談ください。


次回は『現代の不妊治療の考え方』についてお話します。

こちらも併せてどうぞ。


妊娠を希望される皆様が、幸せな結末へたどり着けますように…

たなかゆうすけでした。

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